アメリカの土曜日、続編

余りにも分量が多いのでに分割した土曜日のアメリカ競馬、残り半分を取り上げましょうか。
先ずはインディアナ州のフーシー・パーク・競馬場から3歳チャンピオン決定戦。最初にインディアナ・オークス Indiana Oaks (GⅡ、3歳牝、8.5ハロン)から。朝方は雨でメインコースは sloppy という状態だったようですが、メインレースが行われる頃には大分回復し、good で行われています。それでも4頭が取り消して5頭立ての寂しいメンバー。ここでは力が勝るグレース・ホール Grace Hall が4対5の1番人気に支持されていました。
レースも期待通り、2番人気(2対1)エデンズ・ムーン Eden’s Moon を2番手でマークしたグレース・ホールが、直線では後続を引き離す独り舞台、2着ワイン・プリンセス Wine Princess に5馬身4分の3差を付ける圧勝です。3着は1馬身4分の1差で逃げたバファート厩舎のエデンズ・ムーン。
アンソニー・ダトロウ厩舎、ブライアン・ジョセフ・ヘルナンデス・ジュニア騎乗のグレース・ホールは、これが4つ目のG戦勝利。2歳時のスピナウェイ・ステークス(GⅠ)に加え、3歳の今年はデラウエア・オークス(GⅡ)とガルフストリーム・オークス(GⅡ)。アラバマ・ステークス(GⅠ)こそ5着でしたが、BCレディーズ・クラシックで古馬と初対戦する計画です。

そしてインディアナ・ダービー Indiana Derby (GⅡ、3歳、8.5ハロン)。こちらの取り消しは1頭で、11頭と頭数が揃います。6対5の1番人気は、ボブ・バファート厩舎のフェド・ビス Fed Biz 。G戦勝ちはないものの、師自らインディアナ入りしている厩舎人気でしょうか。
レースはジューンバグルド Junebugled が逃げ、2番手を追走した本命フェド・ビズが一旦は先頭に立ったものの、前半10番手から直線では7頭分の外を回った3番人気(9対2)のネックン・ネック Neck’n Neck が鮮やかに抜け出しての快勝。更に外からスーパー・ダービー(GⅡ)勝馬で2番人気(3対1)のバーボン・カレッジ Bourbon Courage が急襲して1馬身差の2着。フェド・ビズは頭差3着に終わりました。結局バファート厩舎はオークス、ダービー共に3着。
勝ったネックン・ネックはイアン・ウイルケス師の管理馬、騎乗したブライアン・ジョセフ・ヘルナンデス・ジュニアはオークスに続くダブル達成です。ネックン・ネックは6月にチャーチル・ダウンズでマット・ウイン・ステークス(GⅢ)に勝った馬で、サラトガではジム・ダンディ・ステークス(GⅡ)が2着、トラヴァース・ステークス(GⅠ)は5着に終わっていました。陣営によれば、ブリーダーズ・カップには向かわない予定。

土曜日最後のレポートはキーンランド競馬場から。こちらは開幕2日目、G戦5鞍の盛り沢山です。レース順に行きましょう。
最初はウッドフォード・ステークス Woodford S (芝GⅢ、3歳上、5.5ハロン)。芝コースは firm 、1頭取り消して6頭立て。3対5の1番人気に支持されたのは、トッド・プレッチャー厩舎のブリッジタウン Bridgetown 。G戦の勝鞍は2009年(カナダのGⅢ)以来遠ざかっているものの、サラトガの一般ステークス(トロイ・ステークス)を2年連続で制しての臨戦です。
ジンプレイ Ginplay とグレート・ミルズ Great Mills の逃げ争いの3~4番手に付けたブリッジタウン、直線では先行2頭の間を割るように抜け、グレート・ミルズに1馬身差を付けて期待に応えました。3着は半馬身差で2番人気(7対2)のシャンベルラン・ブリッジ Chamberlain Bridge 。
鞍上はハヴィエル・カステラノ、ほぼ3年振りのG戦勝利ですが、3年前の2歳時にはBCジュヴェナイル・ターフで2着に来た馬。この後は何処を目指すのでしょうか。

