デル・マーも開幕

夏競馬に突入したアメリカ競馬、昨日の土曜日にはデル・マー競馬場も開幕し、4つの競馬場で合計5鞍のG戦が行われました。

最初はサラトガ競馬場の2鞍から。サンフォード・ステークス Sanford S (GⅢ、2歳、6ハロン)は、去年まではGⅡだった一戦。今年は第100回記念に当たりますが、皮肉にもワンランク降格となりました。fast の馬場に1頭が取り消して8頭立て。前走ベルモントの泥んこ馬場のデビュー戦を5馬身で圧勝したノンナズ・ボーイ Nonna’s Boy が8対5の1番人気に支持されていました。
若馬のレースとあって出入りの激しい競馬、大外枠発走の2番人気(2対1)でバシュフォード・マナー・ステークス(GⅢ)勝馬のシンコー・チャーリー Cinco Charlie がダッシュ良く飛び出しましたが、これに競り掛けてブービー人気(23対1)のチョコレート・ワイルドキャット Chocolate Wildcat がハナを奪っての逃げ。ノンナズ・ボーイは離れた4番手を追走しましたが、スタートで後手を踏んだ5番人気(11対1)の伏兵ビッグ・トラブル Big Trouble が直線で大外から伸び、同じく後方を進んで末脚に掛けたミスター・ズィー Mr. Z に首差で逆転優勝。1馬身半差で一旦控えたシンコー・チャーリーが3着に入り、ノンナズ・ボーイは首差で4着。
アンソニー・ダトロウ厩舎、イラッド・オルティス騎乗のビッグ・トラブルは、6月1日にベルモントのデビュー戦を4馬身で逃げ切った馬。これで2戦2勝としましたが、レース内容は全く対照的なもの。9月1日に予定されているホープフル・ステークス(GⅠ)に向かうことになりますが、今回の競馬は馬にとっては良い経験になったと思われます。

続いてダイアナ・ステークス Diana S (芝GⅠ、3歳上牝、9ハロン)。firm の芝に10頭が出走し、去年のBCフィリー・アンド・メア・ターフ3着以来ながらガーデン・シティー・ステークス(芝GⅠ)勝馬のアルテライト Alterite が5対2の1番人気。
スタートが最も良かったのは7番人気(11対1)のソマリ・レモネード Somali Lemonade でしたが、クラブハウス・ターンに向かう所では6番人気(8対1)で去年のデル・マー・オークス(GⅠ)勝馬ディスクリート・マルク Discreet Marq が先頭。更に向正面では人気のアルテライトがハナに立つ展開となりましたが、一旦3~4番手に控えたソマリ・レモネードが直線では巧く開いたスペースを一気に衝いてディスクリート・マルクを交わして先頭、5番手から外を衝いて急襲する2番人気(5対1、ランフランコ・デットーリの遠征騎乗)ステファニーズ・キッテン Stephanie’s Kitten を首差抑えての優勝。更に首差でディスクリート・マルクが3着に粘りました。アルテライトは休養明けが響いて8着に沈んでいます。
マイケル・マッツ厩舎、ルイス・サエズ騎乗のソマリ・レモネードは、バーボネット・オークスや今年のギャロレット・ハンデ(芝GⅢ)に勝っている5歳馬。去年までは後方から差す競馬でしたが、今期からはブリンカー装着と共に先行抜け出しの競馬に戦術転向。これが奏功してGⅠ初勝利となりました。

