未勝利馬が制したノアイユ賞
昨日のロンシャン競馬場で、フランスでは今年最初の英仏ダービーへのトライアルとなるノアイユ賞 Prox Noailles (GⅡ、3歳牡牝、2100メートル)が行われました。
以前とはクラシック路線が大幅に変わってしまったフランス、ノアイユ賞も戦前とは比べられないほどに重要度を失ってきていると思います。例えば去年の勝馬ハード・ドリーム Hard Dream は仏ダービー7着、パリ大賞典6着の成績を残して香港に売られていきました。
一方で、1996年の勝馬エリシオ Helissio は後に凱旋門賞馬になりましたし、2001年のアナバー・ブルー Anabaa Blue は仏ダービーを制した直近の馬。更に2007年の勝馬ソルジャー・オブ・フォーチュン Soldier of Fortune が愛ダービー馬となるなど、未だ一級馬を産む可能性も秘めていると言えましょう。
今年は good to soft の馬場に7頭、ここまで3戦3勝のカプール Kapour が9対5の1番人気。ローカル・ベースのフランソワ・ロホー師の管理馬で、2歳時はローカル競馬で2勝、今期前走はサン=クルー競馬場のリステッド戦を制してG戦初勝利を目指します。
スタートから先頭に立ったカプール、勝利を目前にしたところで、4番手を進んだ2番人気(29対10)タブロー Tableaux の末脚に屈し、半馬身差2着で初黒星。短首差3着にも3番人気(3対1)のアール・コンテンポラン Art Contemporain が2番手を粘り込み、人気的には順当な結果に収まりました。
アンドレ・ファーブル厩舎、マクシム・グィヨン騎乗のタブローは、何とここまで3戦して未勝利だった馬。去年9月ロンシャンでのデビュー戦4着のあと、10月サン=クルーの未勝利戦2着でシーズン終了。今期初戦、4月初めのサン=クルーでは不良馬場の中3着でスタートし、このレースが初勝利でもありました。ジャイアンツ・コーズウェイ Giant’s Causeway 産駒、クールモアを代表する一人デリック・スミス氏の所有馬で、ここは追加登録料を支払っての参戦でした。
管理するファーブル師は、このレース断然の最多勝となる10勝目。同馬は、これまで経験した馬場状態では最も乾いた馬場でしたが、グィヨン騎手は馬場が勝因とは考えていない様子。前走も馬場そのものは問題ではなく、掛かり気味で能力を発揮できなかった由。この日は馬自身がリラックスしていたことが初勝利に繋がった、とのことでした。
必ずしも強力なメンバーが揃ったノアイユではありませんが、英ダービーに25対1のオッズが出されています。
2着のカプールは、負けても納得の内容。また3着のアール・コンテンポランも新馬勝ちしたばかりの参戦で、今後に期待が持てましょう。
更に前走でタブローを破ったブラヴォディーノ Bravodino という馬が12日後にグレフュール賞出走を予定しており、この馬の成績もノアイユ賞の真価を測るのに重要な位置付けとなるでしょうね。
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