カリフォルニア・クローム、三冠成らず!

昨日、6月7日は二冠馬カリフォルニア・クローム California Chrome が三冠を掛けてベルモント・ステークスに挑みましたが、特に今年のベルモント競馬場はG戦を集中させ、一日9鞍の豪華版。しかも6鞍がGⅠ戦という今までに例のない状態でした。
その他2場でもG戦が行われ、土曜日全体では合計11鞍のG戦を消化しましたので、全てを順次紹介して行きます。時間が掛かりますので、速報性は考えず、レース順に取り上げましょう。

先ずはベルモント・パーク競馬場から。去年のベルモント・デイのG戦は5鞍でしたから、如何に今年に集中したかが判ろうというもの。もちろん新設レースなどはありません。
最初は第3レースとして行われたブルックリン・インヴィテーショナル・ Brooklyn Invitational (GⅡ、4歳上、12ハロン)。去年はベルモント前日、3歳上の条件でした。以前は押しも押されもせぬGⅠでしたが、長距離戦の人気が急落するのに伴ってグレードもレヴェルも低下。しかし今年はBCシリーズでBCマラソンがそのような理由でキャンセルされたことから存在感はやや回復した印象。賞金も去年の20万ドルから50万ドルへと一気に上昇しています。この日のメイン・コース(ダート)は fast 。1頭が取り消して7頭立て。出走馬中唯1頭アメリカのG戦(スキップ・アウェイ・ステークス)に勝っているマイクロマネッジ Micromanage が僅かの差、5対2の1番人気。
レースは本命と同じ5対2のキャット・バーグラー Cat Burglar と3番人気(7対2)グラウンド・トランスポート Ground Transport が並んでの先頭争い。マイクロマネッジはこれを3~4番手で追走します。直線やや外目を通って先頭に立ったマイクロマネッジでしたが、前半5番手に待機していたブービー人気(10対1)のノーラムベガ Norumbega が内で粘るキャット・バーグラーとマイクロマネッジの間を衝いて伸び、外の本命馬を首差差し切っての逆転劇です。半馬身差で内のキャット・バーグラーが3着。この距離を経験している唯1頭のアルゼンチン産馬エヴァー・ライダー Ever Rider が4着。
クロード・マゴーヒー厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のノーラムベガは、去年のケンタッキー・ダービー馬オーブ Orb の持ち主の一人が生産した4歳牡馬。本命馬が勝ったスキップ・アウェイで2着したほか、去年秋のディスカヴァリー・ハンデ(GⅢ)でも2着。前走ベン・アリ・ステークス(GⅢ)では8着と大敗していましたが、ここでG戦初勝利を挙げました。

次は第4レースのジャイプル・インヴィテーショナル Jaipur Invitational (芝GⅢ、4歳上、6ハロン)。これも去年はベルモント前日のカードで、雨のためダートに変更されてGを剥奪されていた一戦。firm の芝コース、今年は2頭が取り消して(1頭は前日のトゥルー・ノースに回ったため)9頭立て。今期一般ステークスを2連勝しているベンズ・キャット Ben’s Cat が2対1の1番人気。
最低人気(60対1)のグローバル・パワー Global Power が逃げ、ベンズ・キャットは4番手からの競馬でしたが、直線に向いて外から目の覚めるような脚で追い込んだのは、前半6番手に控えていた3番人気(9対2)のアンドラフテッド Undrafted 、2番手から抜け出した2番人気(3対1)マーチマン Marchman に1馬身半差を付ける楽勝でした。更に1馬身差で逃げたグローバル・パワーが3着に粘り、ベンズ・キャットは首差届かず4着まで。
ウェスリー・ウォード厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のアンドラフテッドは、今期キーンランドのタペタ・コースでコモンウェルス・ステークス(GⅢ)が5着、前走オークス・デイのチャーチル・ダウンズではターフ・スプリント(芝GⅢ)でマーチマンの2着していた馬。これがG戦初勝利で、陣営は7月に英国に遠征し、ニューマーケットのジュライ・カップ(GⅠ)にチャレンジする計画を公表しています。

