ピーター・ゼルキン、プロムス初登場

霧ヶ峰、蓼科の避暑から戻り、気分はすっかりオフになってしまいました。一日かけて日記を整理し、普段の生活に戻ろうとしましたが、中々躰が受け付けないようです。
BBCのプロムス中継も3~4日休むと面倒臭い気持ちが先に立ちますが、賞味期限もあることだし、気合を入れて復活することにしました。
大分プログラムも進んでしまいましたが、中断した所に戻って、先ずは8月1日のコンサートを聴きましょうか。

≪Prom 26≫
ヘンツェ/舟歌 Barcarola
ストラヴィンスキー/ピアノと管楽器のための協奏曲
     ~休憩~
ストラヴィンスキー/ムーヴメンツ
ティペット/交響曲第2番
 BBC交響楽団
 指揮/オリヴァー・ナッセン
 ピーター・ゼルキン(ピアノ)

この回は現代音楽、と言ってもバリバリの最新作ではなく、少し前の作品が並んでいます。

最初のヘンツェは去年亡くなった大家。一時社会主義音楽のレッテルを貼られていましたが、舟歌はそれを脱してからの作品じゃなかったかしら。ラトル指揮のディスクもあったと記憶します。

休憩を挟んでストラヴィンスキーの協奏作品を2曲弾いたピーター・ゼルキンは、私よりほぼ一つ年下ですから66歳になったばかりでしょうか。今回がプロムス・デビューというのは不思議な気がします。
最初の協奏曲は、管楽器の他にコントラバスとティンパニが入ります。ナタリー・クーセヴィツキーに捧げたもので、バロック協奏曲風。1924年という作曲年を反映して新古典的な協奏曲です。
一方、後半で弾かれたムーヴメンツは1950年代終わりの作品。ストラヴィンスキーのセリ―時代の代表作で、スコアを見て聴いていても頭が痛くなりました。一応5楽章に分かれていますが、切れ目なく演奏されるので、譜面が無いと何処が楽章の堺なのか判らないでしょうね。

ピーターはムーヴメンツのあとでアンコールを1曲。ほとんどストラヴィンスキーが発見したと言っても良い位の武満徹の歌曲から「うたうだけ」(詩/谷川俊太郎)。アンコールの前に“I Just Sing”と曲名を告げたと聞きましたから、多分これでいいでしょう。
この小品は恐らく歌曲をピアノ・ソロにアレンジしたもので、気怠いジャズ風のもの。最高に素晴らしい演奏でした。ディスクあるのかな?

メインのティペットはBBCが委嘱した作品。1958年2月に、サー・エイドリアン・ボールト指揮でこの日のオケ、BBC響が初演しています。初演オケによる演奏でしたが、リズムにもう少し切れ味が欲しいとも感じられました。
ヴィヴァルディ作品のエネルギーに触発されたということで、第1・4楽章のバロック風進行は前半のストラヴィンスキーに通ずるものがあります。

なお、第1楽章にはアド・リビトゥムでチェレスタが指定されていますが、今回の演奏はチェレスタというよりグロッケンシュピールの金属的な響きに聴こえました。ネットの音ですから自信はありませんが・・・。

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