2013皐月賞馬のプロフィール

桜花賞に続いて皐月賞馬のプロフィール。ロゴタイプは、父ローエングリン、母ステレオタイプ、母の父サンデー・サイレンス Sunday Silence という血統です。

先ずローエングリンですが、詳しいプロフィールはウィキペディアをご覧いただくとして、8歳まで現役を続けた丈夫な競走馬だったということは注目して良いと思います。
中山記念を2回、マイラーズ・カップも2回制覇していますが、前者は中3年、後者も中1年と間を開けての優勝と言うのも特徴。父ジングシュピール Singspiel 、母カーリング Carling という血統からは連想し難いマイラーだったことも注目点です。

ところでローエングリンは2003年、4歳の時にテレグノーシスと共に渡仏、ドーヴィル競馬場のジャック・ロ・マロワ賞、ロンシャン競馬場のムーラン・ド・ロンシャン賞という二つのマイルGⅠ戦に挑戦しました。
この内容が2003年版のレースホースでも紹介され、単に競走データだけでなくエッセイの形でも取り上げられました。テレグノーシスとの比較や、両レースでの成績、何故血統に反してマイラーだったのか等の要因について詳しく論評されています。興味ある方は競馬会の資料室などでご確認ください。

ロゴタイプはローエングリンの2年目の産駒で、所謂ステークス勝馬としてはほとんど最初の1頭と言って良いでしょう。ローエングリンの皐月賞制覇によって注目度が増すことに期待が掛かります。
父ジングシュピールから大種牡馬サドラーズ・ウェルズ Sadler’s Wells に繋がるサイヤーライン。ヨーロッパでは大繁栄している父系ですが、何故か日本ではこの父系の成功は僅か。皐月賞ではオペラ・ハウス Opera House 産駒のテイエムオペラオー(1999年)、メイショウサムソン(2006年)以来3頭目のサドラーズ・ウェルズ系勝馬となり、圧倒的な強さを誇るサンデー・サイレンス系に一矢を報いた形です。

ここからが本番の母系。この牝系は比較的新しく日本に輸入されたファミリーで、2代母以降が日本産のブランドということになりましょう。
母ステレオタイプ(2002年、鹿毛)は社台ファームの生産馬(ローエングリンも同じ)で、中央競馬では5歳まで走り19戦して未勝利でしたが、地方競馬でも競走歴があり、園田競馬場で3戦2勝と言う記録があるそうです。
繁殖成績もいろいろ調べてみましたが、どうやらロゴタイプが初産駒のようで、7歳の時にローエングリンと配合した結果。計算上の初産駒は2009年生まれのはずですが、同じローエングリンとの配合は実らなかったようですから、ロゴタイプが事実上の初産駒でしょう。その後の記録も、残念ながら公にはなっていません。

2代母は私が態々紹介するまでも無く、重賞勝馬のスターバレリーナ(1990年、鹿毛、父リズン・スター Risen Star)。これも社台の生産馬で、デビューは3歳の4月になってからと遅くなりましたが、2戦目の5月の京都で初勝利を挙げると、夏の小倉で日田特別(2000メートル)、秋シーズンには阪神の野分特別(2200メートル)、そしてローズ・ステークス(GⅡ、京都2000メートル)と一気に3連勝してGⅠのエリザベス女王杯に挑みます。
残念ながらGⅠはホクトベガの9着、その後も2年間に亘り10戦連続でG戦に挑み続けましたが勝鞍には恵まれず、京阪杯、高松宮杯(当時はGⅡ)、セントウル・ステークスの夫々2着を最高として現役を引退します。

繁殖に入ったスターバレリーナは初年度から大成功、初産駒のグランパドドゥ(1997年 鹿毛、牝、父フジキセキ)は中日新聞杯(GⅢ)に勝ってオークス5着、秋華賞5着。
続くスパルタクス(1998年、鹿毛、牡、父サンデー・サイレンス Sunday Silence)は1800メートルから2000メートルまでの特別競走に3勝、3番仔のアンドゥオール(1999年、黒鹿毛、牡、父ブライアンズ・タイム Brian’s Time)も東海ステークス(GⅡ)、マーチ・ステークス(GⅢ)を制し、特別にも5勝してダート・コースで大活躍しています。
2000年生まれのパドカトル(鹿毛、牝、父サンデー・サイレンス)は特別競走に1勝、1年の空胎を経てロゴタイプの母ステレオタイプを産むことになります。
その後も何頭かの競走馬が出ましたが、不思議なことに特別競走以上の勝馬を出すことなく、2011年2月28日に息をひきとりました。

