シークレット・サークル敗れる

今年最後の土曜日は、フロリダとカリフォルニアで合計5つのG戦。どれもGⅢですが、今年最後の熱い土曜日を迎えました。

先ずは東海岸の南国フロリダ、ガルフストリーム・パーク競馬場では3鞍のG戦。最初は芝コースで行われる牝馬の長距離ラ・プレヴォヤンテ・ハンデキャップ La Prevoyante H (芝GⅢ、3歳上牝、12ハロン)です。去年まではカルダー競馬場で行われていましたが、同場の経営難から来る賞金不足でキャンセルされた一戦。今年はガルフストリームに舞台を移しての復活となりました。good の芝コースに14頭立て。120ポンドのトップ・ハンデを背負いながらも一昨年カナダの3歳牝馬チャンピオンと最強芝牝馬に選ばれたアイリッシュ・ミッション Irish Mission が2対1の1番人気。
レースは9番人気(35対1)のボヘミアン・ダンス Bohemian Dance がスローに落しての逃げ。各馬一団となる隙間の無い流れの中、終始外の5番手に付けていたアイリッシュ・ミッションが第4コーナーでも外から先頭に立つと、後方4番手から大外を追い込む5番人気(14対1)のタブリード Tabreed に4分の3馬身差を付けて見事人気に応えました。今年絶好調のクリストフ・クレメント師のワン・ツー・フィニッシュです。首差で2番人気(5対2)のフォト・コール Photo Call が3着。
ジョン・ヴェラスケスが騎乗したアイリッシュ・ミッションは、前走BCフィリー・アンド・メア・ターフこそ11頭立てのシンガリ負けでしたが、8月末にサラトガでグレンズ・フォールズ・ステークス(芝GⅢ、11ハロン)に勝っていた5歳馬。その間のロデオ・ドライヴ・ステークス(芝GⅠ)でも3着しており、芝コースの長距離スペシャリストの1頭です。クレメント師にとってこのレース5勝目。

続いてはミスター・プロスペクター・ステークス Mr. Prospector S (GⅢ、3歳上、6ハロン)。以前からガルフストリーム・パークの最終G戦として行われてきたレースで、fast の馬場に8頭立て。出走馬中唯1頭119ポンド(他は全て117ポンド)を背負ったスピーチファイ Speechify が9対5の1番人気。
ブービー人気(15対1)のモンゴリアン・サタデイ Mongolian Saturday が逃げ、これを2番人気(5対2)のリスク・ファクター Risk Factor が追走。スピーチファイは3番手に付けて抜け出すを機を窺っていましたが、結局前を行く3頭での決着。最も重い負担重量のスピーチファイが先行2頭を外から捉えると、真ん中で頑張るリスク・ファクターに1馬身4分の1差で快勝。同じく1馬身4分の1差で逃げたモンゴリアン・サタデイが内で3着に粘りました。去年のこのレースの勝馬シングアナザーソング Singanothersong は8着最下位に敗退。
ラルフ・ニックス厩舎、パコ・ロペス騎乗のスピーチファイは、前走ガルフストリーム・パーク・ウエスト(旧カルダー)の一般ステークス(ケニー・ノー・ジュニア・ステークス、6ハロン)に続くステークス連勝で、G戦は初勝利。デビューから最初の2戦もここガルフストリーム・パークで連勝しており、コース・スペシャリストと言えるでしょう。

フロリダ今年最後のG戦は、これも去年までのカルダー競馬場からこちらに移管されてきたW.L.マックナイト・ハンデキャップ W.L.McKnight H (芝GⅢ、3歳上、12ハロン)。去年(カルダー競馬場)は施行されはしたものの、ダートに変更されてGも剥奪されていました。今年は3頭が取り消して13頭立て。何故か春先の実績だけが買われた英国出身のスランバー Slumber が2対1の1番人気。G戦の勝鞍も無く、この人気は不可解でした。
9番人気(30対1)のラプスカリオン Rapscallion が逃げ、スランバーは後方4番手の位置。終始5~6番手に付けていた3番人気(4対1)のディヴァイン・オース Divine Oath が第3コーナーでは3番手、第4コーナーでは先頭に立つ勢いで抜け出すと、3番手から追い込む10番人気(45対1)の伏兵フィクサドール Fixador に半馬身差を付ける逆転劇。1馬身差で5番人気(10対1)のマンシューリアン・ハイ Manchurian High が3着に食い込み、スランバーはやや順位を上げたものの7着までと馬券的には波乱の結果となっています。
トッド・プレッチャー厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のディヴァイン・オースは、前走BC当日に行われたトゥワイライト・ダービー(芝GⅡ)で3着している3歳馬。7月にはアーリントンでアメリカン・ダービー(芝GⅢ)、9月にはデラウエアでケント・ステークス(芝GⅢ)にも勝っており、これがG戦3勝目。初めての古馬との対戦も問題には成りませんでした。こちらが本命になってもおかしくない実績の持ち主です。

