雨の仏ギニー

昨日の日曜日は、フランスのクラシック・レース第1弾と第2弾、牝馬と牡馬のギニーが続けて行われました。雨の一日、ロンシャン競馬場の馬場は goot to soft 。
この日は一日8レース、G戦は4鞍でしたが、レース順ではなく二つのクラシックから取り上げましょう。

先ずは第4レースとして行われたプール・デッセ・デ・プーリッシュ Poule d’Essai des Pouliches (GⅠ、3歳牝、1600メートル)は、先に枠順を紹介したように16頭立て。最終的に43対10の1番人気に支持されたのは4戦3勝、唯一の敗戦がマルセル・ブーサック賞2着というレストーク・イン・パリ Lesstalk in Paris でした。
今年の仏1000ギニーには英国から4頭、アイルランドからも1頭が参戦していましたが、スタートから前を争ったのは英国勢。チャールズ・ヒルズ厩舎のクイーン・カトリーヌ Queen Catrine が逃げ、レー・ゲスト厩舎のケープ・ファクター Cape Factor がこれを追う展開。地元の有力馬は中団から後方で機を窺います。

直線、後方の内で我慢していた3番人気(74対10)のアヴニール・セルタン Avenir Certain が思い切って外に出し、一気に先頭。これを追ったのが外15番枠発走のためスタートから最後方に控えていた4番人気(81対10)のヴェダ Veda 。一歩先んじたアヴニール・セルタンが1馬身4分の1差を保ったままゴール、2馬身半差の3着には8番人気(11対1)のエクセランス Xcellence が飛び込みました。以下2番人気(13対2)バウィーナ Bawina が4着、ステラ―・パス Stellar Path 5着。人気のレストーク・イン・パリは中団待機も伸びず12着惨敗です。
しかし直ぐに審議のランプが点灯し、直線入口で勝馬が急に左に進路を変えた際、外にいたワンダフリー Wonderfully などが明らかに不利を受けました。落馬などの事故は無かったため入線通りで確定。やや後味の悪い結果になっています。

ジャン=クロード・ルジェ厩舎、グレゴリー・ブノワ騎乗のアヴニール・セルタンは、去年10月のボルドーでデビュー勝ちした馬。そのあとシャンティーのポリトラック・コースで条件戦を2連勝(去年の終戦と今年のデビュー戦)して一気にGⅠに挑戦してきたもの。所謂上がり馬で、無傷の4連勝でクラシックのタイトルを獲得しました。
陣営は距離が延びることには懸念を抱いておらず、仏オークスが目標となるでしょう。父はスプリンターのオアシス・ドリーム Oasis Dream ですが、牝系はスタミナ系、詳しい血統は何れプロフィールで。

続いて直後、第5レースのプール・デッセ・デ・プーラーン Poule d’Essai des Poulains (GⅠ、3歳牡、1600メートル)。枠順紹介では14頭が登録していましたが、2頭が取り消して12頭立て。最近の仏2000ギニーとしてはコンパクトな頭数に収まりました。
やはり1番人気に支持されたのは去年のジャン=リュック・ラガルデール賞(GⅠ)の覇者カラコンティー Karakontie で11対10とやや被った感。今期初戦のフォンテンブロー賞(GⅢ)も2着と試走を終えており、調子は上向きでしょう。

スタートで先手を取ったのは英国馬(ゴスデン厩舎)ムワーリー Muwaary でしたが、引っ掛かってハナガン騎手が抑えるのに懸命。替って伏兵イトゥービーボスが先頭を奪い、6番人気(112対10)のプレスティージ・ヴァンドーム Prestige Vendome が2番手追走。本命カラコンティーは内々の4~5番手で抜け出すタイミングを図ります。
直線、逃げ馬を交わして先頭に立ったプレスティージ・ヴァンドームが脚色衰えず粘るところ、そのまま内を衝いて追い上げたカラコンティーが抜け出して最後はやや余裕の首差で戴冠。1馬身半差の3着には10番人気(54対1)の大穴ポーニシェット Pornichet が食い込んで観客を驚かせました。以下前半折り合いを欠いたムワーリーが4着、3番人気(59対10)ガリウェイ Galiway 5着。クリテリウム・ド・メゾン=ラフィット勝馬で2番人気(56対10)に支持されたアガ・カーンのキラム Kiram は6着に終わりました。

人気に応えたカラコンティーはジョナサン・ピアース厩舎、ステファン・パスキエ騎乗。日本とも関係の深い同馬のプロフィールは追って紹介する予定です。オーナーはニアルコス・ファミリー、距離的に見てもマイルのスペシャリストではなさそうで、ダービー遠征の可能性もありましょう。そのオッズは20対1が出されました。

この後はクラシックの前後に行われたG戦2鞍を簡単に。
第3レースで行われたオカール賞 Prix Hocquart (GⅡ、3歳牡牝、2200メートル)。せん馬には出走資格のないダービー(オークス)トライアルで、7頭が出走してきました。14対5の1番人気は、前走ラ・フォース賞(GⅢ)2着のフリー・ポート・ラックス Free Port Lux

ガランテ Gallante の逃げを外から先行したフリー・ポート・ラックス、直線で抜け出すと、内で先行していた3番人気(18対5)アデライデ Adelaide を半馬身抑えて人気に応えました。2馬身差でガランテが3着逃げ粘り。
フレディー・ヘッド厩舎、ティエリー・ジャルネ騎乗のフリー・ポート・ラックスは、2歳時ロンシャンでデビュー勝ちし、勝星はそれ以来となる2勝目。

日曜日のロンシャン、最後のG戦はクラシックの二つあと、第7レースとして行われたサン=ジョルジュ賞 Prix Saint-Georges (GⅢ、3歳上、1000メートル)。11頭が出走し、2頭が1番人気(13対5)を分け合っていました。去年の覇者キャットコール Catcall と、G戦は初挑戦ながら目下3連勝と上がり馬の3歳馬サインズ・オブ・ブレッシング Signs of Blessing 。

レースはハムザ Hamza とステッパー・ポイント Stepper Point がハナを争い、共に先行した2頭の人気馬が抜け出す展開。キャリアに勝るキャットコールがサインズ・オブ・ブレッシングを1馬身半抑えて2連覇達成です。4分の3馬身差で逃げたステッパー・ポイントが3着。
ピーター・ソゴーブ厩舎、オリヴィエ・ペリエ騎乗のキャットコールは、今期既にドバイで3戦。最後のGⅠ(アル・クォーツ・スプリント)も含め全て5着と、今期4戦目でシーズン初勝利でもありました。

日曜日はアイルランドでもG戦が行われましたが、ここは一旦切って、仏ギニー速報版としてアップしておきましょう。

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