第5レースはウッディー・スティーヴンス・ステークス Woody Stephens S (GⅡ、3歳、7ハロン)。13頭の3歳馬が揃い、短距離に路線を変えたプリークネス3着馬のソーシャル・インクルージョン Social Inclusion がイーヴンの1番人気。
ハナを奪ったのは大外枠発走のピュア・センセーション Pure Sensation でしたが、2番手に付けていたバイエルン Bayern がこれを捉えて先頭に立つと、直線は独走。何と7番手から追い込んだ7番人気(23対1)のトップ・フォーティテュード Top Fortitude に7馬身半の大差を付ける圧勝。3番手を進んだソーシャル・インクルージョンが頭差の3着でした。
ボブ・バファート厩舎、ゲーリー・スティーヴンス騎乗のバイエルンは早くから期待されていたクラシック候補。前走プリークネスは勝馬から21馬身も遅れた9着と敗退し、本命馬同様に短距離に路線変更してのG戦初勝利。ダービー・トライアル(GⅢ)では1着入線も進路妨害のために2着していたことは既報の通り。今回はデビューから3戦続けて騎乗していたスティーヴンスとの再コンビで漸く期待通りの強さ、速さを見せ付けた形です。

このあとはGⅠ戦連発が続き、第一弾が第6レースのエイコーン・ステークス Acorn S (GⅠ、3歳牝、8ハロン)。去年はメモリアル・デイに行われていたニューヨーク牝馬三冠の第一弾ですが、今年はベルモント・デイに回っての施行です。13頭が参戦し、ケンタッキー・オークス2着のマイ・ミス・ソフィア My Miss Sophia が4対5の断然1番人気。
レースは2番人気(5対1)のフィフティーシェイズオブゴールド Fiftyshadesofgold が逃げ、人気のマイ・ミス・ソフィアが2番手で追走する速い流れ。直線、前半は後方3番手に控えていた3番人気(9対1)のスイート・リーズン Sweet Reason が待って待って待って追い出し、内から外に出すと瞬発力が炸裂。中団から伸びた8番人気(32対1)の伏兵スイート・ウイスキー Sweet Whiskey に半馬身差を付ける優勝です。4馬身の大差が付いてアンブライドルド・フォーエヴァー Unbridled Forever が3着、マイ・ミス・ソフィアは逃げ馬(4着)を深追いしたのが原因か7着に沈みました。
勝馬を管理する女性調教師レア―・ギアマティー、騎乗したイラッド・オルティス共にエイコーンは初制覇。2歳時サラトガのスピナウェイ・ステークスに続く二つ目のGⅠ勝ちとなりました。BCジュヴェナイル・フィリーズは4着、前走ガゼル・ステークスは3着しており、今後も牝馬のトップクラスでは有力な1頭であり続けるでしょう。

第7レースのオグデン・フィップス・ステークス Ogden Phipps S (GⅠ、4歳上牝、8.5ハロン)は6頭立て。今年初めて勝馬にはBCへの優先出走権が与えられるレースで、去年はメモリアル・デイの開催、条件も3歳上でした。去年のBCディスタッフ覇者ビホールダー Beholder がイーヴンの1番人気。
レースは最低人気(30対1)のクラシック・ポイント Classic Point が後続を大きく引き離す思い切った逃げ作戦。ビホールダーは4番手を追走しましたが、直線に入るとバテた逃げ馬を除く5頭がほぼ一団となる上がりの勝負。最後は3番手わ進んだ3番人気(5対2)のクローズ・ハッチェス Close Hatches が3~4コーナーの中間点で積極的に先頭に立ち、2番人気(9対5)で去年のケンタッキー・オークス馬プリンセス・オブ・シルマー Princess of Sylmar を頭差競り落としての優勝。首差で伏兵(30対1)アンティパシー Antipathy が3着に食い込み、4着ビホールダー、5着ベル・ギャランティー Belle Gallantey も余り差の無い結果の大混戦でした。
ウイリアム・モット厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のクローズ・ハッチェスは、3月のアゼーリ・ステークス(GⅢ)、4月のアップル・ブロッソム・ハンデ(GⅠ)と何れも逃げ切って今期は負け知らず。BCの権利を得て、今年はチャンピオン古馬牝馬を目指します。

