メモリアル・デイのG戦6態
5月26日のアメリカはメモリアル・デイの休日。月曜日が割り当てらるため3連休で、例年G戦は土曜日と月曜日に行われることが多いようです。
ということで昨日は5つの競馬場で合計6鞍のG戦が行われました。一般的に言って知っておきたいのはカリフォルニアのゲイムリーだけでしょうか。入電順に取り上げましょう。
最初はベルモント・パーク競馬場のポーカー・ハンデキャップ Poker H (芝GⅢ、4歳上、8ハロン)から行きましょう。去年は7月初めに3歳上として行われましたが、今年はメモリアル・デイのメインに変わりました。1頭取り消しがあり6頭立て。去年のBCマイル2着馬ザー・アプルーヴァル Za Approval が実績から4対5の1番人気。
3番人気(4対1)ピース・アンド・ジャスティス Peace and Justice が逃げ、ザー・アプルーヴァルは3番手追走。直線、前の2頭は交わしましたが、最後方から一気の脚で追い込んだ2番人気(5対2)ジャック・ミルトン Jack Milton と4番手に付けていた5番人気(14対1)ビッグ・スクリーン Big Screen にも交わされて3着敗退。ジャック・ミルトンとビッグ・スクリーンとの着差は2馬身4分の3、更に2馬身差でザー・アプルーヴァルの順でした。
トッド・プレッチャー厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のジャック・ミルトンは、去年トランシルヴァニア・ステークス(芝GⅢ)に勝ってからは3着続き。GⅠのセクレタリアート、ジャマイカ・ハンデなど惜しいレースの鬱憤を晴らした形でしょう。
続いてはチャーチル・ダウンズ競馬場のウイニング・カラーズ・ステークス Winning Colors S (GⅢ、3歳上牝、6ハロン)。9頭が出走し、前走キーンランドのマディソン・ステークス(GⅠ)3着の実績が買われてアプロポス Apropos が9対5の1番人気。
レースは4番人気(7対1)のソーシャルバグ Socialbug がハイペースで飛ばします。これを3番手に付けていた3番人気(4対1)のサザン・ハネー Southern Honey が外から交わし、見せムチだけで引き離すと、ソーシャルバグに1馬身半差を付ける楽勝です。3馬身4分の1差で最低人気(35対1)のウォーム・プリーズ Warm Breeze が3着に飛び込み、本命アプロポスはスタートの出遅れと前半での接触が響いて5着敗退に終わりました。勝時計1分8秒67はレース史上3番目に速いタイムだったそうです。
ジョージ・アーノルド厩舎、ジュリアン・ルパルー騎乗のサザン・ハネーは、G戦初挑戦で初勝利の3歳馬。2歳時は2戦して勝てませんでしたが、今年4月にキーンランドで初勝利、続いて5月にはチャーチル・ダウンズのアローワンス戦にも勝ってこれで3連勝。通算成績も5戦3勝2着1回と軌道に乗ってきました。
次にローン・スター・パーク競馬場からはローン・スター・パーク・ハンデキャップ Lone Star Park H (GⅢ、3歳上、8.5ハロン)。6頭立てで2対5の断然1番人気に支持されたグランド・コンテンダー Grand Contender は、前走同じローン・スターのテキサス・マイル・ステークス(GⅢ)を含めてステークス2連勝中。テキサス・マイル+ローン・スター・ハンデのダブル達成に期待が掛かります。
その期待を背負ったグランド・コンテンダー、スタートからゴールまで横綱相撲の逃げ切り勝ち。4馬身差で3番手を追走していた2番人気(7対2)のドゥーノーハーム Donoharm が2着、更に1馬身半差で2番手を追走していたエフ・ジェイ・アンクル・ヴィック F J Uncle Vic が3着。
トーマス・エイモス厩舎、リチャード・エラミア騎乗のグランド・コンテンダーは、これで3連勝でステークスは4勝目、内G戦2勝となります。上記テキサス・マイルとローン・スターのダブルは史上3頭目なのだそうです。
