サンタ・アニタの前哨戦2題

1月第2週のG戦は2場で各2鞍づつの4鞍。主に古馬の中距離戦が中心です。特にサンタ・アニタでは3歳はクラシック、古馬はサンタ・アニタ・ハンデに向けた最初のトライアルに注目が集まりました。

最初に結果が入ってきたのが、ガルフストリーム・パーク競馬場のフォート・ローダーデール・ステークス Fort Lauderdale S (芝GⅡ、4歳上、8.5ハロン)。去年は41対1のムチョ・マス・マチョ Mucho Mas Macho が大穴を開けたレースですが、今年もムチョ・マス・マチョが参戦し、結果は以下に。firm の馬場、ダート変更時のみの登録2頭が取り消して8頭立て。去年GⅢに2勝しているサマー・フロント Summer Front が6対5の1番人気に支持されていました。
レースは3番人気(5対1)のテトラドラム Tetradrachm がハナに立ち、スローに落として逃げる流れ。前半4番手の内で我慢していたサマー・フロントは、そのままインコースをキープして直線に入ると、逃げ足の衰えないテトラドラムに外から並び掛けると、最後は4分の3馬身競り落として期待に応えています。2馬身4分の3差3着にはニッキズ・サンドキャッスル Nikki’s Sandcastle が入り、2番人気(7対2)のスランバー Slumber が3着。ハットトリック Hat Trick 産駒のハウ・グレート Howe Great は2番手を追走していましたが、スローに嵌って脚を済し崩しに使ったか7着敗退。今年も35対1の人気薄だったムチョ・マス・マチョは最下位8着に終わり、今年は本命サイドで決着しました。
クリストフ・クレメント厩舎、ジョー・ブラーヴォ騎乗のサマー・フロントは、去年4月にマイアミ・マイル・ハンデ(芝GⅢ)、8月にはクリフ・ハンガー・ステークス(芝GⅢ)と連勝。11月末のサイテーション・ハンデ(芝GⅡ)ではBCマイル3着馬シレンティオ Silentio にハナ差2着惜敗して以来の実戦でした。G戦は4勝目にしてGⅡ初勝利。目指すはGⅠ戦制覇でしょう。

同じガルフストリームのハルズ・ホープ・ステークス Hal’s Hope S (GⅢ、4歳上、8ハロン)。同じ条件ながら、こちらはダートのメイン・コースが舞台です。1頭取り消しがあり9頭立て、去年のこのレースの勝馬ツァバ Csaba が前年に続き3対1の1番人気に支持されていました。実はツァバはフォート・ローダーデールにも登録があり、馬場がダートに変更されればそちらに走る予定でした。何故かと言えばローダーデールは賞金が20万ドルなのに対し、こちらは10万ドル。Gの格付けよりあわよくば賞金の高い方で勝負したいという魂胆だったのでしょう。
そのツァバ、スタートから先手を奪って逃げ切る作戦でしたが、2番手を追走した6番人気(6対1)のリー Lea に絡まれ、結局は6着に沈んでしまいます。「二兎を追うものは一兎をも得ず」という譬えですな。3馬身4分の1差で3番人気(5対1)の一角でGⅠ馬のジャクソン・ベンド Jackson Bend が2着に入り、更に半馬身差で同じ5対1のネックン・ネック Neck’n Neck が3着。
リーは前走までアル・ストール師が調教していましたが、このレースからはウイリアム・モット師の元に転じての初戦。ストール時代の一昨年、コモンウェルス・ターフ・ステークス(芝GⅢ)に勝って以来二つ目のG戦、ダートでは初Gタイトルとなります。前走10月26日のファイアット・ステークス(GⅡ、キーンランド)5着以来の競馬。騎乗したルイス・サエズ騎手は、これが区切りとなる通算1000勝目。ラフィット・ピンケー騎手学校卒業の優等生です。日本からも、ここから世界を目指すジョッキーが出ないものか・・・。

 
一方のサンタ・アニタ競馬場、先ずはシーズン最初の3歳G戦となるシェイム・ステークス Sham S (GⅢ、3歳、8ハロン)から。アメリカ競馬を東西対決と見れば、サンタ・アニタは西海岸の聖地。無理矢理日本のシステムに擬えれば、これはシンザン記念に相当するレースと言えるでしょうか。fast の馬場に当初は新星6頭が登録していましたが、2頭が取り消して寂しい4頭立て。レース前から2頭の一騎打ちと評価されていました。2対5の1番人気は、12月にハリウッドでデビュー勝ちしたばかりのミッドナイト・ホーク Midnight Hawk 。対するはこれが4戦目となるクリスト Kristo で、こちらが2対1の2番人気。
レースはスタートからマッチ・レースの展開。先手は1番枠のクリストでしたが、6番枠スタートのミッドナイト・ホークも終始これに絡む展開。前に出たり後ろに下がったりの駆け引きの末、最後はミットナイト・ホークがクリストを競り落とすと、1馬身4分の3差で優勝。3着オントロジー Ontology とは3馬身4分の1差が付いていました。
ボブ・バファート厩舎、マイク・スミス騎乗のミッドナイト・ホークは、新馬→GⅢとエリートコースに乗りましたが、未だ未だ馬は若く、学ばなければならないことは満載。順調に駒を進めて西のエースに成長できるかどうか、現時点では未知数と言えるでしょう。

最後はサン・パスカル・ステークス San Pasqual S (GⅡ、4歳上、8.5ハロン)。開催の花形となるサンタ・アニタ・ハンデ(GⅠ)に向けての最初のステップでもあります。7頭立て。僅かの差で1番人気(2対1)に支持されたのは、前走ハリウッドでネイティヴ・ダイヴァー・ステークス(GⅢ)を逃げ切ったブルースカイズンレインボウズ Blueskiesnrainbows 。同レース3着で同じ厩舎のラウジング・サーモン Rousing Sermon が相手と見做されていました。
スタートで気合を付けたブルースカイズンレインボウズ、何が何でもハナを叩くぞ、という気合で先頭に立ちます。前走に続いてそのまま先頭を譲らなかった本命馬、4番手から追い上げた伏兵(17対1)マジェスティック・ハーバー Majestic Harbor に1馬身4分の1差を付けてG戦2連勝です。2着馬のジョッキーが直線でムチを落とすアクシデントがありましたが、それが無くても差は詰まらなかったでしょう。更に2馬身4分の1差でドリル Drill が3着に入り、ラウジング・サーモンは後方待機策も伸びず5着敗退。
ジェリー・ホーレンドルファー厩舎、マーチン・ペドロザ騎乗のブルースカイズンレインボウズは、3歳時のスワップス・ステークス(GⅡ)を含めてG戦は3勝目、サンタ・アニタ・ダービーの3着馬でもあります。初のGⅠ制覇に向け、現在絶好調。どこまでこの調子をキープできるかと、逃げ作戦がどこまで通用するかが課題でしょうか。

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