続いて第8レースのジャスト・ア・ゲイム・ステークス Just a Game S (芝GⅠ、4歳上牝、8ハロン)。去年は3歳上の条件でした。今年は1頭が取り消して9頭立て。デル・マー・オークス(芝GⅠ)にも勝っている極めて堅実なディスクリート・マルク Discreet Marq が5対2の1番人気。去年のこのレースに勝ったステファニーズ・キッテン Stephanie’s Kitten が7対2の2番人気で続きます。
逃げたのは5番人気(7対1)のソマリ・レモネード Somali Lemonade 、ディスクリート・マルクはこれを2番手で追走します。しかし前を纏めて捉えたのは、4番手から大外を回った4番人気(9対2)のコーヒー・クリック Coffee Clique 、後方2番手から更に外を回る7番人気(17対1)ストラスネイヴァー Strathnaver の追い込みをハナ差凌いでの優勝、波乱となりました。1馬身4分の1差でソマリ・レモネードが逃げ粘り、ディスクリート・マルクは首差及ばず4着。ステファニーズ・キッテンは5着に終わり連覇成らず、去年2着のベター・ラッキー Better Lucky (4対1、3番人気)もスタートで出遅れて8着大敗に終わっています。
ブライアン・リンチ厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のコーヒー・クリックは、前走チャーチル・ダウンズのディスタッフ・ターフ・マイル(芝GⅡ)に続くG戦2連勝。カナダのGⅢ戦セレーヌ・ステークス(ウッドバインのポリトラック)の勝馬でもあります。

更にGⅠは続き、第9レースのメトロポリタン・ハンデキャップ Metropolitan H (GⅠ、3歳上、8ハロン)。これも勝馬にはBCへの優先出走権が洗えられますが、去年はメモリアル・デイに組まれていた伝統のマイル戦です。今年は1頭が取り消しても12頭と多頭数、去年のベルモント・ステークス覇者パレス・マリス Palace Malice が6対5の断然1番人気。今期もG戦3連勝で、本来は1マイルを最も得意とする本命馬です。
ブービー人気(57対1)のブロードウェイ・エンパイア Broadway Empire が逃げ、去年のBCダート・マイル勝馬でこれが今期デビューとなる3番人気(6対1)ゴールデンセンツ Goldencents が2番手を追走し、パレス・マリスは3~4番手に待機。直線、インコースを衝いて抜けたパレス・マリス、ゴールデンセンツに1馬身差を付けて見事期待に応えました。この日のG戦で本命が勝ったのはパレス・マリスが最初、ここまでは3番人気の勝利が目立っています。半馬身差で7番人気(19対1)のロマンシュ Romansh が3着。
トッド・プレッチャー厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のパレス・マリスは、一年振りとなるGⅠ2勝目。もちろんBCダート・マイルを制して最強マイラー牡馬のタイトル獲得が目標でしょう。

そしてメインの前、第10レースに組まれていたのがマンハッタン・ステークス Manhattan S (芝GⅠ、4歳上、10ハロン)。これも去年までは3歳上が条件でした。10頭が出走し、去年のハリウッド・ダービー(芝GⅠ)勝馬で今期もターフ・クラシック(芝GⅠ)でチャンピオンのワイズ・ダン Wise Dan に続き2着しているシーク・アゲン Seek Again が5対2の1番人気。
レースは7番人気(16対1)の一角ファイヴ・アイアン Five Iron が向正面で後続を8馬身も離しての大逃げ。シーク・アゲンは3番手から早目に2番手に上がって逃げ馬を捉えに掛かりましたが、4番手を追走していた3番人気(5対1)のリアル・ソリュージョン Real Solution が馬4頭分の外から追い上げ、16対1の1頭ケイガン Kaigun に1馬身4分の1差を付けて優勝、又しても3番人気馬の勝利となりました。1馬身差で本命シーク・アゲンが3着に入り、2番人気(7対2)のヨーロッパ出身の古豪グランダー Grandeur は4着。
チャド・ブラウン厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のリアル・ソリュージョンは、去年のアーリントン・ミリオンを繰上りで優勝して以来となる二つ目のGⅠ制覇。去年のマンハッタンは3着で、前走5月のマンノ・ウォー・ステークス(芝GⅠ)では今回3番人気(5対1)で6着に終わったイマジニング Imagining の2着していました。

