サルビアホール 第37回クァルテット・シリーズ

鶴見のサルビアホールが賑っていました。第11シーズンの2回目は、ドイツの名門ヘンシェル・クァルテットのコンサートです。
私が彼等に接するのは4回目ですが、今回はサルビアホール初登場。レパートリーの中核となるモーツァルトとベートーヴェンに加え、彼等のレパートリーでは初めて聴く近現代の作品を挟んだ重厚なプログラムでした。

モーツァルト/弦楽四重奏曲第18番イ長調K464
シュルホフ/弦楽四重奏のための5つの小品
     ~休憩~
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第15番イ短調 作品132

前回は2012年6月のサントリーでのベートーヴェン全曲演奏会の一回でしたが、今回はその時聴けなかった132があるのが楽しみ。メンバーを改めて記しておくと、
ファースト/クリストフ・ヘンシェル、セカンド/ダニエル・ベル、ヴィオラ/モニカ・ヘンシェル=シュヴィント、チェロ/マティアス・バイヤー=カルツホイ。前回からセカンドは病気のマルクス・ヘンシェルからベルに替っています。ホームページはこちら↓

http://www.henschel-quartett.de/henschel.html?

今年は結成20年に当たり、エクと同い年ということになります。3日から14日までの日本ツアーで、鶴見もその一環。マスタークラスもあるようですよ。

昨夜は補助席も出るほどの盛況、今回は首都圏で聴けるのが鶴見だけということもあり、東京の室内楽ファンが一堂に会したような客席でした。
普段はメンバーは下手から登場しますが、何故か彼等は上手から入場、ヨーロッパではよくあるスタイルですが、日本では珍しいと思います。

ヘンシェルはドイツ音楽の主流ともいうべきグループで、今回もレガートを重視したモーツァルトで開始。ハイドン・セットの1曲ですが、サルビアは初登場。ベートーヴェンが気に入っていたということで、モーツァルト作品では最も主題労作に凝った曲と言えるでしょう。

そしてシュルホフ、これは圧巻でした。シュルホフ(1894-1942)はユダヤ系のチェコ人で、アウシュヴィッツで亡くなった作曲家。ナチによって「退廃音楽」のレッテルを貼られ、第一線から消えてしまった人。近年になって漸く見直され、来年6月にはパヴェル・ハース・クァルテットもサルビアでその第1番の四重奏曲を取り上げる予定になっています。
5小品は①ウィンナ・ワルツ風 ②セレナード風 ③チェコ風 ④タンゴ・ミロンガ風 ⑤タランテラ風 から成り、バリバリの現代音楽ではないものの、刺激と迫力に満ちた小品集。特に最後のタランテラは思わず体が動いてしまうほどの迫力。もちろんヘンシェルの圧倒的な演奏力の威力があってのことでしょう。

ヘンシェルの現代モノ(と言って良いかな)は、かつて晴海でヤナーチェクを聴いたことがある位のもの。録音では色々取り上げており、本当は新しい作品にこそ本領を発揮するのではないでしょうか。ここにヘンシェルの本領を初めて見た(聴いた)印象。
これでメインのベートーヴェンも聴き方がガラリと変わってしまったよう。正直な所、前回のチクルスではやや物足りなさも感じたヘンシェル/ベートーヴェンでしたが、今回は圧倒されましたね。
特に核となる第3楽章は、聴いている方にも極度の集中力を要求するような演奏。全体を聴き終えてドッと疲れが出るようなベートーヴェンでした。もちろん快い疲労感。

この名演のあとではアンコール不要。何度もカーテンコールが続きましたが、再び椅子に座ることはありませんでした。

 

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