日本フィル・第39回九州公演

二日ほどブログをサボっていたのは、日本フィルの九州公演に参戦していたから。恒例のツアーは今年が39回目ですが、個人的には3度目の遠征となります。
折角憧れの九州に飛ぶのですから何か所か回りたいところですが、今年は日程の都合などから18日の大分公演のみ。雪の予報もあって冷や冷やしましたが、無事に大分のホールを初体験してきました。

シベリウス/交響詩「フィンランディア」
チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番
     ~休憩~
シベリウス/交響曲第2番
 指揮/ピエタリ・インキネン
 ピアノ/清水和音
 コンサートマスター/扇谷泰朋

最初にツアーの概要を纏めておくと、ツアー開始は2月8日の福岡から。東京に大雪が降ったあの日ですね。仮に福岡参戦を計画していたなら、確実に当日の福岡便はキャンセルされていたはず。最初の九州参戦で長崎公演に間に合わなかった悪夢を思い出しました。
もちろんオケは前日には九州入りしていましたからツアーには問題なく、鹿児島(宝山ホール)→唐津(市民会館)→大牟田(文化会館)→佐賀(文化会館)→熊本(県立劇場)→北九州(ソレイユ・ホール)→長崎(ブリックホール)と各地をジグザグに回り、9か所目となる大分 iichiko グランシアタではメンバーも疲労の極限に達していたはずです。

今回のツアーではナクソス・ジャパンのスタッフが同行していたのも特色で、全ての会場でインキネン/日フィルの新アルバムが一般発売に先行して販売されていました。いずれ同コンビが昨シーズンで開催したシベリウス交響曲全集が発売されるとのことで、今回は単独で第2交響曲がリリースされています。
大分でナクソス・スタッフに確認したところでは、全集はセット販売。“単発の2番を買うとダブるんじゃないですか”と聞いたところ、全集には今回の単発とは別のテイクが使われる由。今月下旬に一般発売される2番も安心して購入して良いと思います。実は小生はナクソス・ジャパンとは個人的な関係もあり、より親しみと因縁を感じたツアーでもありました。

ツアーのメインは、大分のシベリウスの他にチャイコフスキーの第4交響曲。ソリストは同じチャイコフスキーの協奏曲を弾いたヴァイオリンの三浦文彰で、三浦君は15日の北九州がフィナーレでした。こちらも素晴らしい演奏だったそうな。インキネン/三浦のコンビは東京では実現しておらず、九州ファンの特権でもありました。
フィンランディアは、鹿児島・大牟田・長崎では地元の合唱団を加えた合唱版での演奏、フィンランド語と日本語で歌われたと聞いています。またもう一つのオープナーはチャイコフスキーの「ロメオとジュリエット」。この6曲が適宜組み合わされるのが、どんなツアーでも定番ですね。

私共は朝10時半初の飛行機で昼に大分入り。前日の雪で高速道路が一部閉鎖ということで、一般道も使いながらリムジンでJR大分駅前着。途中見える由布岳は真っ白、高崎山も麓は緑青々としていながら山頂は真っ白に雪化粧している珍しい風景も堪能できました。
今回の宿は、演奏会が行われる iichiko グランシアタがあるビルと同じ施設にあるホテル。宿とコンサートホールが雨でも濡れずに行き来できる便利なロケーションです。
それもあるためか、この宿には日本フィルのメンバーや事務局も多く利用しており、チェック・インの時から旧知のメンバーやスタッフと遭遇して情報交換。開演前の一刻、初体験の大分市内をグルリと回り、地元の食材を楽しみました(今回はイカ)。

初めて足を入れたグランシアタ、チケットを申し込んだのが公演直前と言うこともあり、薦められるままに2階前列に着座。上から見下ろす景色は、NHKホールを小振りにしたようにも見えます。
但し音響は渋谷の大ホールのように頼りないものではなく、やや固目ながら各パートもバランスよく溶け合う美しい響き。もちろんインキネンの音作りにもよるのでしょうが、例えばフィンランディアの大太鼓の弱いトレモロなど弱音ながら物々しく響き、心地良い低音を満喫できました。

演奏に付いては特に付け加えることもありませんが、メインの第2交響曲は、失礼ながら東京での全曲演奏時よりもレヴェル・アップした印象。これは聴き手もメンバーも感じたようで、“悪いけど、東京より進化してたネ”という共通認識。
ツアーを通してインキネンと日本フィルの意思疎通がより深まったことも指摘できましょうが、インキネン自身の成熟・解釈の深化も見逃せないでしょう。一言で言えば、演奏の「一筆書き」感がスケールアップしたこと。和音を支えるどんな細部も意味を持ち、第一音から最後の総奏まで間然するところがありません。

チャイコフスキーを弾いた清水のアンコールは、ラフマニノフのヴォカリーズ。また公演の最後、中根トロンボーンの挨拶に続いて演奏されたアンコールは、シベリウスのカレリア組曲からアラ・マルチア。インキネンが日本語で曲名を告げていました。これがまた何とも心地良く浮き立つ様なシベリウス。
今回はナクソス・ジャパンとの共同ツアーという趣もあり、演奏会終了後は毎回のサイン会。どの会もマエストロがナクソス・スタッフに声を掛ける親密振りだったようです。6月に予定されているというシベリウス全集もゲット必至のアイテムでしょう。できれば来年予定されているレミンカイネン全曲もCD化して欲しい所。

翌日、インキネンと日フィルは宮崎(メイキット県民文化センター)でフィナーレを迎えます(ました)。我々は国東半島をバスで巡るプチ観光に飛び入り参加し、夕方6時半の大分発便で寒い東京に戻ってました。
序の観光もブログにアップしたいところですが、それは家内の写真付きブログに一任しましょう。

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