一方西海岸のサンタ・アニタ競馬場ではG戦が2鞍。最初のミッドナイト・リュート・ステークス Midnight Lute S (GⅢ、3歳上、6.5ハロン)は、ハリウッド競馬場時代にヴァーノン・オー・アンダーウッド・ステークス(GⅢ、3歳上、6ハロン) Vernon O. Underwood S として行われていた短距離戦です。7頭が出走し、今年のBCスプリント馬シークレット・サークル Secret Circle が1対5の断然1番人気。BCのあと前走シガー・マイル(GⅠ)で1マイルに挑戦して2着に敗れましたが、短距離のここでは負ける要素は見当たりません。
レースは1番枠を利してブービー人気(28対1)のエア・オブ・ストーム Heir of Storm が飛び出しましたが、次第に大外7番枠発走の2番人気(6対1)ディスティンクティヴ・パッション Distinctiv Passion がハナを奪います。大本命シークレット・サークルは3~4番手を追走していましたが、意外にもエンジンが掛からず、ディスティンクティヴ・パッションがそのまま押し切っての逃げ切り勝ち。1馬身4分の3差でエア・オブ・ストームが辛うじて2着を死守し、ハナ差3着に追い込んだのは何と最低人気(31対1)のアピーリング・テイル Appealing Tale 。シークレット・サークルは更に1馬身遅れの4着に敗れるという大波乱になりました。
ジェフ・ボンド厩舎、今回が初コンビとなるマイク・スミス騎乗のディスティンクティヴ・パッションは、前走デル・マーのアローワンス戦(5ハロン)に勝ってきた4歳牡馬。3歳時はサンタ・アニタ・チャンピオンシップ(GⅠ)で3着になったこともありますが、G戦は初勝利。去年のマリブー・ステークス(GⅠ)8着の後暫く休養し、これが休み明け3戦目でのG戦初勝利となりました。3歳時のサン・ペドロ・ステークス(一般ステークス)に次いで、ステークス勝は二つ目。

土曜日の最後はロバート・J・フランケル・ステークス Robert J. Frankel S (芝GⅢ、3歳上牝、9ハロン)。去年は年間で最後のG戦でしたが、今年は日曜日にもう一鞍が残されています。firm の馬場に3頭が取り消して9頭立て。前走アメリカ・デビューで不利がありながら3着した英国馬レディー・ピンパーネル Lady Pimpernel が5対2の1番人気。
レースは3番人気(9対2)のキャスリーン・ローズ Kathleen Rose が逃げ、レディー・ピンパーネルは前走に続いて後方4番手に待機。直線で2番手に付けていた4番人気(5対1)のラスティー・スリッパー Rusty Slipper が抜け出しましたが、この直後にまで接近していたレディー・ピンパーネルが外から突き抜けると、最後方から大外を回って急襲する2番人気(7対2)のディヴァーシー・ハーバー Diversy Harbor をハナ差抑えて期待に応えました。直線で前を塞がれながらも内ラチ沿いに進路を替えて猛追した8番人気(15対1)のスリー・ハーツ Three Harts が首差で惜しい3着。4着のレディー・オブ・ゴールド Lady of Gold も首差という大接戦でした。
カーラ・ゲインズ厩舎、前走に続いてヴィクター・エスピノザが騎乗したレディー・ピンパーネルは、今年の8月は英国ソールズベリー競馬場のリステッド戦(10ハロン)に勝っていた4歳牝馬。前走11月デル・マー競馬場のレッド・カーペット・ハンデ(芝GⅢ)ではアンラッキーな3着。アメリカ2走目で自身も初となるG戦勝利を果たしました。

 

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