ガリレオ、またガリレオ

今週はチェスター競馬場の5月開催が行われています。一か月後に行われるオークスとダービーへのトライアルを中心にG戦が組まれていますが、エプサムと同じ左回りでコーナーがキツイという共通点のあるコース。

初日の7日(水曜日)はG戦がありませんでしたが、今はリステッドのチェシャー・オークスが行われました。1985年まではGⅢでしたが、リステッドに降格されて30年近くが経過しています。
簡単に触れておくと、9頭立て、チーム・オブライエンのテリフィック Terrific が15対8の1番人気に支持されていましたが5着敗退。優勝は16対1のアニパ Anipa 、ロジャー・ヴァリアン厩舎、アンドレア・アズテニ騎乗でした。2歳時は4戦未勝利でしたが、3歳になって3連勝しています。

そして昨日はG戦が2鞍、馬場は soft 。先ず古馬によるハックスレー・ステークス Huxley S (GⅢ、4歳上、1マイル2ハロン75ヤード)は2頭取り消して6頭立て。前走サンダウンのゴードン・リチャーズ・ステークス(GⅢ)を圧勝したノーブル・ミッション Noble Mission が9対4の1番人気に支持されていました。

前走のGⅢ勝で3ポンドのペナルティーを背負ったノーブル・ミッション、いつものように先頭から積極的にレースを進め、2番手の3番人気(11対4)エクティハーム Ektihaam を競り落とし、残り2ハロンから並び掛けてきた2番人気(5対2)テレスコープ Telescope をも二の脚を使って寄せ付けず、テレスコープに2馬身4分の1差を付ける逃げ切りでG戦2連勝です。3着は8馬身の大差が付いて去年の覇者ダナダナ Danadana が入りました。
レディー・セシル厩舎、ジェームス・ドイル騎乗、フランケル Frankel の全弟としても有名なノーブル・ミッションは、5歳の現在も成長中の馬。テレスコープとの差は前走の9馬身差からは縮まりましたが、セシル女史の未だ成長中と言うコメントを実証する結果になりました。ロイヤル・アスコットのハードウィック・ステークスに登録がありますが、何れはGⅠを狙う存在にまで上がってくるでしょう。

続いてダービーのトライアルたるチェスター・ヴァーズ Chester Vase (GⅢ、3歳、1マイル4ハロン66ヤード)。1頭取り消しがあり8頭立て。このレースはここ7年で4勝しているエイダン・オブライエン厩舎が送りこんだ2頭の一角、ジョセフではなくライアン・ムーアが騎乗したオーケストラ Orchestra が3対1の1番人気。2歳時2戦1勝でこれが今期デビューとなる新星ですが、陣営の期待を反映しての人気でしょう。

レースはスターズ・オーヴァー・ザ・シー Stars Over The Sea が逃げ、4番手を進んだオーケストラが抜け出すと、これに付いてきたのは3頭並んだ2番人気(9対2)の一角ロムスダル Romsdal だけ。直線は2頭のマッチレースとなりましたが、外を通る自身に満ちたムーア騎乗のオーケストラがロムスダルをハナ差抑えて優勝。3着はハックスレー・ステークスと同じく8馬身差でドイツ産馬スコットランド Scotland が入りました。オブライエン厩舎のもう1頭でジョセフが選んだカルロ・ブガッティ Carlo Bugatti は、3番手追走も脚を失くして最下位敗退。
このところオブライエン厩舎の馬は、息子のジョセフが選んだ馬が人気になるも大敗、2番手の馬にライアン・ムーアが騎乗して勝つというパターンが続いています。

勝ったオーケストラは、去年のレパーズタウンのデビュー戦が2着、2戦目のティッペラリーで初勝利を挙げた大柄な馬。今回は未だ3戦目で、成長途上であることは間違いありません。エプサムまでに何処まで仕上がるかが見物でしょう。当然ながらダービー候補の1頭で、この勝利でオッズは20対1に上がりました。
陣営によれば典型的なガリレオ Galileo 産駒で、母の父がデインヒル Danehill というのもハックスレー勝馬のノーブル・ミッションと同じ。昨日のチェスターG戦は、ガリレオ産駒のダブルとなりました。

更に昨日はフランスのロンシャン競馬場でもG戦が一鞍、デドーヴィル賞 Prix d’Hedouvulle (GⅢ、4歳上、2400メートル)が行われています。good to soft の馬場に7頭立て。リステッド戦2勝馬で今期初戦のエクスバリー賞(GⅢ)で4着、前走ロンシャンのリステッド戦で2着と調子を上げてきたファーブル厩舎のオ・ルヴォアール Au Revoir が19対10の1番人気に支持されていました。

レースは、2番人気(21対10)スピリットジム Spiritjim の逃げ切り勝ち。4分の3馬身差で4番人気(74対10)のメレアグロス Meleagros が2着に入り、更に2馬身半差で3番人気(33対10)のシンギング Singing が3着。人気のオ・ルヴォアールは外を先行するも伸びず6着敗退に終わりました。
パスカル・ベイリー厩舎、クリストフ・スミオン騎乗のスピリットジムは、去年の最終戦となるドーヴィルのリステッド戦に勝ち、今期初戦のロンシャンのリステッド戦にも優勝、これで3連勝となります。覚えているファンもあるかと思いますが、スピリットジムは連勝の前、ニエル賞(GⅢ)に出走しており、キズナとルーラー・オブ・ザ・ワールド Ruler of the World の6着だった馬。キズナとの差は3馬身ほどでした。

ところでスピリットジムもまた父はガリレオ。この日のG戦3鞍は全てガリレオ産駒が制したことになり、改めて父の偉大さを反映させる結果です。日本では(アメリカでも)ガリレオ産駒は全く走らず、その辺りが日本競馬とヨーロッパ競馬との決定的な違いでしょうか。

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください