連日のラヴェル
月曜日のプロムスは前の日に続いてラヴェルの管弦楽作品が取り上げられましたが、BBC委嘱作品の世界初演も二日連続となります。実は翌日も委嘱作の初演が予定されており、三日連続となる予定。
この辺りがプロムスの凄い所で、仮に日本で同じような企画が実行されれば、我が国の作曲界にも相当な刺激になること間違いなし。日本でも8月にサントリー作曲賞など現代作品の演奏機会がありますが、現代モノは現代モノだけでプログラミングされることが多く、特殊なファンの物になり勝ち。新しい作品の普及紹介とという点ではプロムスに軍配が挙がるでしょう。
7月28日 ≪Prom 15≫
ジョナサン・ドーヴ Jonathan Dove/Gaia Theory (BBC委嘱 世界初演)
モーツァルト/ピアノ協奏曲第23番
~休憩~
ラヴェル/「ダフニスとクロエ」全曲
BBC交響楽団
指揮/ジョゼフ・ポンス Josep Pons
ピアノ/イングリット・フリッター Ingrit Fliter
合唱/BBCシンフォニー・コーラス
前日に続いてBBC委嘱作の世界初演は、1959年生まれのイギリスの作曲家ドーヴの新作。彼には「方丈記」という作品もありますし、シャンドス盤の英国現代フルート協奏曲集というアルバムには「魔笛の踊り」という作品が収録されています。
これはモーツァルトの魔笛を材料にしたもので、耳に馴染んだメロディーがいくつも登場する聴き易い作品。興味ある方はナクソスのNMLでお試しあれ。
今回の新作は、NASAの科学者だったジェームス・ラヴロックのガイア理論に触発された作品。ガイア理論ついてはウィキペディアに解説もありますから、自分で検索するように。
生命の起源というようなテーマで書かれているようで、全体は3楽章から成ります。夫々8・8・6分ほどで全部で20数分を要する結構な大作でした。ダンスがテーマの第1楽章、静かで神秘的な第2楽章、アタッカで前の楽章から続く動的な第3楽章は全奏の咆哮で終わり、最後はドラが意味深に残るのが印象的。
興味を持たれた方、作曲家自身のホームページはこちら
また出版社はペータースですが、この曲は未だ出版予定はないようです。ペータース社の作曲家プロフィールの方が客観的で、それはこちらから
http://www.editionpeters.com/london/modern.php?composer=DOVE&modern=1
続いてはドーヴが引用したこともあるモーツァルトの名曲。ソロを弾くフリッターはプロムス・デビューだそうです。私はピアノは良く判りませんが、かなり情を籠めて弾くピアニスト。第1楽章のカデンツァはモーツァルトの自作でしたが、知らずに聴いているともっと時代の新しい人の作品の様にも聴こえてきました。
それでというワケではありませんが、以前彼女のリサイタルに行く予定だったところ、ピアノ好きにチケットを横取りされたことを思い出しました。
何故か第2楽章が若干混乱し、どうもフリッターが2小節ほど飛ばしたみたい。それでも演奏が止まらなかったのは、指揮者の処理が適切だったのかもネ。
最後のラヴェルは合唱が入った全曲版。組曲も良いけれど、やっぱりダフクロは全曲でなくちゃ。
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