2013クラシック馬のプロフィール(6)

昨日に続き今年のアイルランド・クラシック勝馬から、1000ギニーの覇者ジャスト・ザ・ジャッジ Just The Judge のプロフィールです。
ジャスト・ザ・ジャッジは、父ロウマン Lawman 、母ファラデイ・ライト Faraday Light 、母の父レインボウ・クェスト Rainbow Quest という血統。

父ロウマンは、2007年のフランス・ダービー馬。私がブログを開設した翌年のクラシックで、当時の日記(2007年6月4日号)にも書きました。その産駒がクラシック馬の父になるのですから、刻の流れは速いものだと感慨に耽ってしまいました。
他にイスパハン賞にも勝っており、ダービー馬とは言いながらより短めの距離に適性があるタイプと考えて良いかと思われます。
その産駒、ジャスト・ザ・ジャッジは2年目の産駒になりますが、初年度産駒でGⅠに勝ったのはモースト・インプルーヴド Most Improved 。セント・ジェームス・パレスを制した馬で、やはり1マイルのGⅠ。

ジャスト・ザ・ジャッジも1マイルのクラシックに勝ちましたが、母の父が長距離系のレインボウ・クェストであることで、この馬には更に長い距離でも活躍が期待されているようですね。レインボウ・クェストと言えば、愛1000ギニーは去年のサミター Samitar に続いて母の父として2連覇したことになります。

ここで牝系に話題を移しましょう。
母ファラデイ・ライト(2003年、栗毛)は、ジム・ボルジャー師が管理した馬で、アイルランドで2戦して未勝利。競走馬としての実績は皆無と言って良いでしょう。

繁殖牝馬としてのファラデイ・ライトも未だキャリアを開始したばかり。ジャスト・ザ・ジャッジはその3番仔に当たりますが、初産駒は競走馬にまで成長しなかったようで、調べた限りでは名前すら判っていません。
2番仔はアンバー・シルク Amber Silk (2009年 黒鹿毛 牝 父ロウマン)といい、ジャスト・ザ・ジャッジの全姉。妹と同様チャールズ・ヒルズ師が管理し、2歳時は3戦して未勝利。グッドウッドでの2着が最良の内容ようです。3歳の去年は6戦して1勝、3歳初戦にグッドウッドで1マイル戦に勝って未勝利を脱しました。後方追込みを得意とするタイプ。これで引退したのか否かは不明ですが、今年の5月現在出走の記録はありません。

2代母アンチャーテッド・ハヴン Uncharted Haven (1997年 鹿毛 父タートル・アイランド Turtle Island)は7戦4勝。フランスでデビューしましたが、アメリカのボビー・フランケル厩舎に移籍してから能力が開花した馬で、サン・クレメンテ・ハンデ、サン・ゴルゴニア・ハンデと二つのGⅡ戦に勝ち、他にもグレード戦に複数回の入着実績があります。
繁殖牝馬としての成績を纏めると、
2003年 ファラデイ・ライト
2004年 ウェイマーク Waymark 栗毛 せん 父ホーリング Halling マイケル・ジャーヴィス厩舎に所属し、6戦未勝利
2006年 ハイ・ヒールド High Heeled 鹿毛 牝 父ハイ・シャパラル High Chaparral ジョン・ゴスデン厩舎で18戦4勝 セント・サイモン・ステークス(GⅢ)勝馬
2007年 ハヴンズ・ウェイヴ Havens Wave 牝 父ホイッパー Whipper 詳細不明
2009年 ヒドゥン・ジャスティス Hidden Justice 鹿毛 せん 父ロウマン 17戦4勝 アマンダ・パレット厩舎に所属した平場時代はリングフィールドの7ハロン戦で1勝、ジョン・クィン厩舎の障害に転向して2勝 現役
2010年 パイレイト・コーヴ Pirate Cove 牝 父ロウマン 詳細不明

この中ではハイ・ヒールドが注目馬で、GⅢに勝った他、4歳時にはコロネーション・カップ(GⅠ)に挑戦して3着、タイムフォームは122の評価を与えました。
ここ2年は、娘ファラデイ・ライト共々ロウマンに配合しているのが興味深いと言えるでしょうか。

3代母はトチャー・バン Tochar Ban (1990年 黒鹿毛 父アサート Assert)。デヴィッド・エルスワース師が管理した馬で、2歳から3歳まで走り8戦1勝、ウインザー競馬場で10ハロン戦25頭立ての未勝利戦に勝っています。
産駒も現在まで輩出していますが、アンチャーテッド・ハヴンを上回る馬は出ていないようです。

4代母ゲスト・ナイト Guest Night (1970年 栗毛 父サー・アイヴァー Sir Ivor)も12戦2勝の勝馬、フレッド・ダーリング・ステークス(GⅢ)3着の実績があり、その産駒にもイタリアのリステッド戦に勝ったイスティカンナ Isticanna が出ました。
そして5代母がメソポタミア Mesopotamia (1961年 黒鹿毛 父ザラズーストラ Zarathustra)。愛ークス馬アガーズ・プロー Agar’s Plough の娘で、この馬の5頭の娘たちから、数多くのGⅠ級活躍馬が出ています。多少煩わしくなるかもしれませんが、準に列記しておきましょう。

(1)ベリティス Belitis の3代仔バラ・コーヴ Balla Cove がミドル・パーク・ステークス勝馬
(2)ガーデン・オブ・エデン Garden of Eden からは現時点で6頭のGⅠ馬が輩出。直仔ギャラクシー・リブラ Galaxy Libra はマンノウォー・ステークスとチュラ・ヴィスタ・ハンデ(現クレメント・ヒルシュ・ハンデ)に優勝。
  娘ウェルシュ・ガーデン Welsh Garden はカドラン賞モレスネス Molesnes の母であり、スプリント・カップとモーリース・ド・ギースト賞のチェロキー・ローズ Cherokee Rose の2代母。またチェロキー・ローズもイタリア・ダービーと英セントレジャー馬マスタリー Mastery の2代母となった。
  娘ホーム・アンド・アウェイ Home and Away はカドラン賞のサン・セバスチャン San Sebastien の2代母であり、サン=クルー大賞典とジャパン・カップに勝ったアルカセット Alkaased の3代母でもある。
(3)カモジー Camogie からは3代目にホーリング Halling が出、エクリプス・ステークス2回、ヨーク・インターナショナル2回、イスパハン賞とGⅠに5勝。
(4)ゲスト・ナイトが今年の愛1000ギニー馬ジャスト・ザ・ジャッジの4代母となる。
(5)ハウジー・タイ Housie Tie の3頭の娘もGⅠ馬の祖となり、娘ティー・ハウス Tea House はアメリカのクィーン・エリザベス・ステークス勝馬ダニッシュ Danish の母。
  娘イッティサール Ittisaal も去年のレーシング・ポスト・トロフィー勝馬で、一時は今年のダービー候補にも挙げられたキングスバーンズ Kingsbarns の2代母となり、
  娘ジャマイカン・パンチ Jamaican Punch はヨーク・インターナショナル、サセックス・ステークス、アスコットのクィーン・エリザベスⅡ世ステークスの覇者リップ・ヴァン・ウィンクル Rip Van Winkle の3代母になる、という具合。

以上、直近にはクラシック馬は見当たらないものの、5代まで遡れば、スプリンターからステイヤーまで、配合される種馬の特性に応じてGⅠ馬を出す可能性の高い牝系と言えるでしょう。

ファミリー・ナンバーは10-c。ボニー・ドゥーン Bonny Doon を基礎とする牝系です。

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