次にアーリントン・パーク競馬場のポリトラック・コースで行われるアーリントン・オークス Arlingto Oaks (GⅢ、3歳牝、9ハロン)。10頭が出走し、ポリトラック・コースのスペシャリスト、オーレリアズ・ベル Aurelia’s Belle が6対5の1番人気。
レースはファニーブダンシング Phaniebdancing が後続を一時は5馬身引き離しての逃げ。これを慌てず3番手で追走していたオーレリアズ・ベルが馬なりのまま進出し、先頭で直線に入ると、後方から追い込むステラリス Stellaris を余裕で4分の3馬身差に封じての快勝。4馬身4分の1差で2番手を追走していたシーズ・オフリー・グッド She’s Offlee Good が3着。
ウェイン・カタラーノ厩舎、チャニング・ヒル騎乗のオーレリアズ・ベルは、キーンランドの初勝利、ターフウェイ・パークのバーボネット・オークス(GⅢ)に続き、ポリトラック・コースでは3連勝。この間、ダート・コースのケンタッキー・オークスでは9着に終わっていました。前走チャーチル・ダウンズのリグレット・ステークス(芝GⅢ)での繰上り優勝に続き、G戦も2連勝。

三つ目の競馬場はシスルダウンズ競馬場。オハイオ・ダービー Ohio Derby (GⅢ、3歳、8.5ハロン)は一昨年は7月上旬、去年は下旬、今年は中旬と開催時期が区々で、一時はスターホースの参戦もありましたが、今一つ魅力に欠けていました。今年は賞金が30万ドルに引き上げられ、レースとしての巻き返しを図ります。雨で水が浮くような個所もありましたが、発表は fast 、1頭が取り消して11頭立て。クラシック前哨戦であと一歩及ばなかったオールモスト・フェイマス Almost Famous が3対2の1番人気に支持されていました。
レースはブラザーズオブザタイム Brothersofthetime が逃げ、オールモスト・フェイマスは競り掛けるように2番手追走。直線で先頭に立ちましたが、3番手を追走していた2対1のジェシカズ・スター Jessica’s Star が交わしてハナに立った所、前半7番手に控えていた9対1の伏兵イースト・ホール East Hall が外から鋭く伸び、ゴール寸前で首差抜けての番狂わせです。2馬身4分の1差で本命オールモスト・フェイマスが3着。
ウイリアム・カプラン厩舎、フアン・レヴィア騎乗のイースト・ホールは、去年11月24日にガルフストリームのアローワンス戦に勝って以来の勝ち星、もちろんG戦初勝利です。前走もガルフストリーム競馬場で、一般ステークスで勝馬から大きく離されての2着でした。

最後に昨日開幕したばかりのデル・マー競馬場から、サン・クレメンテ・ハンデキャップ San Clemente H (芝GⅡ、3歳牝、8ハロン)。ほぼ1か月後に行われるデル・マー・オークス(芝GⅠ)の前哨戦で、12頭が参戦、5月末サンタ・アニタで行われたアメリカン・オークス(芝GⅠ)2着馬のディヴァーシー・ハーバー Diversy Harbor が5対2の1番人気に支持されていました。
レースは5番人気(10対1)のイスタンフォード Istanford が逃げ、ディヴァ―シティー・ハーバーは後方2番手に待機しましたが、デル・マー競馬場の芝コースは今年から広げられたこともあって先行馬有利、そのままイスタンフォードが逃げ切りってしまいました。2馬身半差で6番手追走の7番人気(18対1)テーピン Tepin が2着に飛び込み、1馬身差の3着が2番人気(5対2)のマイ・コンケスタドリー My Conquestadory の順。ディヴァーシー・ハーヴァーも差を詰めましたが、半馬身及ばず4着に終わっています。
マイケル・シュティドハム厩舎のイスタンフォードは、前走チャーチル・ダウンズのリグレット・ステークス(芝GⅢ)こそ7着に敗退していましたが、その前はアーリントン・クラシック(GⅢ)を牡馬相手に逃げ切っていた馬。騎乗したラファエル・ベハラノは、5月10日に落馬負傷して以来の復帰をG戦勝利で飾り、去年に続きデル・マー夏開催のリーディング・ジョッキー連覇を目指す上でも絶好のスタートになりました。このレースも4年間で3勝と滅法強い所を発揮しています。

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