プレッチャー師のG戦ダブル
今週のアメリカ競馬は三冠レースの第2弾、プリークネス・ステークスがメイン。ケンタッキー・ダービーを圧勝したカリフォルニア・クローム California Chrome が無事に二冠馬となるかが注目されますが、舞台となるピムリコ競馬場も前日と当日に複数のG戦を並べて雰囲気を盛り上げます。
グレード制が導入された1970年代前半、ピムリコではプリークネスに先立つ週にほぼ毎週の様に小出しにG戦が行われていました(日本の重賞制のように)が、現在では二日間で短期集中型に様変わりしています。前日の金曜日にはG戦2鞍が組まれていました。
第10レースとして行われたのは、ブラック=アイド・スーザン・ステークス Black-Eyed Susan S (GⅡ、3歳牝、9ハロン)。ケンタッキー・ダービーとケンタッキー・オークスが対になるとすれば、プリークネスの牝馬版がこのレース。現在もGⅡですが、一度もGⅠに格付けされたことはありません。
fast の馬場に11頭立て。人気は意外なもので、バーボネット・オークス(GⅢ)2着のスローン・スクエア Sloane Square が3対1、僅かの差で1番人気に支持されていたようです。プレッチャー厩舎の馬で、バーボネット・オークスまでの過程の良さと叩かれての良化に期待が集まったのでしょうか。
レースは大外枠発走のイメージ・オブ・アンナ Image of Anna の逃げ。これを2番手で追走した伏兵(15対1、8番人気)ヴェロ・アモーレ Vero Amore が捉えて直線に向くと、前半5番手に控えていた2番人気(7対2)のストップチャージングマリア Stopchargingmaria が馬3頭分の外から襲い掛かって2頭の叩き合い。ヴェロ・アモーレも渋太く粘りましたが、ストップチャージングマリアが首差抜けて優勝。2馬身4分の3差の3着にはフォーチュン・パール Fortune Pearl が入り、スローン・スクエアは前半2~3番手追走も末脚を失くして9着敗退に終わりました。
勝ったストップチャージングマリアも本命馬と同じトッド・プレッチャー厩舎、ハヴィエル・カステラノが騎乗していました。これでプレッチャー師はこのレース、2005年のスパン・シュガー Spun Sugar 、2007年パンティー・レイド Panty Raid 、2012年のイン・ランジェリー In Lingerie に続く4勝目となり、ルーカス調教師の記録と並びました。勝馬は2歳時にテンプテッド・ステークス(GⅢ)とドモワゼル・ステークス(GⅡ)に勝ちましたが、BCを回避して3歳シーズンに備えていました。しかし今期はダヴォナ・デール・ステークス(GⅡ)5着、ファンタジー・ステークス(GⅢ)も4着とエンジンが掛からず、漸く3戦目で本来の実力を取り戻したようです。2歳時にコンビを組んでいたカステラノ騎手が戻ってきたことが好結果に繋がったのかも知れません。
続いては、第12レースのピムリコ・スペシャル Pimlico Special (GⅢ、3歳上、9.5ハロン)。今年第44回を数えるレースですが、何故GⅢなのかと疑われるほど過去の勝馬には錚々たる顔ぶれが並びます。ただし1959年から1987年まで長期に亘って休止していた他に何度も中断を繰り返し、当初はGⅠであったものが一昨年再開されたときにはいきなりGⅢにまで格下げされたという経緯があります。
今年は9頭が出走し、最終的なオッズは確認できていませんが、どうやら5対2のモレノ Moreno が1番人気だったようです。去年のトラヴァース・ステークス(GⅠ)2着馬で、前走チャールズ・タウン・クラシック(GⅡ)で好走したことが注目された様子。
しかしレースは1番枠から飛び出したヴァリッド Valid がハイペースで飛ばし、後方からの馬に有利な流れ。3番手にいたモレノが一旦は先頭に立ちましたが、内からキャット・バーグラー Cat Burglar が抜けるところ、更に最後方を追走していたレヴォリューショナリー Revolutionary (6対1)が大外を衝いて纏めて前を交わしての逆転劇。首差2着にも後方から伸びたプレイヤー・フォー・リリーフ Prayer for Relief が入り、1馬身4分の1差でキャット・バーグラーが3着。モレノは更に首差交わされての4着に終わりました。
レヴォリューショナリーも、終わって見ればトッド・プレッチャー厩舎。この日のG戦ダブル達成です。こちらの鞍上は名手マイク・スミス。レヴォリューショナリーは去年のダービー3着、ベルモントは5着と健闘した4歳馬。今期は1月にアローワンス戦に勝ったあと、2月のドン・ハンデ(GⅠ)では7着に敗れていました。G戦は、3歳時のルイジアナ・ダービー(GⅡ)、ウィザーズ・ステークス(GⅢ)に次いで3勝目となります。
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