2013クラシック馬のプロフィール(8)

昨日に続いて今日はダービー馬ルーラー・オブ・ザ・ワールド Ruler Of The World の血統プロフィールです。
ルーラー・オブ・ザ・ワールドは、父ガリレオ Galileo 、母ラヴ・ミー・トゥルー Love Me True 、母の父キングマンボ Kingmambo という血統。既にご存知でしょうが、GⅠ5勝馬デューク・オブ・マーマレイド Duke of Marmalade の半弟と良血で、ダービー前から注目されていた血統。今回はその確認も兼ねてのファミリー紹介です。

父ガリレオについては説明の必要なし。自身がエプサム・ダービー馬で、産駒ではニュー・アプローチ New Approach に次ぐ2頭目。今年のクラシックは、愛2000ギニーのマジシャン Magician に続き2勝目ですが、明日紹介(予定)するインテロ Intello を含めれば3頭を輩出したことになります。もちろん未だクラシックは4レースが残っており、更に増える可能性もありましょう。

母ラヴ・ミー・トゥルー(1998年 栗毛)もクールモアの所有馬で、エイダン・オブライエンが調教しました。成績は2歳から3歳まで走って15戦1勝。勝鞍は3歳の8月にナース競馬場で挙げた1マイル戦でのもので、2歳時には未勝利で挑戦したキラヴュラン・ステークス(GⅢ)で3着という入着歴もあります。
クラシックでは愛1000ギニーに出走しましたが、16頭立てのシンガリ16着惨敗。競走馬としてはほとんど目立つところはありませんでした。但し2歳馬競りでは大変に評判となった馬で、クールモアはこの馬に135万ドルも支払っています。この年キングマンボ産駒では2番目に高価だった馬の2倍以上したのですから、競走馬としての投資は完全な赤字だったワケ。

しかし馬の価値、特に牝馬のそれは繁殖成績も考慮されたもので、その意味ではラヴ・ミー・トゥルーは大成功だったと言えましょう。ここまでの成績を念のため一覧しておくと、
2003年 ミスティフィケーション Mystification 鹿毛 牡 父デインヒル Danehill 未出走
2004年 デューク・オブ・マーマレイド 鹿毛 牡 父デインヒル エイダン・オブライエン厩舎 16戦6勝 後記
2005年 ソーインラヴウィズユー Soinlovewithyou 鹿毛 牝 父サドラーズ・ウェルズ Sadler’s Wells エイダン・オブライエン厩舎 9戦1勝 勝鞍はゴウラン競馬場の7ハロン 愛1000ギニーは13頭立て13着
2006年 ストーム・フィンチ Storm Finch 黒鹿毛 牡 父ストーム・キャット Storm Cat 未出走
2007年 カウンテス・レモネード Countess Lemonade 鹿毛 牝 父ストーム・キャット  フランス(ジャン=クロード・ルジェ厩舎)で7戦2勝、アメリカ(トッド・プレッチャー厩舎)で8戦未勝利
2008年 ルッキング・ラヴリー Looking Lovely 鹿毛 牝 父ストーム・キャット エイダン・オブライエン厩舎 4戦1勝 勝鞍はレパーズタウンの6ハロン
2010年 ルーラー・オブ・ザ・ワールド

この中で突出してるのはデューク・オブ・マーマレイドで、4歳になってGⅠに5連勝した馬。3歳時は2000ギニー、愛2000ギニーはいずれも4着と健闘しましたが未勝利。
4歳になると本格化し、ガネー賞、トトソルズ・ゴールド・カップ、プリンス・オブ・ウェールズ・ステークス、キング・ジョージ6世&クィーン・エリザベス・ステークス、ジャドモント・インターナショナルと5連勝。凱旋門賞は7着、ブリーダーズ・カップ・クラシックも9着と敗れましたが、タイムフォームは132に評価しました。
2009年から種牡馬。今年のクラシック世代が初産駒ですが、父が遅咲きだっただけに、現時点で活躍馬は出ていません。

