芦毛馬

昨日のフランス競馬、メゾン=ラフィット競馬場のレースを見ていて面白いことに気がつきました。
この日のパターン・レースは二鞍。1マイルの古馬戦メッシドール賞と2歳馬のGⅡロベール・パパン賞。前者はストーミー・リヴァー Stormy River が、後者はナタゴラ Natagora という馬が勝ちました。

共通点がありまして、共に芦毛馬だったこと。これは珍しい光景だと思います。別に芦毛は珍しいものではありませんが、重賞を二つとも芦毛が勝つというのはそうあることでもないでしょう。
「芦毛」は英語では gray です。漢字では葦毛と書くべきでしょうが、何故か日本の競馬社会では芦毛と表記します。
グレーから分かる通り、白い斑点がたくさんあって、遠くから見ると灰色に見えます。若いときは黒が勝っているのですが、加齢とともに白斑が目立つようになり、老齢になると真っ白になってしまいます。

芦毛は劣勢というのでしょうか、父と母のどちらかが芦毛でなければ生まれませんし、両親共芦毛でも子供が芦毛とは限らないそうです。(例外があったような気がしますが、今思い出せません)
競走馬の世界では確か2系統あったと記憶しています。今日伝わっている芦毛はオルコック・アラビアンという基礎馬に遡ります。

日本ではオグリキャップという馬が大人気になりましたが、イギリスでは何といってもザ・テトラーク The Tetrarch でしょう。飛び抜けたスピードがあり、走った後には蹄の跡が残らない、と言われたものです。
メッシドールに勝ったストーミー・リヴァーは父・ヴァーグラスから受けた芦毛。ヴァーグラスは両親共に芦毛ですね。

一方のロベール・パパンを制したナタゴラは逆に母から受け継いだもの。その母は両親共に芦毛です。
ところでナタゴラ、芦毛ではない父・ディヴァイン・ライトというのは日本産馬なんですね。社台ファームが生産したサンデー・サイレンスの子供。成績はGクラスには勝ちがなく、特別レースを二つ勝った程度の馬。
ナタゴラは芦毛ということでもあり、明らかに母の能力を受け継いだ、のでしょうかねぇ?
ナタゴラ、騎乗したルメール騎手が惚れ込んでいるようで、同じ厩舎から出た怪物牝馬・ディヴァイン・プロポーションズと比較していました。
ディヴァイン・プロポーションズもロベール・パパンに勝ち、生涯10戦9賞、牝馬のクラシックは総なめでした。唯一負けたジャック・ル・マロワ賞は故障したためですから。あれがなかったら、どこまで強くなったか分からない女傑。果してナタゴラの将来性は如何に。

フランス版・芦毛伝説が生まれる、かな?

 

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