前半の締め括り

プロムス・ラストナイトはプロム76ですから、今回聴いた38は丁度真ん中、今年も前半の締め括りとなります。
8月14日 ≪Prom 38≫
シベリウス/フィンランディア
マックスウェル=デイヴィス/交響曲第5番
ブリッジ/オレイション Oration
     ~休憩~
シベリウス/交響曲第2番
 BBCフィルハーモニック管弦楽団
 指揮/ヨン・ストルガード John Storgards
 チェロ/レオナード・エルシェンブロイク Leonard Elschenbroich
ストルガードという指揮者はフィンランド生まれで、BBCフィルの首席客演指揮者を務めています。フィンランド人ですから、ファースト・ネームは英国風にジョンではなく、ヨンと呼んでいるようでした。
お国物ということで、シベリウスの名曲が最初と最後を飾ります。単に定番と言うだけでなく、この2曲は独立以前のフィンランドにとっては反ロシアの感情を鼓舞した作品として知られ、今年のテーマでもある戦争と平和にも合致した選曲と言えそうです。
シベリウスの第2交響曲を愚作と評した日本の某カリスマ評論家がいましたが、もう一度スコアを読み直すべきでしょうね。
続くマックスウェル=デイヴィスも、バートウィッスル同様今年80歳を迎える作曲家。9月8日生まれですから、プロムスの最中に誕生日を迎えることになります。先の12日には彼のバレエ組曲が演奏されましたが、今回取り上げられたのは丁度20年前のプロムスで世界初演された交響曲。この日のメインであるシベリウスの第7交響曲と同じ単一楽章で書かれ、作品の構成も明らかにシベリウスの影響下にあると思います。
交響曲は、現在第10まで書いていたと記憶します。
続くフランク・ブリッジは、日本ではブリテンの先生として知られている程度ですが、作曲の他に指揮やヴァイオリン、ヴィオラでも活躍した人。いくつもの弦楽四重奏団で弾いていました。
作曲家としては洒落た弦楽の小品が有名ですが、彼も第一次世界大戦の影響で大きく作風を変えています。弦楽四重奏の3番や4番も英国風からは大きく脱した作品ですが、今回のオレイションもその代表例。作曲はアーミスティス・デイから12年後ですが、悲歌的協奏曲とも呼ばれるチェロ協奏曲。細かく見ると八つの部分に分けられますが、全体は通して演奏される30分ほども掛かる大曲です。これを切っ掛けにブリッジ・ルネサンスに繋げたいもの。心して聴くべし。
ソロを弾いたエルシェンブロイクは、ヒンデミットの無伴奏チェロソナタ作品25-3から終楽章(第5楽章)をアンコール。短くブリッジ作品の2年前にドイツで作曲されたとコメントを添えていました。

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