2代母はラッシーズ・レディー Lassie’s Lady (1981年 鹿毛 父アリダ― Alydar)。アメリカで走った馬で、10戦2勝。勝鞍は7ハロンで、繁殖牝馬としては9頭の勝馬を出しました。
その産駒で若い頃に産んだ馬に活躍馬が多く、初産駒のバイト・ザ・バレット Bite The Bullet (1987年 鹿毛 牡 父スペクタキュラー・ビッド Spectacular Bid)は7ハロンまでに能力を発揮した馬で、サンドフォード・ステークス(GⅡ)に勝ってアーリントン=ワシントン・フューチリティーで入着。
3番仔のシュアイラーン Shuailaan (1989年 栗毛 牡 父ロベルト Roberto)は英国で走り、ウインザーで10ハロンの一般ステークスに勝ち、セントレジャーとチャンピオン・ステークスで4着。

また5頭目の勝馬となったアサクサマンボ(1995年 鹿毛 牝 父キングマンボ)は名前から判るように日本で走った馬。ルーラー・オブ・ザ・ワールドの母ラヴ・ミー・トゥルーの全姉に当たり、その産駒には袖ヶ浦特別(中山1200メートル)など5勝のアラマサローズ、すずらん賞(札幌1200メートル)と初音ステークス(東京1600メートル)に勝ったアラフネが出ているのは日本のファンもご存知でしょう。

3代母ラッシー・デアー Lassie Dear (1974年 鹿毛 父バックパサー Buckpasser)は26戦5勝。キーンランド競馬場のGⅢ戦ヴィレイシャー・ステークスに勝っていますが、このレースは現在廃止されています。
ラッシー・デアーは繁殖に上がっても大成功。直仔では英国で走り、ヘイドック・スプリント・カップやフォレ賞など現在GⅠに格付けされている短距離戦を制したウルフハウンド Wolfhound が代表産駒。

ラッシーズ・レディーの他に、2頭の娘たちがGⅠクラスの活躍馬を輩出し、
ウィークエンド・サプライズ Weekend Surprise が、プリークネス・ステークス優勝のサマー・スコール Summer Squall とベルモント・ステークスのエー・ピー・インディー A.P.Indy と2頭のクラシック馬の母となり、BCマイルなどGⅠ5勝のコート・ヴィジョン Court Vision の2代母でもあります。
更にチャーミング・ラッシー Charming Lassie の仔レモン・ドロップ・キッド Lemon Drop Kid がベルモント・ステークスを制し、トラヴァース、ウッドワード、ホイットニーなど錚々たるGⅠを撃破。
アメリカの競馬には欠かせないファミリーとしてその存在感を高めてきました。

更に遡れば、4代母ゲイ・ミサイル Gay Missile (1967年 鹿毛 父サー・ゲイロード Sir Gaylord)はアシュランド・ステークスの勝馬。サン=クルー大賞典に勝って日本でも種牡馬となったゲイ・メセン Gay Mecene の母であり、チーヴリー・ステークス勝馬ゲイ・ガランタ Gay Gallanta の2代母でもあります。

5代母ミッシー・ベイバ Missy Baba は愛オークス馬ユーヴィラ Uvira の娘で、ゲイ・ミサイルの妹トール・ブース Toll Booth からも、現在まで淀みなく活躍馬が出ています。即ち、
フロリダ・ダービー、ウッド・メモリアルなどのプラグド・ニッケル Plugged Nickle 、ダイアナ・ステークスとフラワー・ボウル・インヴィテーショナルのクリスティーキャット Christiecat 、
プライオレス・ステークスのトークン・ダンス Token Dance 、フラワー・ボウル・インヴィテーショナルを2階制覇してQEチャレンジ・カップにも勝ったリスカヴァース Riskaverse 、
最も新しい所では、ウッドワード、ベルデイム、コーティリオン、アップル・ブロッソムなど大所を次々に制覇したハーヴル・ド・グラース Havre de Grace が記憶に新しい所でしょう。

ファミリー・ナンバーは、3-l。1859年の1000ギニー馬マヨネーズ Mayonaise を基礎牝馬とする牝系で、遠く日本でもコダマ、キタノカチドキ、メイショウサムソン、スペシャルウィーク、ウォッカなどを産んできた名門です。

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