さて愈々最後、三冠レースの最後でもあるベルモント・ステークス Belmont S (GⅠ、3歳、12ハロン)です。出走馬は11頭。もちろん二冠馬カリフォルニア・クローム California Chrome が4対5の圧倒的1番人気に支持され、2番人気のウィックド・ストロングは5対1と離れたオッズ。
大歓声の中スタートは一線、8番人気(28対1)のコミッショナー Commissioner が逃げ、ジェネラル・ア・ロッド General a Rod が2番手追走。カリフォルニア・クロームも4番手に付けて機を窺う展開。直線、コミッショナーが渋太く粘るところに馬場中央を通って3番手に付けていた5番人気(9対1)のトーナリスト Tonalist が並び掛けます。カリフォルニア・クロームも外から並び掛けましたがいつもの伸び脚は見られず平均ペースを守るのがやっと。結局トーナリストが頭差でコミッショナーを交わした所がゴール。1馬身差で7番人気(24対1)のメダル・カウント Medal Count が3着に飛び込み、4分の3馬身差の4番手がカリフォルニア・クロームとウィックド・ストロングの同着。又しても三冠の夢は阻まれました。
エスピノザ騎手によれば、カリフォルニア・クロームはゲートを出た時からいつもの彼では無く、レース中も精彩を欠いていたとのこと。1マイル半の距離をステイ出来なかったというより、ここまで来るのに数多くのレースを使わなければならないシステムから来る疲労が蓄積されていたと考えるべきでしょう。これで三冠チャレンジは1978年にアファームド Affirmed が達成してから13回目の失敗に終わりました。こういうレース体系が続けば、三冠馬は二度と見られないかもしれません。
それを証明するように、クリストフ・クレメント厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のトーナリストは、ベルモントが未だ5戦目とフレッシュな馬。去年11月のデビュー戦で2着、1月にガルフストリームで初勝利を挙げ、2月にはアローワンス戦で2着。漸く前走、5月10日のピーター・パン・ステークス(GⅡ)に勝って金星を射止めました。トーナリストが強かったというより、3冠を戦い抜いてきた馬たちが疲労困憊していたというのが正直な印象です。

失望の溜息が漏れるベルモントを後にして、次はチャーチル・ダウンズ競馬場のミント・ジュレップ・ハンデキャップ Mint Julep H (芝GⅢ、3歳上牝、8.5ハロン)を紹介しましょう。firm の馬場に8頭立て。去年のこのレースの勝馬で2連覇を狙うミズ・アイダ Miz Ida が6対5の1番人気。
伏兵メイド・オン・ア・ミッション Maid On a Mission が逃げ、ミズ・アイダは最後方からの競馬。2番手に付けていた6番人気(13対1)のハネー・ヒューズ Honey Hues が前を捉えると、2番人気(5対2)のアイム・オールレディー・セクシー I’m Already Sexy に4分の3馬身差を付けてステークス初勝利を飾りました。2馬身差で逃げたメイド・オン・ア・ミッションが3着、ミズ・アイダは追い込むも5着で連覇成らず。
バーナード・フリント厩舎、ヘスス・ロペス・カスタノン騎乗のハネー・ヒューズは、チャーチル・ダウンズの芝コースで2勝しているコース得意の馬。前走同じチャーチルの一般ステークスでは9着に終わっていました。

怒涛の土曜日、最後はサンタ・アニタ競馬場のアファームド・ステークス Affirmed S (GⅢ、3歳、8.5ハロン)。もちろん去年はハリウッドで行われていたレースで、サンタ・アニタは初めてです。fast の馬場に8頭立て。サンタ・アニタ・ダービー7着馬のフレンズウィズ・ケー・ミル Friendswith K Mill が前走サンタ・アニタのアローワンス戦に勝って復活、5対2の1番人気に支持されていました。
しかし結果は3番人気(9対5)キャン・ザ・マン Can the Man の逃げ切り勝ち。1馬身4分の1差2着に人気のフレンズウィズ・ケー・ミルが追い込み、頭差で4番人気(7対1)のフォレヴァー・フアニート Forever Juanito が3着。
ボブ・バファート厩舎、マーチン・ガルシア騎乗のキャン・ザ・マンは、去年10月にサンタ・アニタの一般ステークスに勝って以来の休養明け。去年はデル・マー・フューチュリティー(GⅠ)で3着したこともある期待馬で、三冠レースが終わってから愈々出陣という新勢力になる気配です。

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