スターバレリーナからは、初産駒のグランパドドゥが4年目の産駒にパドトロワ(2007年、鹿毛、牡、父スウェブト・オーヴァーボード Swept Overboard)を出しています。パドトロワはアイビスサマーダッシュ(GⅢ)とキーンランドカップ(GⅢ)の他に特別競走を4勝、2011年のスプリンターズ・ステークスでカレンチャンの2着してスプリント界に旋風を巻き起こしたのは記憶に新しい所。

3代母はアメリカ産のベリアーニ Berliani (1985年、鹿毛、父ヌレエフ Nureyev)、現役時代は9戦2勝ですがステークス勝鞍は無し。最初にリズン・スターを種付けして日本に輸入された結果がスターバレリーナです。
スターバレリーナ以降で注目したい馬を列記すると、
ヘクターシールド(1993年、鹿毛、牡、父ヘクター・プロテクター Hector Protector)が特別1勝、アグネスミネルバ(1994年、栗毛、牝、父トニー・ビン Tony Bin)は特別2勝。
更にオリーブクラウン(1997年、栗毛、牝、父ドクター・デヴィアス Dr Devious)は特別1勝の他にオークスで3着に健闘。またユースフルデイズ(2002年、黒鹿毛、牡、父エルコンドルパサー)も特別に1勝しています。

更に上記アグネスミネルバは、函館スプリント・ステークス(GⅢ)勝馬アグネスラズベリ(2001年、栗毛、牝、父エアジハード)の母となり、将来もスピードに富んだ活躍馬を出すことが期待されましょう。

この牝系を更に遡ると、4代母イレヴン・プレジャーズ Eleven Pleasures (1970年、栗毛、父ワッタ・プレジャー What A Pleasure)は8勝馬で、パッカー・アップ・ステークス(当時はグレード制が導入されていませんが、現在はGⅢ)の勝馬。

また5代母イレヴン・キーズ Eleven Keys (1960年、栗毛、父)はクィーンズ・カウンティ―・ハンデ(GⅢ)勝馬のディワン・キーズ Dewan Keys の母である他、3頭の娘からG戦級の勝馬が出ました。
即ち①アヴェイラブル・ミス Available Miss (1968年)は、デルマー・インヴィテーショナル・ハンデ(GⅡ)、ウイル・ロジャーズ・ハンデ(GⅢ)に勝ってベルモント・ステークスで3着したバーブスタウン Barbestown (1980年)の母。
②キー・トゥー・プレジャー Key to Pleasure (1972年)も、モーリー・ピッチャー・ハンデ(GⅡ)勝馬ボディシャス・タタス Bodacious Tatas (1985年)の2代母になり、
③キーズ・スペシャル Keys Special (1979年)は、ベッツィ―・ロス・ハンデ(GⅢ)勝馬シュドント・セイ・ネヴァー Shouldn’t Say never (1991年)と、ソロリティー・ステークス(GⅢ)勝馬クラフティー・バット・スイート Crafty But Sweet (1993年)の母であり、シュドント・セイ・ネバーもイリノイ・ダービー(GⅡ)、ガッサム・ステークス(GⅢ)のカウタウン・キャット Cowtown Cat を産んでいます。

GⅠクラスの馬を探せば、更に一代遡った6代母アプロディテ Aprodite が、アルシバイアディーズ・ステークス(2歳牝馬のGⅠ戦)を制したシークレット・ヴェイル Secret Veil の2代母に当たるところまで遡らなければなりません。

ファミリー・ナンバーは、トリプル・サイダー Tripple Cyder を基礎牝馬とする8-k。この牝系が日本のクラシックを制したのは、ロゴタイプが初めてです。

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