タグルーダ、無敗で古馬を一蹴

今日は先ずキング・ジョージの結果からレポートしましょう。枠順と見所に付いては既に紹介していました。
アスコット競馬場は good to soft 、所により good という馬場。キング・ジョージⅥ世・アンド・クィーン・エリザベス・ステークス King George Ⅵ and Queen Elizabeth S (GⅠ、3歳上、1マイル4ハロン)はレース名が余りにも長いので、簡単に「キングジョージ」で親しまれています。キング・ジョージ・ステークスと言う本来のG戦もありますが、単にキングジョージと言えばこちらのこと。

さて紹介した枠順から9番枠発走の予定だったフリントシャー Flintshire は発熱のため遠征を断念、8頭立てとなりました。前回も予言したように、5対2の1番人気にはロイヤル開催のアスコットでハードウィック・ステークスを圧勝したテレスコープ Telescope が選ばれました。前走はGⅡで、同馬には未だGⅠ勝ちはありませんが、キングジョージでGⅠ初制覇と言う事例はいくつもありますから、やはりコースト距離の実績が評価されたものと思います。
7対2の2番人気は、3歳牝馬のタグルーダ Taghrooda 。古馬との対戦、もちろん牡馬との対戦も初めてですが、エプサムは圧勝で、愛オークスの同期対決を振ってこちらに回ってきた陣営の自信は並々ならぬものがあります。

レースはボルジャー厩舎2頭出しの1頭でペースメーカーと思われるレイティール・モール Leitir Mor が後続を引き離しての逃げ、これを僚馬で5番人気(8対1)のトレーディング・レザー Trading Leather が追走。テレスコープは前を見るように3番手に付け、タグルーダは最後方から。
直線に入るとペースメーカーは役目を終え、先ず抜けたのは6番人気(12対1)でエクリプス勝馬のムカードラム Mukhadram 、これを本命テレスコープが捉えに掛かりましたが、鞍上ムーアは並び掛けるのにも目一杯のズブさ。この叩き合いを尻目に鮮やかな瞬発力を見せたのが、ポール・ハナガンが完璧なタイミングで追い出したタグルーダ。ゴールではテレスコープに3馬身差を付ける完勝です。短頭差でムカードラムが3着に粘り、以下3番人気(4対1)のイーグル・トップ Eagle Top 4着、トレーディング・レザー5着。

勝馬を管理するジョン・ゴスデン師は、今回のキングジョージには3頭を出走させていました。4戦無敗でGⅠを連勝したタグルーダはシェイク・ハムダン氏の所有馬、もちろん愛オークスを回避してここに参戦する決断はオーナーが下したものです。同じシーズンでオークス/キングジョージのダブルを達成したのは、何と1976年のポーニーズ Pawneese 以来のことと言いますから、タグルーダの快挙が並みのものではないということが判るでしょう。更にここ10年で3歳馬が制したのは、2011年のナサニエル Nathaniel に続く2頭目。これも大書すべきですね。
今後何処を使うかはもちろんオーナーの判断ですが、最も可能性が高いはヨークシャー・オークスから凱旋門賞という路線。凱旋門賞のオッズは、これまでの14対1から一気に5対1に急上昇。現時点で1番人気に上がってきました。父は凱旋門賞馬シー・ザ・スターズ Sea the Stars 、その初年度産駒でいきなり凱旋門父娘制覇という夢が膨らんでいます。

アスコット競馬場からはもう一鞍、キングジョージの前に恒例のプリンセス・マーガレット・ステークス Princess Margaret S (GⅢ、2歳牝、6ハロン)も行われています。直線コースなので馬場は good 。8頭が出走し、前走ドンカスターで未勝利を脱したばかりのオサイラ Osaila が7対4の1番人気。

ロージーズ・プレミエ Rosie’s Premier が逃げましたが、最後方に待機したオサイラが人気通りの瞬発力を発揮し、これも後方からの競馬となった最低人気(33対1)のパストラル・ガール Pastoral Girl に2馬身差を付けて期待に応えました。1馬身半差3着の4番人気(10対1)イクスプローシヴ・レディー Explosive Lady も後方から追い込んだ馬。
リチャード・ハノン厩舎、ランフランコ・デットーリ騎乗のオサイラは、デビュー戦2着のあとロイヤル・アスコットのアルバニー・ステークス(GⅢ)に挑戦して5着していた陣営期待の1頭。前走ドンカスターは僅か9日前でしたが、ほとんどレースをしない内に勝ってしまった、とはデットーリ騎手のコメント。
モルニー賞とチーヴリー・パーク・ステークスに登録があるものの、ハノン師の見解では7ハロンの方が適しているとのこと。いずれにしても来年の1000ギニーを視野に入れていることでしょう。

昨日はヨーク競馬場でもG戦が行われました。good to firm の馬場で行われたヨーク・ステークス York S (GⅡ、3歳上、1マイル2ハロン88ヤード)は1頭取り消しの7頭立て。エプサムでダイオメド・ステークス(GⅢ)3着、前走サンダウンのリステッド戦に勝ったゴドルフィンのウインドヘック Windhoek が6対4の1番人気に支持されていました。

レースは4番人気(6対1)のシークレット・ジェスチャー Secret Gesture が逃げ、先行から抜け出したウインドヘックとの叩き合い。そこに後方から鋭く伸びた5番人気(7対1)のシェイクザイードロード Sheikhzayedroad が絡んで3頭の写真判定。結局シェイクザイードロードが首差で混戦を制し、差し返したシークレット・ジェスチャーがこれも首差で2着を死守していました。
デヴィッド・シムコック厩舎、マーチン・レーン騎乗のシェイクザイードロードは、前々走ブリガディア・ジェラード・ステークス(GⅢ)で2着したあと、前走ニューマーケットでリステッド戦勝ち、本命馬と同じような戦績で参戦していました。このあとは海外遠征を計画しているようで、目標はカナダ・インターナショナルの由。
なお、最後の叩き合いでレーン騎手は4日間、2着馬に騎乗したジェイミー・スペンサーには2日間の騎乗停止処分が課せられました。いずれもムチの過剰使用によるものです。

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