メモリアル・デイの4場目は、ゴールデン・ゲート・フィールズ競馬場。去年もこの日に行われたオール・アメリカン・ステークス All American S (GⅢ、3歳上、8ハロン)ですが、去年は8.5ハロンでした。7頭が出走し、去年の勝馬サマー・ヒット Summer Hit が3対5の1番人気。前走(4月26日)サン・フランシスコ・マイル(芝GⅢ)では48対1の大穴ペッパー・クラウン Pepper Crown の2着、そのペッパー・クラウンも出走してきましたが、前回はフロックとの見方が大半だったようです。
そのペッパー・クラウンがハナを叩いて先頭に立ちましたが、向正面では直ぐにサマー・ヒットが先頭を奪って第4コーナー、ここで同厩の伏兵(24対1)ロングヴュー・ドライヴ Longview Drive が内から一旦は抜けたように見えましたが、サマー・ヒットが差し返して頭差先着。ジェリー・ホーレンドルファー厩舎のワン・ツー・フィニッシュとなりました。因みにロングヴュー・ドライヴはサン・フランシスコ・マイルでは4着。1馬身半差でハドソン・ランディング Hudson Landing が3着に入り、ペッパー・クラウンは5着と大穴再現は成らず。
勝馬を管理するホーレンドルファー師は同馬の共同オーナーでもあり、ラッセル・ベイズが手綱を取っていました。アメリカン2連覇の他に同じゴールデン・ゲートで昨秋のバークレー・ハンデ(GⅢ)も制しており、G戦は3勝目。去年もサン・フランシスコ・マイル2着からの勝利で、ビデオ・テープを見ているようでしたね。
最後はサンタ・アニタ競馬場から2鞍。第2レースとして早々と行われたロサンジェルス・ハンデキャップ Los Angeles H (GⅢ、3歳上、6ハロン)は、当初登録が5頭しか無かった上に2頭が取り消し。僅か3頭立てのレース成立ギリギリにまで追い込まれてしまいました。しかも取り消したのは有力視されていた2頭、最初にスーパー・ナインティ―・ナイン Super Ninety Nine が、続いてワイルド・デュード Wild Dude も獣医が左前脚の故障を発見して取り消しの事態。fast の馬場、同じイーヴンに2頭が並び、僅かの差でサイクロメター Cyclometer が1番人気でした。
スタートで先手を取ったのは同じイーヴン(2番人気)のワイン・ポリス Wine Police 。これを外から並ぶように追走したサイクロメターが3コーナー手前で交わすと、順位はゴールまでそのまま。結局1番人気が2番人気に2馬身半差を付けて優勝。10馬身4分の3差が付いて最初から最後まで3番手に甘んじたカラー・オブ・カレッジ Color of Courage が続くという何とも味の無いレース。
勝ったサイクロメターはオーナー・ブリーダーでもあるブルース・ヘドリー師の管理馬で、エドウィン・マルドナード騎乗。G戦は初勝利の6歳牡馬で、前走サンタ・アニタのポトレロ・グランデ・ステークス(GⅡ)で3着。そのときの2着馬が、故障で取り消したワイルド・デュードでした。
そして月曜日唯一のGⅠ戦は、古馬牝馬によるゲイムリー・ステークス Gamely S (芝GⅠ、3歳上牝、9ハロン)。firm の馬場に9頭が出走し、ここ7戦で5勝、前走ウイルシャー・ステークス(芝GⅢ)を制したパランダ Parranda が2対1の1番人気に支持されていました。
レースは大外発走のラゴーリ Rhagori の逃げ、パランダは中団6番手からの競馬。逃げ馬を2番手で追走していた2番人気(3対1)のエモリエント Emolient が動いて先頭で直線。そのまま逃げ切ったかに見えましたが、前半4番手に付けていた伏兵(13対1、7番人気)ミス・セレンディピティー Miss Serendipity が一気の末脚を爆発させ、ゴール寸前でハナ差交わしての逆転劇。2馬身4分の1差でパランダが追い込むも3着に終わりました。
ロナルド・マッカナリー厩舎、ブライス・ブラン騎乗のミス・セレンディピティーは、アルゼンチンのGⅠ(去年のエストレラス・ディスタッフ)勝馬で、これが北アメリカでの初勝利。これまでサンタ・バーバラ・ハンデ(芝GⅡ)2着、サンタ・アナ・ステークス(芝GⅢ)3着と、何れもエモリエントの後塵を拝していた6歳馬です。漸くアメリカの水に馴染んで来たか、宿敵を倒しての南北アメリカGⅠ制覇となりました。
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