8月第1週のGⅠ戦4鞍
東京を離れていた間の週末競馬レポート、続いて土曜日のアメリカ競馬を纏めておきましょう。
8月2日は8月の第1土曜日、ブリーダーズ・カップは11月の第1週ですから、どの月も第1週はBCへ向けてローテーションを組む馬にとっては丁度良い時期に当たります。
ということで先週末も3つの競馬場でG戦は5鞍と少なめでしたが、そのうち4鞍はGⅠ戦ということで目の離せないレースが続きました。
最初は行われた3鞍が全てGⅠというサラトガ競馬場。何れも fast のダート・コースで行われました。最初はアルフレッド・G・ヴァンダービルト・ハンデキャップ Alfred G. Vanderbilt H (GⅠ、3歳上、6ハロン)。1頭取り消して7頭立て。プリークネス当日のメリーランド・スプリント・ハンデ(GⅢ)を含めて3連勝中のハッピー・マイ・ウェイ Happy My Way が8対5の1番人気。
そのハッピー・マイ・ウェイがスタートから飛ばして逃げ切りを図りましたが、前半4番手に付けた2番人気(2対1)のパレス Palace が外に持ち出して襲い掛かり、本命馬を1馬身捻じ伏せて優勝。2馬身半差で3番人気(6対1)のフォーリング・スカイ Falling Sky が3着に入りました。
リンダ・ライス厩舎、コーネリオ・ヴェラスケス騎乗のパレスは、前走ベルモント・スプリント・ステークス(GⅢ)で2着、その前にはトゥルー・ノース・ステークス(GⅡ)に勝っており、GⅠは初制覇。8月末に行われるフォアゴ・ステークス(GⅠ)で7ハロンに挑む予定です。
続いてテスト・ステークス Test S (GⅠ、3歳牝、7ハロン)。BCには3歳馬限定戦はありませんから、クラシック路線の延長と見て良いレースでしょう。2頭が取り消して10頭立て。前走エイコーン・ステークス(GⅠ)を制したスイート・リーズン Sweet Reason が力関係から2対1の1番人気。
レースは3番人気(5対1)の逃げ馬フィフティーシェイズオブゴールド Fiftyshadesofgold が例によって逃げ、直線でもギリギリまで粘りましたが、前半7番手に控えたスイート・リーズンが大外からジリジリと差を詰め、最後は混戦の2着争いに1馬身差を付けて人気に応えました。写真判定の結果、ハナ・ハナの激戦で2着は3番手から抜けた8番人気(15対1)のミス・ビヘイヴィアー Miss Behaviour 、3着には後方2番手から大外を急襲した10番人気(25対1)のリトル・アレクシス Little Alexis が入り、フィフティーシェイズオブゴールドが4着。
レアー・ギアマティー厩舎、イラッド・オルティス騎乗のスイート・リーズンは、2歳時にもサラトガでスピナウェイ・ステークス(GⅠ)を制しており、サラトガでは3戦3勝。前走に続くGⅠ連勝で、三つ目のGⅠタイトルを獲得しました。
GⅠ3連発の最後はホイットニー・ハンデキャップ Whitney H (GⅠ、3歳上、9ハロン)。勝馬にはBCクラシックへの優先出走権が与えられます。9頭が参戦、去年のベルモント勝馬パレス・マリス Palace Malice が3対5の1番人気、ライヴァルで前年のチャンピオン3歳に選出されたウイル・テイク・チャージ Will Take Charge が4対1の2番人気、2頭の対決という構図でした。
しかし結果は小波乱。スタートで先手を取った4番人気(10対1)のモレノ Moreno が直線でも脚色鈍らず、そのまま逃げ切ってしまいました。1馬身4分の1差で4番手追走の3番人気(7対1)イッツマイラッキーデイ Itsmyluckyday が2着、更に3馬身差が開いて漸く中団からウイル・テイク・チャージが3着に追い上げ、パレス・マリスは気合に欠けての6着凡走です。
エリック・ギロー厩舎、ジュニア・アルヴァラード騎乗のモレノは、去年7月のドワイヤー・ステークス(GⅡ)以来の勝ち星。去年のサラトガではジム・ダンディー・ステークス(GⅡ)でパレス・マリス、ウイル・テイク・チャージの3着に敗れており、今回は雪辱を果たした形です。前走サバーバン・ハンデ(GⅡ)では2着。これでクラシックの出走権を得ましたが、去年のBCでは逃げて11頭立ての10着。BCでも雪辱を果たしたいところでしょう。
次にマウンテニアー・カジノ競馬場の第45回ウエスト・ヴァージニア・ダービー West Virginia Derby (GⅡ、3歳、9ハロン)を取り上げましょう。馬場は fast 、1頭が取り消して8頭立て。ケンタッキー・ダービー参戦組から3頭が出走してきましたが、最も着順が良かった(13着)キャンディー・ボーイ Candy Boy が8対5の1番人気、次いでは15着のタピチュア Tapiture が2番人気(9対5)で続き、19着だったヴィカーズ・イン・トラブル Vicar’s in Trouble が4対1で3番人気。ダービーの着順がそのまま人気にも反映していました。
そして結果も3頭が上位を独占します。逃げたのはヴィカーズ・イン・トラブルで、これを3番手で追走したキャンディー・ボーイが直線で外から捉えた時、前半は4番手の内を進んだタピチュアが内ラチ沿いから抜けようとしましたが前が開かず、思い切って2頭の外から追い上げ、キャンディー・ボーイに並んだところがゴール。写真判定の結果、タピチュアがハナ差でキャンディー・ボーイを捉えていました。2馬身差でヴィカーズ・イン・トラブルが3着。
スティーヴン・アスムッセン厩舎、ロージー・ナプラヴニク騎乗のタピチュアは、これがG戦4勝目。前走マット・ウイン・ステークス(GⅢ)に続くG戦連勝です。実は前半に落鉄もあったそうで、直線での不利との二重苦を克服しての勝利。ナプラヴニク騎手の咄嗟の判断が勝ちを呼び込んだ一戦でした。アスムッセン陣営がレース二日前にサラトガから送り込んでおり、アスムッセン師にとっては5度目のウエスト・ヴァージニア・ダービーとなります。次走はペンシルヴァニア・ダービーになる由。ナプラヴニクは、この日一般ステークスも含めてステークス3勝と絶好調。
最後はデル・マー競馬場のクレメント・L・ヒルシュ・ステークス Clement L. Hirsch S (GⅠ、3歳上牝、8.5ハロン)。これもBC対象で、勝馬にはディスタッフ(10月末日の予定)への優先出走権が与えられます。ポリトラック・コースに1頭取り消しがあり6頭立て。前走ヴァニティー・ハンデ(GⅠ)でGⅠホースの仲間入りを果たしたアイオタパ Iotapa がイーヴンの1番人気。
レースはラ・キャニャーダ(GⅡ)以来となる3番人気(5対1)ブロークン・ソード Broken Sword の逃げで始まり、アイオタパはやや離れた2番手追走。直線内で渋太く粘るブロークン・ソードを外から追い上げたアイオタパ、最後は外に寄れながらも半馬身差し切っての優勝。2馬身4分の1差で4番人気(6対1)のパランダ Parranda が3着、2番人気(4対1)のフィフティーシェイズオブヘイ Fiftyshadesofhay が4着でした。
ジョン・サドラー厩舎、ジョセフ・タラモ騎乗のアイオタパは、これでヴァニティーに続きGⅠ2連勝。BCへの優先出走権が無くとも、優勝争いの一角に食い込むことは間違いないでしょう。
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