次にサラブレッド・クラブ・オブ・アメリカ・ステークス Thoroughbred Club of America S (GⅡ、3歳上牝、6ハロン)。BCへの優先出走権が掛かる一戦で、BCフィリー・アンド・メア・スプリントが対象です。9頭立て、3連勝中のグルーピー・ドール Groupie Doll が2対5の断然1番人気に支持されています。
ここでも人気馬の力量はダントツ、中団から内を衝いて進出、直線では内ラチ一杯に逃げるハネー・チル Honey Chill を外から交わして加速、2着ストランク・ザ・ムーン Strike the Moon に6馬身半の大差を付ける追った所無の貫録勝ちです。更に半馬身差でハネー・チルが3着。
ウイリアム・ブラッドリー厩舎、ラジーヴ・マラー騎乗のグルーピー・ドールは、4月のヴァイネリー・マディソン・ステークス(GⅠ)、ダービー当日のフマーナ・ディスタッフ(GⅠ)、9月のプレスク・アイル・ダウンズ・マスターズ(GⅡ)に続いてG戦4連勝。当然ながらBCフィリー・アンド・メアに向かうでしょう。

第7レースからはGⅠが続きます。第一弾はファースト・レディー・ステークス First Lady S (芝GⅠ、3歳上牝、8ハロン)。6頭が出走し、初GⅠを目指すGⅡ2勝馬のハングリー・アイランド Hungry Island が7対5の1番人気。
レースは3番人気(3対1)のサマー・ソワレー Summer Soiree が逃げ、ハングリー・アイランドは最後方から。4番手を進んだ2番人気(5対2)のタピッツフライ Tapitsfly が大外から追い上げて、2番手から抜けたデイジー・ディヴァイン Daisy Devine との叩き合い。最後はタピッツフライの末脚が勝り、デイジー・ディヴァインに半馬身差で優勝。ハングリー・アイランドも追い上げたものの、直線では内を衝いて3馬身半差の3着まで。
デール・ロマンス厩舎、騎乗したホセ・レズカノは同馬には初騎乗でした。タピッツフライは今シーズン一杯で引退が決まっており、残すは1~2戦のみ。ブリーダーズ・カップを花道にしたいところですが、フィリー・アンド・メア・ターフにするか、マイルを選ぶかは未定です。

GⅠ第2弾は2歳馬のディクシアナ・ブリーダーズ・フューチュリティー Dixiana Breeders’ Futurity (GⅠ、2歳、8.5ハロン)。もちろんBCジュヴェナイルが対象です。出走限度枠を超える16頭が登録してきましたが、最終的には3頭が取り消して13頭立て。名門トッド・プレッチャー厩舎、前走で2着を10馬身半差の大差を付けて勝ったティズレイサー Tizracer が3対1の1番人気を集めています。
しかしレースは、1番枠から飛び出した5番人気(8対1)ジョハ Joha の逃げ切り勝ち。道中何頭もの競り合いを受けましたが、二の足を使って渋太い粘り腰。2着ダイナミック・スカイ Dynamic Sky に1馬身の差を付けていました。3着は4分の3馬身差でジャヴァズ・ウォー Java7s War 。2着に入ったダイナミック・スカイは、最後の競り合いで何度も顔を横に向ける若さも。気持ちが集中すればもっと能力を出せるタイプと見ました。本命ティズレイザーは12着と大敗。
勝馬を管理するのはマイケル・メイカー、騎乗したラジーヴ・マラーはサラブレッド・クラブ・オブ・アメリカに続きこの日のG戦ダブル。ジョハは既にカナダでもステークスに勝っており、ステークスは2勝目となります。

土曜日最後のレポートは、BCターフへの優先出走権が掛かるシャドウェル・ターフ・マイル Shadwell Turf Mile (芝GⅠ、3歳上、8ハロン)。12頭が揃い、ウッドバイン・マイル(芝GⅠ)の勝馬ワイズ・ダン Wise Dan が3対5の1番人気。
シルヴァー・マックス Silver Max 、ドミナス Dominus など外枠発走の馬が先行を争う中、前半6番手で待機した本命ワイズ・ダンが直線では馬5頭分の外を回り、一気の加速で快勝。2着ウィルコックス・イン Willcox Inn に2馬身4分の1差を付けて人気に応えました。3着は2馬身4分の3差で完全な伏兵(99対1)のスリップ・アンド・ドライヴ Slip and Drive 。
これで3連勝となるワイズ・ダンはチャールズ・ロプレスティ師の管理馬。レギュラーのジョン・ヴェラスケスはニューヨークで騎乗調のため、今回はホセ・レズカノが初騎乗。レズカノはファースト・レディー・ステークスでもタピッツフライに初騎乗で優勝、この日は初騎乗でのGⅠダブルという珍しい記録を達成しています。ワイズ・ダンはウッドバイン・マイルに先立ってサラトガのフォースターデイヴ・ステークス(芝GⅡ)にも勝っての3連勝。もちろんブリーダーズ・カップに向かいますが、マイルを狙うかクラシックを選ぶかは未定だそうです。

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