フェスタ2008・読売日響

今日の午後、読売日響がミューザ川崎のフェスタに登場しました。毎年のフェスト、平日の午後という勤め人には到底無理なコンサートがいくつか組まれています。夏休みの学生、引退して夜のコンサートは行きたくない方、家庭の主婦等々、平日の午後こそ聴き時という人をターゲットにしているのでしょうか。
今年は3つのオーケストラが該当します。いずれも午後3時開演。
7月30日(水曜日) 読売日響
8月4日(月曜日) N響
8月6日(水曜日) 日本フィル
私は「不良」という形容詞が付くものの一応はサラリーマンですから、仕事を放り出して全部聴くわけにもいきません。いろいろあって休暇も残り少ないですからね。
結局こういうことにしました。前日との兼ね合いなどからの判断。
読売日響→半日休暇
N響→パス
日本フィル→夏季休暇
ということで、今日は2時まで仕事。後は休暇にして川崎へ。
フンパーディンク/歌劇「ヘンゼルとグレーテル」~「夕べの祈り」「夢のパントマイム」
ワーグナー/楽劇「神々の黄昏」~「夜明けとジークフリートのラインへの旅」
シューマン/交響曲第3番「ライン」
 読売日本交響楽団
 指揮/下野竜也
 コンサートマスター/デヴィッド・ノーラン
これもハーフコンサートで休憩はありません。2時15分からマエストロのプレトークがあったそうですが、それは時間的に無理なのでパス。ホールに着いたらプレトークが丁度終わったところでした。
プログラムを見れば判るように、ハーフとは言え立派に一夜を費やしてもいい充実した内容。最近のオーケストラの実力からしても、今年のフェスタの本命と言ってよいコンサートでしょう。
とは言っても平日の午後、客席は寂しく、昨日のシティフィルより若干入っているかな、という程度。3割から4割という感じでした。
マエストロ下野登場で、アレッ! このところの暑さにぶち切れたのか、随分サッパリしています。丸刈りまではいかないまでも、角刈りというのか、師匠(広上淳一)を意識したのか、これじゃホントに西郷さんみたいじゃありませんか。
それとも、刈り上げなければいけない理由でもあったのかな。
髪型は変われど、出てくる音楽の爽快感は相変わらず。ライン繋がりとも、ホルン繋がりとも言える3曲を堂々と謳い上げます。
特に素晴らしかったのはシューマン。中でも見事だったのは第1楽章の圧倒的な構成感でしょう。
都響を振った某氏と比べるのも野暮、指揮者の力量を測るに申し分のない作品から引き出すズシッとした手応えに、ホンモノが感じられます。
アンコールもありました。同じシューマンからトロイメライ。なるほどこれで冒頭の「夢の音楽」に回帰するんですね。マエストロの仕掛けも筋が通っています。
去年のフェスタで山の音楽を取り上げた下野竜也、今年は河がテーマ。もし来年も登場するなら、もちろん海でしょうね。
ところでアンコールのトロイメライ。マエストロに確認したところ、編曲者はアーサー・ラック Arthur Luck で間違いないでしょう。
ラックという人はデトロイト交響楽団とフィラデルフィア管弦楽団のライブラリアンを務めた人で、ありとあらゆる出版社からオーケストラ譜を収集した奇人。遂には1940年代に自分の出版社を立ち上げ、膨大なオーケストラ譜を扱っています。
譜面探に困っているオーケストラのライブラリアンの皆さん、イザと言う時にはラックに相談して下さい。大抵のものは、貸譜ながら手配してもらえるはずですよ。
シューマンのトロイメライなど、他にオーケストラ用の譜面がないので自分で弦楽合奏用にアレンジしちゃってんですから凄い。今日はそういう珍品アンコールも付いたお徳用コンサートでした。

 

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