正真正銘のフィナーレ

ヨーロッパ競馬レポート、12日の日記でフィナーレと書きましたが、嘘をついてしまいましたね。実はその後、11月5日にストライキで開催されなかったメゾン=ラフィット競馬場のG戦3鞍が、労働組合との交渉が纏まったようで、昨日同競馬場で代替開催されたのです。
詳しい事情などは勉強不足で判りません。競馬のプロ情報誌などで確認してください。ここでは結果と言う事実だけを報告しておきます。

もちろん登録や枠順決定などは改めて行われ、出走メンバーは5日の時点とは若干異なります。その点も含めて順に紹介して行きましょう。
なお馬場状態は11日間で更に重くなったようで、公式発表でも heavy と、考えられる最も重い状態で行われました。

最初はクリテリウム・ド・メゾン=ラフィット Criterium de Maisons-Laffitte (GⅡ、2歳、1200メートル)。オリジナルの登録は9頭でしたが、今回は更に3頭が参戦しての12頭立て。もちろん枠順は全て変更になっています。17対10の1番人気に支持されたキラム Kiram はオリジナル(3番枠)でも登録していた中心馬で、既にパターン・レースを制している1頭、改めて引いた枠順は12番枠と大外でした。

レースはアナザー・パーティー Another Party が逃げ、キラムは外枠発走でもあり後方待機。直線で外から伸びたキラム、これもパターン・レース勝馬(ダレンベルク賞GⅢ)ディス・タイム This Time に1馬身4分の1差を付けて見事期待に応えました。短頭差でパッシング・バーグ Passing Burg が3着。上位3頭はいずれもオリジナル登録があった馬。アイルランドから挑戦したワッチマン厩舎のヒドゥン・オアシス Hidden Oasis は、短期間で二度に亘る渡航が堪えて6着敗退。気の毒ではありましたが、ワッチマン師は結果を前向きに捉えています。
勝ったキラムはアガ・カーンの持ち馬で、ジャン=クロード・ルジェ厩舎、クリストフ・スミオン騎乗。前走エクリプス賞(GⅢ)に続くG戦連勝で、デビュー戦2着の後3連勝でシーズンを終えます。牝系にはスタミナもあり、来年はもう少し長い距離でも活躍できそう、と言うのがルジェ師の見解でした。

続いてはミエスク賞 Prix Miesque (GⅢ、2歳牝、1400メートル)。こちらはオリジナル登録9頭から2頭が断念し、新たに1頭が参加しての8頭立て。前走オマール賞(GⅢ)で4着しているラカロリーナ Lacarolina が4対5の2倍を切る1番人気。

本命ラカロリーナはスタートでやや出負けしましたが、直ぐに先頭を奪っての逃げ切り勝ち。一旦は後方から追い込んだエクセランス Xcellence に交わされたように見えましたが、渋太く短頭差で差し返しての優勝。1馬身半差で3着がアートワーク・ジェニー Artwork Genie の順。3頭ともオリジナル登録のあった馬たちです。なおフランスで開業している小林智厩舎がモモ・ノ・セック Momo No Sekku を出走させていましたが、5番人気(16対1)で6着敗退、厩舎としてのG戦初勝利はなりませんでした。
ラカロリーナは、キラムと同じジャン=クロード・ルジェ厩舎、クリストフ・スミオンのコンビ。オーナーは違いますが、調教師もジョッキーもG戦ダブル達成。スミオンはこれが今年220勝目だそうで、自身が持つフランスのシーズン最多勝利記録226にあと6勝と迫っています。
勝馬はデビュー戦5着の後3連勝。前々走初めて挑んだG戦(カルヴァドス賞GⅢ、ドーヴィル)ではスタートで落馬、次走シャンティーのオマール賞(GⅢ)で4着、今回がG戦初制覇となります。

そして最後、事実上シーズン最終G戦となったのがセーヌ・エ・オワーズ賞 Prix Seiene-et-Oise (GⅢ、3歳上、1200メートル)。ここはやや複雑で、オリジナル登録の10頭から4頭が回避、新たに加わったのが3頭で、最終的には9頭立て。去年のこのレースの勝馬で、前々走モトリー賞(GⅢ)にも勝っているミアサン Myasun が23対10の1番人気。オリジナルでも登録していた有力馬です。

レースは5番人気(78対10)のジャイアント・サンドマン Giant Sandman が逃げ、ミアサンは中団待機。本命馬も最後で脚を伸ばしましたが、先行していた伏兵(147対10、6番人気)コロネル Kolonel の伸び脚が良く、2着ウェッジ・トラスト Wedge Trust に1馬身4分の1差を付ける逆転劇。ミアサンは更に2馬身差の3着に終わりました。レース中、チョップウエスト Chopouest が落馬し、安楽死処分となるアクシデントも起きています。
勝ったコロネル、オリジナルでは登録が無かった馬で、延期のお蔭でG戦タイトルを初めて手にした形です。ドイツ産馬で、マリオ・ホーファー師が送り込んだ4歳牡馬。オリヴィエ・ペリエが騎乗していました。3走前にはドイツのスプリンターズ・ステークスに相当するゴールデネ・ペイチュ(GⅡ、1200メートル)で10着敗退(13頭立て)、前走ケルンのリステッド戦に勝っての挑戦でした。ドイツではリステッドで2勝していますが、どちらも very soft の馬場でのもの。重馬場得意の特質が活きたといえましょうか。
そのゴールデネ・ペイチュに勝ったのは、今回逃げて6着に沈んだジャイアント・サンドマン。また2番人気(14対5)に支持されたドイツ馬アマリッロ Amarillo もゴールデネ・ペイチュでは4着でしたが、今回は8着(実質最下位)大敗。コロネルが人気薄だったことも頷けるでしょう。

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