世界最強馬敗れる! 大波乱のサン・ディエゴ

昨日のアメリカ競馬レポートはサラトガ夏開催の開幕でしたが、一方のカリフォルニアでは去る19日にデル・マーの夏競馬が開幕していました。
ただG戦が行われたのは昨日の土曜日、22日が最初でしたから、これで漸くアメリカの夏2枚看板が揃ったことになります。ということで二つの競馬場のG戦4鞍、レースが行われた順に取り上げていきましょう。

ニューヨークのサラトガ競馬場ではG戦2鞍。サンフォード・ステークス Sanford S (GⅢ、2歳、6ハロン)は fast の馬場に8頭が出走し、6月15日チャーチル・ダウンズのデビュー戦を3馬身差で快勝したフリー・ドロップ・ビリー Free Drop Billy が3対1の1番人気に支持されていました。
2番人気(7対2)のバッフィン Buffin が逃げ、前半4番手から外を回って進出した7番人気(12対1)のフィレンツェ・ファイア Firenze Fire が前を捉えて先頭に立つと、前半7番手から一気に進出したフリー・ドロップ・ビリーを1馬身抑えるサプライズです。3番手を進んだ4番人気(4対1)のサイコアナライズ Psychoanalyze が5馬身4分の1差で3着。
ジェイソン・サーヴィス厩舎、イラッド・オルティス騎乗のフィレンツェ・ファイアは、6月18日にモンマス・パークでデビュー勝ちし、これで2戦2勝。サーヴィス師はデビューで勝つとは思っていなかったようで、単なるスピード馬ではなく、クラシック距離でも問題ないと見做しています。次走がその見極めとなるでしょう。

サラトガの二つ目は、今開催最初のGⅠ戦となるダイアナ・ステークス Diana S (芝GⅠ、3歳上牝、9ハロン)。firm の馬場に6頭が出走し、前走ゲイムリー・ステークス(芝GⅠ)を制したレディー・イライ Lady Eli が4対5の断然1番人気。
逃げたのは4番人気(7対1)のキドゥーラ Quidura 、レディー・イライは後方2番手から末脚に賭けます。直線でもキドゥーラは良く粘り、大外から追い上げたレディー・イライが追い上げましたがやや内にもたれながらも最後は頭差でキドゥーラに先着。4番手追走から内ラチ沿いを抜けようとした2番人気(5対2)のアントノー Antonoe は進路が狭くなる不利があり、1馬身差の3番手での入線。長い審議になりましたが、結局入線通りで確定しています。審議の対象となったのは1着と3着は、皮肉にも同じ厩舎の馬。
それがチャド・ブラウン厩舎で、勝馬にはこの日のG戦ダブルとなるイラッド・オルティスが騎乗していました。今年5歳、これがGⅠ戦5勝目となるレディー・イライについては改めて紹介するまでもないでしょう。今期はゲイムリーに続いてGⅠ戦2連勝、そのプロフィールは5月27日のレポートをご覧ください。ブラウン師は、2着馬より8ポンドも負担していた今回の勝利が彼女のベスト・レースと明言しました。

一方、この日が最初のG戦デイとなったデル・マー競馬場からは2鞍。先に行われたエディー・リード・ステークス Eddie Read S (芝GⅡ、3歳上、9ハロン)は、一昨年からGⅡに降格された一戦で、長くGⅠ戦として親しまれてきたもの。今年は firm の馬場に7頭が出走し、前走2度目となるチャールズ・ウィッティンガム・ステークス(芝GⅡ)制覇を果たしたアシュレーラヴズシュガー Ashleyluvssugar が3対5の1番人気。
3番人気(9対2)のケンジスストーム Kenjisstorm が逃げ、2番手を追走した6番人気(19対1)のミスター・ローリー Mr. Roary が内から抜ける所に3番手を進んだアシュレーラヴズシュガーが大外から急襲。しかし前半4番手で待機した2番人気(3対1)のハント Hunt が逃げ馬とミスター・ローリーの間を割って末脚を爆発させると、外の本命馬に1馬身差を付ける逆転劇となりました。半馬身差でミスター・ローリーが3着。
フィリップ・ダマト厩舎、フラヴィアン・プラット騎乗のハントは、これがG戦初勝利となる5歳せん馬。3歳時のトゥワイライト・ダービー(芝GⅡ)4着を皮切りにここまで4度G戦に挑戦してきましたが、漸くタイトルを手にすることが出来ました。前走アメリカン・ステークス(芝GⅢ)5着は、あくまでここに向けてのステップ・レースだったようです。

土曜日の最後は、注目のサン・ディエゴ・ハンデキャップ San Diego H (GⅡ、3歳上、8.5ハロン)。GⅡ戦ながら去年はカリフォルニア・クローム California Chrome が制し、チャンピオンホースが夏から秋へのステップとするレースとして定着しつつあります。今年も fast の馬場に1頭が取り消して5頭立てながら、世界最強馬アロゲート Arrogate がドバイ・ワールド・カップ以来の実戦と言うことで1対9の圧倒的1番人気。馬券的な妙味は皆無と思われていましたが・・・。
スタート良く飛び出したのは、2番人気(それでも7対1)のアクセルレート Accelerate 、アロゲートは悠然と最後方から競馬を進めます。しかしそこからは信じ難い光景が。大本命は第3コーナーの手前辺りから進出を開始したものの、僅かに差を詰めるだけ。直線に入って直ぐに鞍上マイク・スミスは追うのを諦めてしまいました。
レースは単調そのもの、逃げたアクセルレートが2番手を追走した4番人気(24対1)のドンワース Donworth に8馬身半の大差を付けての逃げ切り勝ち。3着も3番手に付けた3番人気(18対1)のキャット・バーグラー Cat Burglar が2馬身半差で続き、アロゲートは更に4馬身4分の1差という屈辱の4着惨敗。残る1頭は格下も格下、更にスタートして鐙を外して競馬にならなかった馬で、アロゲートは実質最下位でもありました。
ジョン・サドラー厩舎、ヴィクター・エスピノザ騎乗のアクセルレートは、去年ロス・アラミトス・ダービー(GⅡ)に勝っていた4歳馬ですが、GⅠ4連勝のアロゲートとは全くクラスが違う馬。それでもBCダート・マイル3着、サン・パスカル(GⅡ)2着、サン・アントニオ(GⅡ)3着と言う実績もあるにはあるのですが・・・。何とも言いようのない溜息が漏れたデル・マーG戦初日ではありました。アロゲート陣営は、“燃えなかった”の一言のみで言葉もありません。

 

 

 

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