日本フィル・第290回横浜定期演奏会

昨日は日本フィルの横浜定期、新シーズン最初の演奏会を聴いてきました。9月は日フィル桂冠指揮者のコバケンこと小林研一郎、得意のチャイコフスキー2本立てと、如何にも横浜向きのプログラムでした。
前日にもさいたま定期で演奏しており、さいたま共々一般的クラシック・ファンには垂涎の選曲。客席も満席ではないものの、隅々まで一杯のお客様で埋まっていました。やはり集客力は日本の指揮者でもピカイチでしょう。

チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番
     ~休憩~
チャイコフスキー/交響曲第4番
 指揮/小林研一郎
 ピアノ/清水和音
 コンサートマスター/扇谷泰朋
 ソロ・チェロ/菊池知也

何度も聴いてきたこのコンビによる定番。改めて感想を印すことも無いでしょうが、事実の記録だけ。

前半の協奏曲は、さすがに第一人者清水のソロ。実に安定したテクニック、柔らかいタッチで客席を沸かせました。
コバケン氏のバックを入念に聴いていると、例えば第1楽章冒頭の有名なテーマでは、スコアでは第1ヴァイオリンだけが演奏するメロディーを第2ヴァイオリンにも参加させます。
ただボーッと聴いていては判らないでしょうが、確かジョージ・セルが思い付いたというこの裏技を小林は採用し、心地良い弦楽の響きを一層分厚く聴かせるのでした。

また第2楽章に登場するチェロのソロ。ここもスコアをお持ちの方は確認して頂きたいのですが、チャイコフスキーの指定はチェロ二人。つまり第1プルトのユニゾンによる合奏ですが、この日は菊池主席のソロのみ。
チャイコフスキーの時代に比して遥かにテクニックも音量も進歩した現在、ここはトップのソロだけで十分でしょう。解説も何もありませんが、こういう細かい点に注意しながら聴くことこそ、聴き古された名曲を楽しむツボじゃないでしょうか。

ということで堂々たるチャイコ、小林マエストロはソリストを再び椅子に座るように促してアンコールに入ります。こうなれば弾くしかないヴェテラン清水、プロコフィエフの三つのオレンジへの恋から、有名なマーチのビアン・ソロ版を高らかに弾き上げました。

後半の交響曲では、管楽器、特にトップ奏者の音が冴え渡り、日本フィルのパワー全開の第4交響曲が炸裂しました。
この作品は日フィルにとっても十八番で、ラザレフはもちろん、インキネンの壮烈デビューも記憶に新しい所。それでもコバケンの棒では、マエストロらしい炎の音楽となる所は流石でしょう。

例えばラザレフは、フィナーレの最後を同じテンポで且つ、3段ギアで盛り上げますが、小林は同じ個所をテンポをアップしながら追い込んでいきます。この辺り、二人の音楽性の違いがハッキリ出て面白いと思いました。

さてアンコールは何かと思っていましたが、予想したダニー・ボーイじゃなく、ブラームスのハンガリー舞曲第5番。
ブラームスの舞曲は、先に京響名古屋公演でも広上が第6番を取り上げましたし、ラザレフも日フィル横浜で1番、4番、最後の曲(だっけ)をアンコールしてきました。
この3人を比べると、夫々の個性がモロに出ていて興味をそそられるでしょう。ラザレフと小林は正反対、両者の中間が広上といった感じで、昨日のコバケンさんは、それこそアンコールでこそ可能なコッテリ系。でも、これが受けるんだなぁ~。

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