4月19日のアメリカ競馬(2)
昨日のアメリカ競馬後半は、イリノイ州シカゴとウェスト・ヴァージニア州チャールズ・タウンから。
先ずはホーソン競馬場の2鞍。シックスティー・セイルズ・ハンデキャップ Sixty Sails H (GⅢ、3歳上牝、9ハロン)は fast の馬場に1頭が取り消して7頭立て。同じオッズ5対2に2頭が並びましたが、僅かの差で1番人気はソーニャズ・エンジェル Sonja’s Angel という馬。ステークスの実績もなくここまで27戦6勝、何故この馬が1番人気だったのかは良く判りません。
そのソーニャズ・エンジェルがハナに立って逃げ切りを図りましたが、3番手の内に付けていた同じオッズの2番人気フラッシー・アメリカン Flashy American が向正面で2番手に上がり、コーナーを利して内から本命馬に迫ると、直線の長い叩き合いを4分の3馬身制して優勝。3馬身4分の3差3着にはランパート・ステークス(GⅢ)を制しているガメイ・ノワール Gamay Noir が入りました。
ケネス・マクピーク厩舎、クリストファー・エミー騎乗のフラッシー・アメリカンは、これがG戦初勝利。去年9月にチャーチル・ダウンズで一般ステークス(ローカスト・グローヴ・ステークス)に勝って以来の勝鞍、3連敗に終止符を打ちました。前走オークローンのアゼーリ・ステークス(GⅡ)では7頭立て6着に敗退していた馬。
次がイリノイ・ダービー Illinois Derby (GⅢ、3歳、9ハロン)。「ダービー」とタイトルが付けられていますが、ケンタッキー・ダービー2週前とあってここからケンタッキーを目指す馬は無く、寧ろ1か月後のプリークネス・ステークスへのトライアルと見做される一戦。その積りの8頭が出走してきました。2対5の断然1番人気に支持されたミッドナイト・ホーク Midnight Hawk は、シェイム・ステークス(GⅢ)勝馬で、前走サンランド・ダービー(GⅢ)の2着馬。バファート調教師がシカゴを本拠とするオーナー・グループのためにシカゴに送り込んで来たという意味合いもあります。
スタートでやや安目を売ったミッドナイト・ホークでしたが、直ぐに失地を回復して先頭、スピードに任せて逃げ切りを図ります。しかしこれを内の2番手で追走した3番人気(9対1)のダイナミック・インパクト Dynamic Impact が渋太く食い下がり、直線でその差をジリジリ詰めると、ゴール板では首の上げ下げでハナ差だけ先着、チーム・シカゴの夢を砕いた形です。8馬身半の大差が付いて3着はアイリッシュ・ユー・ウェル Irish You Well 、如何に2頭が抜けていたかの証左でもありました。チーム・シカゴとは、ここを本拠とするアイスホッケーのブラックホークスの関係者がオーナーとして名を連ねている共同馬主たち。皮肉なことに数分前に終わったホッケーのリーグでもブラックホークスは僅差で敗れたそうな。泣きっ面に蜂、とはこのことでしょうか。
一方マーク・カッセ厩舎、ミゲル・メナ騎乗のダイナミック・インパクトは、キーンランドのレキシントン・ステークスと二重登録しており、キーンランドを取り消してこちらに回ってきました。漸く前走5戦目で未勝利を脱したばかりで、もちろんG戦もステークスも初勝利。名前からディープインパクト産駒ではと期待した向きもありましょうが、父は今や数少なくなったマッチェム系のティズナウ Tiznow 。恐らくプリークネス出走を検討すると思われますが、ミスター・プロスペクター系とノーザン・ダンサー系が支配する昨今の競馬界、風穴を開ける1頭になるでしょうか。
最後はチャールズ・タウン競馬場で行われた、未だ歴史の浅いチャールズ・タウン・クラシック Charles Town Classic (GⅡ、4歳上、9ハロン)。総賞金150万ドル(勝馬は100万ドル)は三冠とブリーダーズ・カップに次ぐクラスで、GⅡながらアメリカ中から注目が集まるレースとなりました。2009年創設で、今年が未だ6回目。同競馬場では一日ステークス6連発でクラシックを盛り立てます。レースのスタートは現地時間で午後10時半、日本で言うナイター競馬で、結果が入ってきたのは先ほど、日本時間の日曜日午後1時前でした。fast の馬場に7頭立て。去年の勝馬で、BCクラシックで9着と意外な惨敗を喫して3戦不調が続いていたゲーム・オン・デュード Game On Dude が前走サンタ・アニタ・ハンデ(GⅠ)で見事に復活、高賞金レース2連覇間違いなしとの評価から3対5の断然1番人気に支持されています。
レースは4番人気(9対1)のモレノ Moreno が逃げ、ゲーム・オン・デュードは2番手待機。1周目のクラブハウス・ターンで先頭に立ったゲーム・オン・デュードでしたが、3角手前で2番人気(2対1)のロング・リヴァー Long River 、続いて前半最後方で待機していた伏兵(25対1、ブービー人気)インペラティヴ Imperative に外から絡まれると以外にも伸びず、結局は負担重量差5ポンドが影響したのかインペラティヴに1馬身半差後れを取っての2着に終わりました。更に1馬身半差で盛り返したモレノが3着。前回の2頭の対決はゲーム・オン・デュードがインペラティヴに18馬身もの差を付けていましたから、単にハンデ差だけの結果とは言えない、昨日最大のショックだったと言えるでしょう。
あっと驚く番狂わせを演じたインペラティヴは、ジョージ・パパプロドロムー厩舎、ケント・デサーモ騎乗の4歳せん馬。これが未だ3勝目(15戦)と言う無名馬ですが、今年のサン・アントニオ・ステークス(GⅡ)で26対1の伏兵としてゲーム・オン・デュードに先着して2着に健闘していました。紹介したように、前走サンタ・アニタ・ハンデでは7着。2013年3月にゴールデンゲートのアローワンス戦に勝って以来3勝目の勝利。もちろんG戦は初勝利で、9連敗中でした。
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