未だ間に合うブリーダーズ・カップ

アメリカ競馬の祭典ブリーダーズ・カップを翌週に控えたアメリカ競馬、今週は各競馬場で散発的にG戦が行われています。先ず土曜日は3つの競馬場で一鞍づつ。

ベルモント競馬場で行われたのは短距離のボールド・ルーラー・ハンデキャップ Bold Ruler H (GⅢ、3歳上、7ハロン)。good のメイン・コースに7頭が出走し、前走ケルソ・ハンデ(GⅡ)で2着したリヴァー・ロックスがイーヴンの1番人気。
そのリヴァー・ロックスが逃げましたが、前半最後方で待機した4番人気(6対1)コンフロンテーション Confrontation が第4コーナーで前5頭の外から一気に抜けたところ、更に外を回って追い込んだのが、前半5番手に控えて仕掛けのタイミングを測っていた2番人気(7対2)のサリュートス・アミーゴス Salutos Amigos 。コンフロンテーションに3馬身4分の1差を付ける快勝でした。首差で3番人気(9対2)のロマンシュ Romansh が3着に入り、リヴァー・ロックスは4着敗退。
デヴィッド・ジャコブソン厩舎、コーネリオ・ヴェラスケス騎乗のサリュートス・アミーゴスは、これがG戦初勝利ながら、前走ヴォスバー・ステークス(GⅠ)で4着に食い込んだ4歳せん馬。来週に迫ったBCスプリントにも意欲的で、ジャコブソン師が主催者に確認したところ、追加登録3万ドルを支払えば出走枠は確保できる由。陣営も大いに乗り気、月曜の便でカリフォルニアに向かう可能性が高くなってきました。

次は短期開催の最終日を迎えたキーンランド競馬場から、ファイエット・ステークス Fayette S (GⅡ、3歳上、9ハロン)。fast の馬場に8頭が出走し、去年のスーパー・ダービー、ウエスト・ヴァージニア・ダービー、イリノイ・ダービーと、三つのダービーを制したデパーティング Departing が2対1の1番人気。前走チャーチル・ダウンズのホームカミング・クラシック2着をステップに4つ目のG戦制覇を目指します。
スタート良く先頭に立ったのは同じく2対1に支持された(2番人気)のロング・リヴァー Long River でしたが、コール・ミー・ジョージ Call Me George と本命デパーティングを交えた三つ巴。直線ではデパーティングが最内から抜け、外のロング・リヴァーとの叩き合いになりましたが、丁度馬1頭分開いた2頭の間を割って追い込んだのが、前半5番手に控えていた4番人気(7対1)のピック・オブ・ザ・リッター Pick of the Litter 。内のデパーティングをゴール直前で首差捉え、1馬身差で外のロング・リヴァーが3着。実況アナから「ワッタ・ライディング What a Riding!」の一言が飛び出しました。
デール・ロマンス厩舎、コーリー・ラヌリー騎乗のピック・オブ・ザ・リッターも、これがG戦初勝利。前走デパーティングが2着だったホームカミング・クラシックでは4着だった4歳牡馬で、その前はサラトガの泥んこ馬場でアローワンス戦に勝ち、その前はモンマス・カップ(GⅡ)で4着していました。

ところで秋開催の幕を下ろしたキーンランド競馬場。リーディング・ジョッキーは16勝で女流ロージー・ナプラヴニク(ファイエットはロング・リヴァーに騎乗)が2年連続、リーディング・トレーナーは8勝でトッド・プレッチャーとグレアム・モーションが並んでいました。

最後は、ブリーダーズ・カップの舞台となるサンタ・アニタ競馬場のオータム・ミス・ステークス Autumn Miss S (芝GⅢ、3歳牝、8ハロン)。firm の馬場、当初14頭の登録がありましたが、出走枠は10頭。結局補欠だった4頭は除外となっての10頭立て。カナダの女傑レクシー・ルー Lexie Lou が3対1の1番人気に支持されていましたが、同じオッズに3頭が並ぶ接戦。
4番人気(9対2)のジンダヤ Zindaya が逃げて直線。内で懸命に粘るところ、前半6番手の中団に付けていたレクシー・ルーが目の覚めるような瞬発力を見せ、纏めて前を交わすと、最後方から追い込む3対1のディヴァーシー・ハーバー Diversy Harbor に1馬身4分の1差を付けてカリフォルニアの競馬ファンの度肝を抜きました。半馬身差でジンダヤが逃げ粘っての3着。
マイク・カッセ厩舎、コーリー・ナカタニ騎乗のレクシー・ルーは、ウッドバイン・オークスを制した後、カナダの最高峰たる100万ドル・レースのクィーンズ・プレート(GⅠ、ウッドバイン競馬場のポリトラック、2000メートル)に挑戦し、牡馬を蹴散らして優勝したカナダを代表する名牝。そのあとも芝の10ハロン戦ワンダ―・ホエア・ステークスに勝ち、前走は初めて古馬と対戦したカナディアン・ステークス(カナダ芝GⅡ)で1番人気に支持されながら10着最下位と期待を裏切っていましたが、アメリカ遠征でその豪脚を披露した形。

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください