勝馬が降着となったアディロンダック
日曜日のアメリカも夏競馬が続き、サラトガとデル・マーでG戦が行われました。
サラトガ競馬場は2歳のG戦が2鞍、先に行われたのが牝馬によるアディロンダック・ステークス Adirondack S (GⅡ、2歳牝、6.5ハロン)です。馬場は fast 、1頭が取り消して6頭立て。前走チャーチル・ダウンズでデビュタント・ステークス(一般ステークス)に勝ったフィフティーシェイズオブゴールド Fiftyshadesofgold が1対4の断然1番人気、無傷の3連勝を目指します。
ホップ・ザ・スカイ Hop the Sky の逃げ。フィフティーシェイズオブゴールドは3番手を追走し、直線では内ラチ沿いから抜けようとしました。しかし2番手を進んだ2番人気(4対1)フーズ・イン・タウン Who’s in Town が先頭に立った所にブービー人気(16対1)のデザイナー・レッグス Designer Legs が外から襲い掛かり、2頭の激しい叩き合い。その内を衝いた本命フィフティーシェイズオブゴールドは進路が狭くなり、何度か馬を止めそうになるアクシデント。ゴールでは首差でフーズ・イン・タウンがデザイナー・レッグスに先着し、1馬身4分の3差3着争いにはサンキュー・メイルー Thank You Maylou が勝ってフィフティーシェイズオブゴールドは4着の不運。
しかしこのアクシデントは直ぐに審議となり、結局は1着で入線したフーズ・イン・タウンがフィフティーシェイズオブゴールドの進路を塞いだと判定され、本命馬の後の4着に降着、2着以下が繰り上がって公式の結果となりました。3着に繰り上がったとはいえ悔しいのはフィフティーシェイズオブゴールド陣営。あれが無ければ勝ったのは間違いないと不満気でした。更に骨折で競走を中止したチャームド・アワー Charmed Hour は安楽死処分となり、何とも荒れたアディロンダックになってしまいました。
勝ちを拾った感のデザイナー・レッグスは、ダラス・スチュアート厩舎、シャウン・ブリッジモハーン騎乗。カンタベリー・パークの新馬戦とプレーリー・メドウズの一般ステークスに連勝したあと、それまでのゲイ・シェラー厩舎からスチュアート師の元に転じての初戦。3戦3勝でサラトガのチャンピオン2歳牝馬を目指すことになりましょう。
続いて、牡馬による伝統の第107回サラトガ・スペシャル・ステークス Saratoga Special S (GⅡ、2歳、6.5ハロン)。7頭が出走し、チャーチル・ダウンズで5馬身差の新馬勝ちを演じたキャンディー・ダンディー Candy Dandy がイーヴンの1番人気。この時の2・3着馬が何れもサラトガで勝っていることが人気の要因です。出走馬中唯1頭ステークスに勝っている(サンフォード・ステークスGⅡ)ワイア―ド・ブライアン Wired Bryan が3対1の2番人気で続きました。
先手を奪ったのは4番人気(6対1)のコルフー Corfu 、2番手から追い詰めるワイア―ド・ブライアンをハナ差で凌ぎ切っての逃げ切り勝ちです。半馬身差で内を衝いたダンザ Danza が3着に食い込み、キャンディー・ダンディーは3番手に付けていたものの5着敗退。勝時計1分15秒57はステークス・レコードでもありました。
コルフーは、これがサラトガ・スペシャルを8度目の挑戦で制したトッド・プレッチャー師の管理馬。騎乗したジョン・ヴェラスケスにとってもスペシャル初制覇です。また2着惜敗のワイア―ド・ブライアンは、先にも紹介したようにプレッチャー師の弟子にあたるマイケル・ディルガー厩舎の馬。師弟にとってもスリリングなゴール前でした。
クールモアが所有するコルフーは、前走サラトガの新馬戦(7月25日)に勝ったばかりで2戦2勝、9月2日に行われるホープフル・ステークス(GⅠ)が師弟対決の再度の舞台になるでしょう。
最後はデル・マー競馬場のジョン・C・メイビー・ステークス John C. Mabee S (芝GⅡ、3歳上牝、9ハロン)。以前はGⅠだったこのレースも現在はGⅡに降格、firm の馬場に5頭立て。前走ゲイムリー・ステークス(芝GⅠ)で芝の古馬牝馬チャンピオンのマーケティング・ミックス Marketing Mix に頭差まで迫ったティズ・フラーテイシャス Tiz Flirtatious がそれ以来の競馬ながら3対5の1番人気。
アルゼンチンのジュルナリスト Journaliste が逃げ、5頭が縦一列の展開。4番手を進んだティズ・フラーテイシャスは、相手と見ている2番人気(5対2)レディー・オブ・シャムロック Lady of Shamrock が動くのを見て直ぐに反応。直線でこれを捉えると、ほぼ馬なりのまま2馬身4分の1差を付ける圧勝。更に1馬身4分の1差でマイ・ジー・ジー My Gi Gi が3着に入りました。
共に初制覇となるマーティン・ジョーンズ厩舎、ジュリアン・ルパルー騎乗のティズ・フラーテイシャスは、今期サンタ・アニタの一般ステークスとサンタ・アナ・ステークス(芝GⅡ)に連勝。通算成績も11戦7勝2着3回3着1回となり、着外に落ちたことは一度も無い堅実な成績を誇る5歳馬。二つ目のG戦を制し、次はGⅠ制覇が目標でしょう。
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