シュトラウスとエルガー

東京を離れている間、プロムスを聴くのは暫くお休みでした。戻ってきてからは色々な後始末があったり、酷暑のために聴く気も起りませんでしたが、やっと時間も出来たのでプロムス・レポートを再開します。
今年は30日間視聴できるということで慌てることもありません。ゆるゆると取り掛かりましょうか。ということで再開初日は7月末日に行われたコンサート。

7月31日 ≪Prom 19≫
R.シュトラウス/祝典前奏曲 作品61
R.シュトラウス/ドイツ・モテット 作品62
R.シュトラウス/四つの最後の歌
     ~休憩~
エルガー/交響曲第2番
 ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
 指揮/ヴァシリー・ペトレンコ Vasily Petrenko
 ソプラノ/インガー・ダム=イェンセン Inger Dam-Jensen
 ソプラノ/スザンヌ・シェークスピア Suzanne Shakespeare 、メゾ・ソプラノ/タラ・エロート Tara Erraught 、テノール/エードリアン・ドワイヤー Adrian Dwyer 、バス/ブリンドリー・シェラット Brindley Sherratt
 合唱/BBCシンガーズ

前半が今年生誕150年祭のシュトラウス、後半はシュトラウスとの友情で結ばれていたエルガーの傑作という筋の通ったプログラム。
シュトラウス作品は、四つの最後の歌以外は珍しい部類に属します。特にドイツ・モテットは私も初めて耳にしたもので、貴重な機会と言えそうです。

祝典前奏曲はウィーン・コンツェルトハウスの献堂式のために作曲されたもので、初演はもちろんそのホールで1913年10月19日に行われました。冒頭と最後にオルガンのソロがあるのは、同ホールのオルガンのお披露目も兼ねていました。
献堂式と言えばベートーヴェンにも作品がありますが、どちらも壮大なハ長調で書かれているのは、シュトラウスのベートーヴェンへの敬意でしょう。膨大な編成で、ティンパニは4つづつを2組、二人の奏者が叩きます。スコアには弦の人数も指定されていて、第1チェロ10人、第2チェロも10人などは目を瞠る風景かも。
トランペットは本体に4本、バンダとして6本、又は12本と書かれていますが、今回はアナウンサーが“10人のトランペット奏者が・・・”と解説しているところから、シュトラウスの指示の少ない方で演奏したと思われます。

次のモテットは4人の独唱者と16声部の混成合唱による作品。前奏曲が作品61に対し、こちらは62ですから同じ時期の作品です。オーケストラは参加しないので、舞台転換に時間がかかります。
合唱協奏曲というあだ名もあるようで、全体は18分ほど。恐ろしく難しい曲に聴こえました。独唱者は上記シェークスピアさんからシェラット氏までの4人。メゾは先日のバラの騎士でオクタヴィアンを歌ったメゾ。読み方が今一不明確ですが、アナウンスではタラ・エラフトとも聞こえました。

四つの最後の歌は超有名曲ですが、初演はアルバートホールだったという因縁があります。フラグスタートのソロ、フルトヴェングラーの指揮で、この時のライヴ録音が残っているそうです。本番ではなくリハーサルだという噂もありますが、いずれにしても世界初演でしょう。

後半のエルガーは日本でも時折演奏される名曲。四つの最後の歌と同じくメランコリックな響きを持っていて、前半との繋がりも自然でしたね。

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