フランスは異常気象

今年の夏は各地で雨が多く、日本でも特に西日本は連日の雨。夏は何処に行ってしまったのだろうという異常気象が続いていますが、それはヨーロッパも同じの様で、特にフランスでそれが目立っているようです。
昨日はイギリスとフランスからG戦の結果が入ってきましたが、雨が結果に大きく左右しているのは間違いありません。秋には日本からも凱旋門賞に向かう馬がいますが、極悪馬場を覚悟しなければいけないでしょう。

前置きはこの位にして、先ずは英国からニューバリー競馬場の2鞍。フランス程ではないにしても馬場は good to soft で、この時期としては力の要る状態でした。
ジェフリー・フリーア・ステークス Geoffrey Freer S (GⅢ、3歳上、1マイル5ハロン61ヤード)は11頭立て。前走初めて装着したブリンカーが奏功してグローリアス・ステークス(GⅢ)に勝ったピサーズ・ムーン Pether’s Moon が9対2の1番人気。

2番人気(5対1)で唯一頭の3歳馬サムホワット Somewhat が逃げましたが、最後の2ハロンでは順位がガラリと変わる激しい争いとなり、先行していた7番人気(11対1)のセイスモス Seismos が、首差で4番人気(7対1)ウイリング・フォー Willing Foe の追い込みを捉えて優勝する波乱。1馬身差の3着に3番人気(6対1)のシール・オブ・アプルーヴァル Seal of Approval が最後方から追い込み、ピサーズ・ムーンは9着大敗に終わりました。
去年ドイツでGⅠ戦(ミュンヘンのラインランド・ポカル)を制しているセイスモスは、前走フランス遠征のモーリス・ド・ニエィユ賞(GⅡ)で4着の6歳馬、管理するマルコ・ボッティ師はシカゴ(アーリントン・ミリオン)出張中で、騎乗したマーチン・ハーレイ騎手はムチの過剰使用で4日間の騎乗停止を喰らうほど激しい叩き合いでした。制裁覚悟の騎乗だったのでしょう。

ニューバリーのもう一鞍は、直線の7ハロンというやや特殊な距離で行われるハンガーフォード・ステークス Hungerford S (GⅡ、3歳上、7ハロン)。1頭が取り消して6頭立て。去年のこのレースに勝ったグレゴリアン Gregorian が13対8の1番人気。前走フランス遠征(モーリス・ド・ギースト賞GⅠ)では結果が出なかったものの、その前にはジュライ・カップ3着の実力馬です。

プロフェッサー Professor の逃げを2番手で追走したグレゴリアン、ゴール前で抜け連覇達成かと思われましたが、3番手を進んだ2番人気(3対1)のブレトン・ロック Breton Rock が並び掛けて2頭の叩き合い。結局ブレトン・ロックが短頭差で本命馬の連覇を阻みました。1馬身半差で最低人気(20対1)のブラゾス Brazos が3着。
デヴィッド・シムコック厩舎、マーチン・レーン騎乗のブレトン・ロックは、3歳時はウマっ気は出すものの能力は出せず、せん馬になった4歳馬。今期はヘイドックで7ハロンのリステッド戦に勝ち、5月末の前走7ハロンのジョン・オブ・ゴーント・ステークス(GⅢ)でも2着と7ハロンのスペシャリスト的存在。秋には7ハロンでパーク・ステークス(GⅡ)、フォレ賞(GⅠ)とより高いレヴェルのG戦が控えているだけに、陣営としては期待が高まるでしょう。

さて注目のフランス、ドーヴィル競馬場。冒頭でも紹介したように、今年は夏の無いパリ地区、馬場は相変わらずで very soft と最悪一歩手前。行われたG戦2鞍も明らかに馬場を反映した結果になりました。

最初はゴントー=ビロン賞 Prix Gontaut-Biron (GⅢ、4歳上、2000メートル)。1頭が取り消して6頭立て、前走メッシドール賞(GⅢ)2着でファーブル厩舎のピロート Pilote が13対10の1番人気に支持されていました。
前半は最後方に付けたピロート、この馬場では末脚も余り切れず、結局はブービー人気(116対10)カクテル・クィーン Cocktail Queen の逃げ切りを許してしまいました。3馬身半差で2番手を追走していた2番人気(23対10)のニコロシオ Nicolosio が2着に入り、ピロートは更に1馬身差の3着。

これがG戦初勝利となるカクテル・クィーンは、前々走まで英国のエルズワース厩舎に所属していた4歳馬で、今期はジョン・ポーター・ステークス(GⅢ)6着、サガロ・ステークス(GⅢ)5着と力及ばず、フランスに移籍しての前走ディエッペの条件ステークスでも2着と勝ち切れなかった馬。やはり重い馬場でこそスタミナを活かせたというべきでしょう。いつもの夏では勝てたかどうか。

最後はポモヌ賞 Prix de Pomone (GⅡ、3歳上牝、2500メートル)。3歳馬が2頭参戦し、仏オークス4着のシャムカラ Shamkala が6対4で1番人気。
レースはドイツ産馬キッキー・ブルー Kicky Blue の逃げで始まり、シャムカラも先行馬群に付けていましたが最後はバテ、8着と大敗してしまいます。優勝は2番手を追走していたブービー人気(248対10)のスター・ラヒブ Star Lahib という5歳馬、最後方から追い込んだ4番人気(9対1)のシャルネッタ Chalnetta に2馬身半差を付けていました。1馬身差で2番人気(2対1)で本命馬と同じ3歳のサヴァンヌ Savanne が3着。

勝ったスター・ラヒブは、逃げたキッキ―・プルーと同じドイツからの遠征馬で、アンドレアス・ヴォーラー厩舎、日本にもお馴染みのウンベルト・リスポリ騎乗。今期初戦でドイツのリステッド戦に勝ち、フランス遠征(コリダ賞GⅡ)は7着、前走ドイツに戻ってリステッド戦3着からの再挑戦。やはりドイツ馬特有の重巧者振りを発揮しての勝利だったと言えそうです。馬場が引き続き重ければ、ヴェルメイユ賞挑戦も視野に入ってくるでしょう。

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