2013クラシック馬のプロフィール(2)

前回に続いて1000ギニーの勝馬、スカイ・ランターン Sky Lantern のプロフィールを見て行きましょう。父レッド・クラブス Red Clubs 、母シャワンニ Shawanni 、母の父シャリーフ・ダンサー Shareef Dancer という血統。
2000ギニー馬同様、最初に父馬についての紹介から。

父レッド・クラブス(2003年、黒鹿毛、父レッド・ランソム Red Ransom)は典型的なスプリンター。2歳時にはコヴェントリー・ステークス(GⅡ、この年はアスコットでなくヨーク競馬場での代替競馬)に勝ち、ジムクラック、ミドルパークが何れも2着、2歳最終戦は7ハロンのデューハーストにも挑戦しましたが4着敗退。この時点でやや長い距離に疑問を感じていました。
3歳初戦のグリーナム・ステークス(7ハロン)に勝って2000ギニーに挑戦したものの、14頭立ての12着と惨敗。この時点でスプリント路線一本に変更します。この年の秋にはアスコットでダイアデム・ステークス(GⅡ)に勝ち、3つ目のG戦制覇。
4歳時も現役を続け、7戦1勝でしたが、勝ったのはGⅠのヘイドック・スプリント・カップ。タイムフォームでは125の評価を得て種牡馬となりました。

しかしレッド・クラブスには受胎率に問題があり、僅か2年間の共用のみで廃用。2010年には僅か7歳の若年で死亡します。スカイ・ランターンはレッド・クラブの2年目にして最後の産駒となってしまいました。代表産駒はスカイ・ランターン1頭のみ、と言っても過言ではないでしょう。

次にスカイ・ランターンの牝系です。
母シャワンニ(1993年、芦毛)はゴドルフィンの所有馬で、先日禁止薬物使用の廉で8年間の業務停止処分を受けたスロール師が管理した馬。僅か3戦のみで現役を終えています。
2歳デビュー戦のヤーマス競馬場で新馬勝ち、2戦目にアスコットのフィリーズ・マイル(GⅠ)に挑戦して5着となり2歳シーズンを終了。3歳シーズンは1戦のみ、フランスに遠征して仏1000ギニーに挑戦しましたが6着。これがシャワンニの競走馬としての全成績です。

繁殖に入った彼女の成績を列記すると、

1998年 ミスティック・マン Mystic Man 鹿毛 牡 父カドー・ジェネルー Cadeaux Genereux 78戦14勝
1999年 トゥワイライト・ソネット Twilight Sonnet 鹿毛 牝 父エクジット・トゥ・ノーウエア Exit To Nowhere 7戦2勝
2000年 シャンティー・スター Shanty Star 芦毛 牡 父ヘクター・プロテクター Hector Protector 23戦4勝
2001年 シャザナ Shazana 芦毛 牝 父キー・オブ・ラック Key of Luck 4戦未勝利
2002年 シャラビー Sharaby 鹿毛 牝 父カドー・ジェネルー Cadeaux Genereux 15戦2勝
2003年 ラッキー・トークン Lucky Token 鹿毛 牝 父キー・オブ・ラック Key of Luck 6戦1勝
2004年 ヒントン・アドミラル Hinton Admiral 鹿毛 せん 父スペクトラム Spectrum 76戦16勝
2005年 サマー・ゲームス Summer Games 鹿毛 牝 父ストーミング・ホーム Storming Home 9戦2勝
2006年 スカーレット・エンパイア Scarlet Empire 芦毛 牝 父レッド・ランソム Red Ransom 未出走(?)
2007年 アークティック Arctic 芦毛 牡 父シャマーダル Shamardal 18戦4勝
2008年 シュロプシャー Shropshire 芦毛 牡 父シャマーダル Shamardal 21戦3勝
2010年 スカイ・ランターン

スカイ・ランターンは、母17歳の時の仔、クラシック馬としては高齢での産駒といえるでしょうか。母にとって10頭目の勝馬で、勝馬率はかなり高い繁殖成績です。
この中で取り上げたいのは、3年目の産駒シャンティー・スター、ヒントン・アドミラル、アークティック、シュロプシャーの4頭でしょう。
シャンティー・スターはクィーンズ・ヴァース(GⅢ)に勝ったステイヤー、ヒントン・アドミラルはドンカスター・ステークス、スプリング・カップなど短距離のハンデ戦に勝った馬。
アークティックも短距離馬で、ラウンド・タワー・ステークス(GⅢ)優勝馬。シュロプシャーにはグリーナム・ステークス3着の実績があります。ヒントン・アドミラル、アークティック、シュロプシャーは現在でも現役、通算成績は現時点での合計。またサマー・ゲームスはドバイで走った馬であることを追加しておきましょう。

スカイ・ランターンは母の最良産駒ですが、1マイルのクラシックに勝つスタミナは、明らかに母から受け継いだものと言えるでしょう。

2代母はネグリジェント Negligent (1987年 芦毛 父アホヌーラ Ahonoora)。5戦1勝、2歳時ロックフェル・ステークス(現在GⅡ、当時はGⅢ)の勝馬で、1000ギニーはサルサビル Salsabil の3着でした。
産駒には、クィーン・エリザベスⅡ世ステークスで3着したブラタント Blatant (1999年 栗毛 せん 父マキャヴェリアン Machiavellian)、トーマス・ブライアン賞(GⅢ)優勝のソングラーク Songlark (2000年 黒鹿毛 牡 父ジングシュピール Singspiel)の2頭が注目。

また3代母ネグリジャンス Negligence (1975年 芦毛 父ローン・ロケット Roan Rocket)は6戦未勝利ながら、産駒からは1000ギニー4着(勝馬はミエスク Miesque)のアラ・マーリク Ala Mahlik (1983年 鹿毛 牝 父アホヌーラ Ahonoora)、クィーン・アレクサンドラ・ステークスに勝ったステイヤー、アラ・ホウナク Ala Hounak (1984年 芦毛 牡 父セクストン・ブレイク Sexton Blake)とが出ました。

この牝系でGⅠクラスの馬を見つけるには、ヨークシャー・オークス勝馬で8代母ダルマリー Dalmary まで遡らなければなりません。
また5代母ミス・ジャスティス Miss Justice の別の娘ロー・アンド・インパルス Law and Impulse からは、2世代目にガルフストリーム・パーク・ターフ・ハンデ(当時は芝GⅡ)に勝ったユーメイドユアポイント Youmadeyourpoint が出ています。

以上概観したようにスカイ・ランターンには、母(仏1000ギニー6着)、2代母(1000ギニー3着)、2代母の姉(1000ギニー4着)が見たギニー馬の夢が掛かっていました。
短距離馬を父に持ちながら、ファミリー念願のクラシックを制覇できたのは、この牝系に培われてきたギニーへの執念が実らせた結果と言えるかもしれません。

ファミリー・ナンバーは、5-h。アン・オブ・ザ・フォレスト Ann of The Forest を基礎牝馬とし、三冠馬グラディアトゥール Gladiatuer を出した牝系。日本でも2冠馬ボストニアン、牝馬2冠のミスオンワード、皐月賞のチトセオーなど4頭のクラシック馬を産んだファミリーです。

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください