ウイグルスワースのエルガー

6日のプロムスはBBCウェールズ管登場。先に東京交響楽団に客演した実力派のウイグルスワースのエルガーが聴きものでしょう。

8月6日 ≪Prom 27≫
ワーグナー/歌劇「恋愛禁制」序曲
マサイアス William Mathias /ヴァイオリン協奏曲(ロンドン初演)
     ~休憩~
エルガー/交響曲第1番
 BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団
 指揮/マーク・ウイグルスワース Mark Wigglesworth
 ヴァイオリン/マシュー・トラスラ― Matthew Trusler

ウイグルスワースは同オケの音楽監督を2000年まで務めた方、私も実際にロンドンで聴いたことがありますが、今旬の英国を代表する指揮者の一人です。
最初のワーグナー作品は、後のワーグナーとは似ても似つかない軽い作品。「恋愛禁制」は喜劇で、まるでイタリア・オペラの序曲のよう。ワーグナーというよりヴェルディみたい。打楽器がチャカチャカと軽快なリズムで始める所は、ウェーバーの「アブ・ハッサン」の影響でしょうか。

2曲目のウイリアム・マサイアス William Mathias (1934-1992)はウェールズ出身の作曲家で、交響曲を3曲、弦楽四重奏曲も3曲、そして自身も巧かったピアノのための協奏曲も3曲残しています。
この日取り上げられるのは、今年のプロムスの隠れテーマとも言える珍しいヴァイオリン協奏曲を取り上げるシリーズの一つで、マサイアスが死の前年(1991年)に作曲しながら不当に無視されてきたもの。(プロムスで演奏されなかったから無視された、ということ?) 今回がロンドン初演で、放送ではマサイアスの娘さんの語りも聞けました。

http://ukcatalogue.oup.com/category/music/composers/mathias.do

全曲の演奏には36分ほどを要する大曲で、4楽章構成。第3楽章に長いカデンツァがあり、この楽章の終わりもカデンツァでそのまま第4楽章に入ります。そのフィナーレにもカデンツァが登場するというヴァイオリンの技巧を聴かせるに十分な佳曲と聴きました。
独奏するのは英国のホープで、今回が意外にもプロムス・デビューだそうな。この協奏曲の初演者でもあります。

最後のエルガーはプロムスの定番。英国の音楽祭にはエルガーは欠かせず、今年もペトレンコとロイヤル・リヴァプールの2番に続き、交響曲は2曲とも演奏されましたね。円熟の時を迎えているウイグルスワースの指揮で。

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