泥んこ馬場の番狂わせ

8月31日のアメリカ競馬は3場で5鞍のG戦、内3鞍がGⅠと8月の締め括りに相応しい豪華なプログラムでした。

最初はサラトガ競馬場。残念ながら雨に祟られ、特にメインコースは泥んこ馬場の中、番狂わせが続出してしまいました。
先ずは芝コースから、バーナード・バルーク・ハンデキャップ Bernard Baruch H (芝GⅡ、3歳上、8.5ハロン)。yielding の馬場は何とか芝コースが使えるギリギリの状態、2頭が取り消しての5頭立て。前走モンマス・パーク競馬場でオーシャンポート・ステークス(芝GⅢ)に勝ったシルヴァー・マックス Silver Max が4対5の1番人気。
大外7番枠を引きながらもスタートから先手を取ったシルヴァー・マックス、そのまま後続を寄せ付けず、3番手から2番手に上がったパリス・ヴェガス Paris Vegas に2馬身差を付けて期待に応えました。6着は更に6馬身4分の1の大差が付いてテトラドラクム Tetradrachm 。
デール・ロマンス厩舎、ロビー・アルバラード騎乗のシルヴァー・マックスは、これでG戦2連勝。去年3歳時にはヴァージニア・ダービー(芝GⅡ)に勝った馬で、陣営ではアメリカの芝コースでは最強馬に育つ可能性が高いと期待の1頭。更なる成長が望めそうな存在です。

続いてGⅠのフォアゴ・ステークス Forego S (GⅠ、3歳上、7ハロン)。上記のように馬場は水が浮くような sloppy 、1頭取り消しがあって8頭が出走してきました。GⅠ馬ジャスティン・フィリップ Justin Philip と馬券的には組になるファスト・バレット Fast Bullet が3対4の1番人気。
しかし結果は波乱、やはり馬場状態が影響したのでしょうか、15対1の穴馬ストラッピング・グルーム Strapping Groom があれよあれよの逃げ切り勝ちです。直線では外に膨れましたが、5番手追走からインを衝いて追い込んだジャクソン・ベンド Jackson Bend に半馬身差。更に3馬身差で漸くジャスティン・フィリップが3着に入りました。
このレース初制覇となるデヴィッド・ジャコブソン厩舎、ジュニア・アルヴァラード騎乗のストラッピング・グルームは、今年5月にクレーミング戦(勝った馬は売却されるレース)で入手したばかりの6歳馬。何処かに見所があるから購入したとは言え、新天地に移ってからは4戦3勝、全てステークスでの勝利です。唯一の敗戦は、ただ一度挑戦したG戦(ジェームス・マーヴィン・ステークスGⅢ、7月19日サラトガ)での5着で、G初勝利がいきなりのGⅠ勝ちの快挙となりました。

最後のウッドワード・ステークス Woodward S (GⅠ、3歳上、9ハロン)も波乱。こちらも2頭が取り消し、5頭立て。3対2の1番人気にはハスケル・インヴィテーショナル(GⅠ)に勝ったペインター Paynter が支持されていましたが、どん尻5着敗退の番狂わせです。
主役に躍り出たのは、最低人気(と言っても7対1)でしかなかったアルファ Alpha 。これまでのG戦2鞍同様にスタートからゴールまでの逃げ切り勝ちです。やはりこの馬場では先手必勝がパターンと成らざるを得ません。直線では2番人気(2対1)のフラット・アウト Flat Out が外から追い上げて一旦は並び掛けましたが、外に膨れてコースをロスし、再度馬体を寄せましたが頭差届かず。3着は6馬身4分の3の大差が付いて3番人気(7対2)サクセスフル・ダン Successful Dan の順。
キアラン・マクローリン厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のアルファは、最低人気と言っても同着ながら去年のトラヴァース・ステークス(GⅠ)の勝馬。ゴドルフィンの馬で、勝鞍はトラヴァース以来ながら、グレード・レースはジム・ダンディー・ステークス(GⅡ)、ウィザーズ・ステークス(GⅢ)に続いて4勝目となります。

次にアーリントン競馬場に移動し、ワシントン・パーク・ハンデキャップ Washington Park H (GⅢ、3歳上、9ハロン)。こちらは fast の馬場で、最初から6頭立てと少頭数。連覇が掛かる去年の勝馬ミスター・マルティ・グラ Mister Marti Gras が僅かの差の2対1で1番人気。
レースはギャラント・イーグル Gallant Eagle が快調に逃げ、これを5番手で追走した同じ2対1の2番人気で続くウィルコックス・イン Willcox Inn が直線で外から追い上げ激しい叩き合い。両馬譲らず競り合う所、更に外からハタッシュ Hattaash が急襲してのゴール前。写真判定の結果、真ん中のウィルコックス・インがハナ差で内のギャラント・イーグルを捉えていました。外のハタッシュは首差届かず3着。人気のミスター・マルティ・グラは前3頭に2馬身半及ばず4着まで。
マイケル・スティドハム厩舎、ジェームス・グレアム騎乗のウィルコックス・インは、前走ユナイテッド・ネイションズ・ステークス(GⅠ)が5着。一昨年3歳時にはアメリカン・ダービー(芝GⅡ)、ホーソン・ダービー(芝GⅢ)の他にアーリントン・クラシックにも勝った馬で、G戦は3勝目にしてポリトラック・コースのG戦は初めてのことになります。

土曜日最後は、デル・マー競馬場からデル・マー・デビュタント・ステークス Del Mar Debutante S (GⅠ、2歳牝、7ハロン)。9月4日のデル・マー・フューチュリティーと並ぶ夏のデル・マー2歳戦の総決算でもあります。fast の馬場に8頭立て。トライアルとなるソレント・ステークス(GⅡ)の1・2着馬が参戦してきましたが、デビュー戦を快勝したボブ・バファート厩舎の評判馬オウサム・ベイビー Awesome Baby がイーヴンの1番人気。
1番枠を引いたオウサム・ベイビーはスタート良く飛び出しましたが、それよりもテンが早かったのが2番人気(9対2)のシーザ・タイガー She’s a Tiger (実況アナはシーズ・エイ・タイガーと発音)。それでも押して先頭に立った本命馬をピタリとマークしたシーザ・タイガー、3~4コーナー中間で抑えたまま並び掛けると、そのまま後方から追い込むファシネイティング Fascinating を半馬身差抑えて優勝。更に1馬身4分の3差に3番人気(5対1)でソレント・ステークス勝馬のコンケーヴ Concave が続きました。ビッシリ競られたオウサム・ベイビーはバテて7着敗退です。
ジェフ・ボンド厩舎、ゲーリー・スティーヴンス騎乗のシーザ・タイガーは、ソレント・ステークスの2着馬。ランダルーシー・ステークス(一般ステークス)を含め2戦無敗で臨んだ同レースではコンケーヴに半馬身差し切られましたが、今回はライヴァルに雪辱を果たした上でのGⅠ勝ちです。今年復帰したスティーヴンスはこのレース、2002年のミス・フーディーニ Miss Hudini 以来の5勝目で、伝説の名手ビル・シューメーカーと並びました。
シーザ・タイガーは血統的にも注目で、半兄のスマイリング・タイガー Smiling Tiger は、トリプル・ベンド・ハンデ、ビング・クロスビー・ステークス、エンシェント・タイトル・ステークスとGⅠに3勝した快速馬。これで通算成績も4戦3勝2着1回となり、2歳牝馬の頂点を目指すのに何の不足も無い1頭と言えるでしょう。

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です