アメリカも強豪３歳牝馬
日曜日の競馬レポート、その気力をロンシャンに全て注ぎ込んだので、アメリカ競馬は簡単に。
昨日はベルモントとキーンランドで夫々２鞍づつ、合計４鞍のＧ戦が組まれていましたが、キーンランドは前日から引き継いだ雨の影響で芝のＧ戦がメインコースに変更されたため、ルールによりＧ格付けが剥奪。結局３鞍のグレード戦となりました。
ベルモント・パーク競馬場からは芝コースの２歳戦２鞍、何れもＢＣジュヴェナイル・ターフの牡牝夫々に向けて優先出走権が与えられます。
最初は牡馬によるピルグリム・ステークス Pilgrim S (芝ＧⅢ、２歳、８．５ハロン)。firm の芝コースに９頭立て。前走２戦目で初勝利を記録したばかりながら、ボビーズ・キッテン Bobby’s Kitten が９対５の１番人気。
スタートからハナに立ったボビーズ・キッテン、道中一旦はマーヴィンズ・ミラクル Marvin’s Miracle に先頭を譲ったものの、リードを奪い返した後は独走。２着シャドウ・バンキング Shadow Banking に６馬身４分の１差を付ける圧勝でした。半馬身差でキャプテンズ・アフェア― Captain’s Affair が３着。
チャド・ブラウン厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のボビーズ・キッテンは、上記のように前走サラトガの８．５ハロンの芝コースで新馬勝ち。同じ条件のここを勝ってＧ戦初勝利、２連勝でＢＣを目指します。馬名は、ブラウン師の先生だった名匠ボビー・フランケルから取ったもの、陣営の期待が窺われましょう。
続いてはミス・グリロ・ステークス Miss Grillo S (芝ＧⅢ、２歳牝、８．５ハロン)。こちらは１頭取り消して１１頭立て。ピルグリムを制したブラウン厩舎、サラトガの一般ステークスを勝ち上がってきたグラニー・エムシーズ・キッテン Granny Mc’s Litten が９対５の１番人気。
レースはモアザンアウォーニング Morethanawarning が逃げましたが、５番手を進んだ３番人気(５対１)のテスタ・ロッシ Testa Rossi が抜け出し、これを外から２番人気(５対２、ダンシング・ハウス Dancing House とペア)スカイ・ペインター Sky Painter が追い詰めた所がゴール。写真判定の結果、テスタ・ロッシがスカイ・ペインターをハナ差抑えていました。４馬身差が付いてダンシング・ハウスが３着、グラニー・エムシーズ・キッテンは４着まで。
勝ったテスタ・ロッシは、本命馬と同じチャド・ブラウン師の管理馬で、師はこの日のＧ戦を独占。こちらはホセ・レズカノが騎乗していました。勝馬はフランスで走っていた馬で、この８月にアメリカ移籍。フランスではスプリント戦に３勝しており、今回のアメリカ・デビューでは１マイルを克服して見せました。こちらもＢＣに向かうでしょう。
雨のキーンランド競馬場、予定されていたバーボン・ステークス Bourbon S (芝ＧⅢ、２歳、８．５ハロン)は、芝コースが使えずにメインコースに変更。ＧⅢも剥奪されると共に、ＢＣ優先出走権も白紙に戻されています。パワー・プレイヤー Power Player が勝ったことだけを報告しておきましょう。
そしてメインはスピンスター・ステークス Spinster S (ＧⅠ、３歳上牝、９ハロン)。こちらは本来のタペタ・コース、ＢＣへの優先出走権も有効です。fast の馬場、１１頭が出走。既にＧⅠを２勝しているエモリエント Emollient が２対１の１番人気に支持されていました。
スタートから最後方に控えたエモリエント、慌てず騒がず３コーナーから徐々に進出すると、直線では大外を通っての鮮やかな差し切り勝ち。ＧⅠ馬の貫録を見せ付けました。１馬身４分の１差でサマー・アプローズ Summer Applause が２着、更に３馬身半差で３着はワイン・プリンセス Wine Princess の順。
ウイリアム・モット厩舎、マイク・スミス騎乗のエモリエントは、キーンランドの春開催でアシュランド・ステークス(ＧⅠ)を圧勝。その間にハリウッドでもアメリカン・オークス(芝ＧⅠ)を制しており、これがＧⅠ３勝目。今回は古馬に初挑戦、出走馬中３歳は彼女１頭でしたが、年齢差を問題にしない能力です。キーンランドの名物であるアシュランドとスピンスターを二つとも制したのは、１９５６年のダブルドッグデア Doubledogdare 、１９７６年のオプティミスティック・ギャル Optimistic Gal 、２００２年のテイク・チャージ・レディー Take Charge Lady に続く４頭目。フランスのトレーヴほどではないにせよ、観衆を沸かせたクラシック牝馬となりました。
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