ベルモント馬トーナリスト、秋に向けて始動
昨日のアメリカはサラトガとデル・マーで合計3鞍のG戦。夏競馬は平日にもG戦が組まれるため、平時の土曜日集中型にならず、レポートを書く側にとっては比較的楽な季節ではあります。
ということでサラトガ競馬場からは2鞍。先ずは3歳の短距離戦として知られるアムステルダム・ステークス Amsterdam S (GⅡ、3歳、6.5ハロン)から。馬場は fast 、2頭が取り消して7頭立て。より短い距離で走ってきた馬と、少し長い距離から若干短い距離に戻るタイプとの対戦となり、前走ベルモントのドワイヤー・ステークス(GⅢ)で2着惜敗のキャプテン・シリアス Captain Serious が6対5の1番人気。
前走は逃げ粘ったキャプテン・シリアスでしたが、今回は最低人気(28対1)ビッグ・ガイ・イアン Big Guy Ian に先頭を譲って3番手追走。直線で外から追い上げに掛かりましたが、前半は後方2番手に待機していた2番人気(9対5)のクー・ド・グラース Coup de Grace の末脚が勝り、2番手を粘った4番人気(7対1)シー・ズィー C. Zee を3馬身差突き放しての優勝。キャプテン・シリアスは更に2馬身及ばず3着に終わりました。
ラリー・ジョーンズ厩舎、ロージー・ナプラヴニク騎乗のクー・ド・グラースは、4月5日にベイ・ショア・ステークス(GⅢ)に勝っており、G戦は2勝目。前走デラウエア・パークの一般ステークスも後方一気の差し脚で制しており、レースのパターンが確立してきたようです。次走は8月23日にサラトガで行われる短距離の頂点、キングズ・ビショップ・ステークス(GⅠ)になるでしょう。
続いてはジム・ダンディ・ステークス Jim Dandy S (GⅡ、3歳、9ハロン)。1頭が取り消して6頭立てとなりましたが、何と言っても注目はベルモント・ステークスの覇者トーナリスト Tonalist 。クラシック以来の実戦で、当然ながら4対5の断然1番人気に支持されています。
レースは4番人気(8対1)のレジェンド Legend が逃げ、トーナリストは後方2番手で待機。第3コーナーで2番手を追走していた2番人気(2対1)のウィックド・ストロング Wicked Strong がスパートして先頭に並び掛けると、トーナリストも外から迫るも2馬身4分の1差の2着まで詰めるが精一杯でした。3馬身4分の3差の3着には3番人気(5対1)のキッド・クルーズ Kid Cruz が入っています。
ジム・ダンディー初制覇となるジェームス・ジャーキンス厩舎、ラジーヴ・マラー騎乗のウィックド・ストロングは、クラシックのトライアルであるウッド・メモリアル・ステークス(GⅠ)の勝馬で、三冠レースは何れも4着(ベルモントではカリフォルニア・クローム California Chrome と4着同着)だった馬。今回は初めて装着したブリンカーが功を奏したようで、3歳シーズン後半戦を幸先よくスタートさせました。この夏のサラトガでは、8月23日に予定されているトラヴァース・ステークス(GⅠ)で頂点を目指します。
土曜日の最後は、デル・マー競馬場のサン・ディエゴ・ハンデキャップ San Diego H (GⅡ、3歳上、8.5ハロン)。2頭の取り消しがあり9頭立て。このレースと同じ距離で行われたカナダのエクリプス・ステークス(カナダGⅡ)に勝っているフラック・ダディー Frac Daddy が2対1で1番人気。
レースは大外発走で2番人気(3対1)のフェド・ビズ Fed Biz がハナを主張して先頭。フラック・ダディが5番手で伸び悩む中、フェド・ビズが中団から追い込んだブービー人気(25対1)のフットブリッジ Footbridge に5馬身4分の1を付ける逃げ切り勝ちでした。更に1馬身差で5番人気(7対1)のユー・ノウ・アイ・ノウ You Know I Know が3着に入り、フラック・ダディーは4着敗退。勝時計1分41秒フラットは、あのゼニヤッタ Zenyatta の記録を塗り替えるレコード・タイム更新でした。
珍しくもこのレース初勝利となるボブ・バファート厩舎、マーチン・ガルシア騎乗のフェド・ビズは、去年のBCダート・マイル(GⅠ)6着以来の休養明け。BCの前にはここデル・マーでパット・オブライエン・ステークス(GⅡ、これもレコード・タイム)にも勝っており、デル・マーでは3戦3勝と無敵です。
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