サンタ・アニタの新たなシーズン

先の22日、惜しまれつつハリウッド・パーク競馬場が75年の歴史に終止符を打ちましたが、4日後の昨日、同じカリフォルニア州のサンタ・アニタ競馬場が新しいシーズンを迎えました。
当初は12月26日から来年4月20日までの開催予定でしたが、どうやら更に2か月延長されて半年間の長丁場になるのだとか。廃止されたハリウッド・パークのG戦が代替として施行されるとの噂です。いずれ詳細な日程が発表されることでしょう。

ということで当面は例年通りの開催、初日は3鞍のG戦が行われ、内2鞍は3歳馬のみによる最後のGⅠ戦となります。最初はラ・ブレア・ステークス La Brea S (GⅠ、3歳牝、7ハロン)、今年41回目を迎えました。1頭取り消しがあり6頭立て。BCフィリー・アンド・メア5着のスイート・ルル Sweet Lulu が4対5の断然1番人気に支持されていました。
1番枠発走のスイート・ルル、2番目の好スタートからハナを奪ってリードを保っていましたが、4番手を進んでいたブービー人気(13対1)のエア・キティ― Heir Kitty が直線で外から並び掛け、最後は本命馬を1馬身4分の1差し切っての番狂わせです。2馬身半差で4番人気(5対1)のエクゼキュティヴプリヴィレッジ Executiveprivivilege が3着。
ピーター・ミラー厩舎、ゲーリー・スティーヴンス騎乗のエア・キティ―は、前走ハリウッド・パークでのアローワンス戦に勝っての連勝。2歳時には牡馬に混じってベスト・パル・ステークス(GⅡ、デル・マー)で2着、今春はサンタ・イザベル・ステークス(GⅢ)でも2着の実績があり、これがG戦初勝利となります。前走から装着しているブリンカーが奏功した由。スティーヴンス騎手は1998年以来のラ・ブレア制覇で、7年間の引退を挟んでこのレース5勝目となりました。

二つのGⅠに挟まれて行われたのが、同じく3歳馬による芝コースのサー・ボーフォート・ステークス Sir Beaufort S (芝GⅡ、3歳、8ハロン)。firm の芝コース、ここも1頭が取り消しての9頭立て。前走BCマイルではワイズ・ダン Wise Dan の6着に敗れたものの、芝GⅡのシティー・オブ・ホープ・マイルに勝っているノー・ジェット・ラグ No Jet Lag が7対5の1番人気。
レースはホリゾンタリースピーキン Horizontalyspeakin が逃げ、ノー・ジェット・ラグは4番手スタートから徐々に進出して2番手で直線に向いたものの失速。直線入口で大きく外に振られながらも、前半6番手に付けていた3番人気(7対2)のジェヴィーニオ Gervinho がゴール寸前でほぼ6頭が絡む大混戦を大外から頭差差し切っての優勝。2着は写真判定の結果プロキュアメント Procurement が飛び込み、ハナ差でアウトサイド・ナッシュヴィル Outside Nashville とシー・セイジ Si Sage が3着同着となりましたが、アウトサイド・ナッシュヴィルは第4コーナーで外に膨れて進路妨害の原因となったと判断されて4着に降着となりました。本命ノー・ジェット・ラグは7着に沈んでいます。
カーラ・ゲインズ厩舎、ラファエル・ベハラノ騎乗のジェルヴィーニョは、今夏デル・マーで一般ステークスに勝ったあと、分割になったデル・マー・ダービー(芝GⅡ)第1組で2着、続いてトゥワイライト・ダービー(芝GⅡ)でも3着していた馬で、G戦は初勝利。芝のマイル戦では3勝2着1回と、コース得意を証明した形です。

最後に今年62回目となるマリブー・ステークス Malibu S (GⅠ、3歳、7ハロン)。やはり1頭が取り消しての11頭立て。3頭出しで臨むボブ・バファート厩舎の大将格、サンタ・アニタ・ダービー2着馬のフラッシュバック Flashback が9対5の1番人気に推されています。
レースは外枠発走の馬たちが先頭を争う激しい流れとなり、11番枠スタートのディスティンクティヴ・パッション Distinctive Passion を9番枠のジー・ブロス Zee Bros が追う展開。しかし直線では後方に待機していた内枠の馬が一気に追い上げ、前半8番手を追走していた2番枠スタートの7番人気(17対1)シェイキン・イット・アップ Shakin It Up が鮮やかに差し切る波乱となりました。半馬身差でセントラル・バンカー Central Banker が2着、更に4分の3馬身差でジーワット Zeewat 3着。本命フラッシュバックは3着馬から2馬身4分の3差離された4着に終わっています。
勝ったシェイキン・イット・アップは、バファート厩舎3頭の中で最も人気が無かった馬。2月にはサン・ヴィセンテ・ステークス(GⅡ)を制し、続くサンランド・ダービー(GⅢ)で4着して以来の9か月振りとなる実戦でした。バファート師は、2011年のザ・ファクター The Factor に続くマリブー2勝目。また、騎乗したヴェテラン騎手デヴィッド・ロメロ・フローレスにとっては、このレース3勝目。この夜にはシンガポールに飛び、現地で半年間の海外遠征をこなす計画とか。更に加えれば、勝馬の2代母シルヴァーバレットデイ Silverbulletday は、BCジュヴェナイル・フィリーズやケンタッキー・オークスなどGⅠ5勝の名牝。勝たれて見れば血統的裏付けも充分なシーズン最後のGⅠ戦でした。

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