クラシック前哨戦(6)アーカンソー編

4月11日のアメリカ競馬、後半は最終日を迎えたオークローン・パーク競馬場とカリフォルニアのサンタ・アニタ競馬場からのG戦です。

先ずオークローン競馬場は2鞍のG戦、最初はGⅡながら競馬場の名を冠した伝統のオークローン・ハンデキャップ Oaklawn H (GⅡ、4歳上、9ハロン)。以前はGⅠに格付けされていたこともあり、fast の馬場に1頭が取り消して9頭立て。前走、このレースのトライアルに相当するレーザーバック・ハンデ(GⅢ)を制したレース・デイ Race Day が6対5の1番人気。
先行力を武器とする本命馬、1番枠スタートからクラブハウス・ターンのコーナーを利して先頭に立つと、終始5番人気(8対1)カーヴ Carve に絡まれながらも、直線ではカーヴを3馬身4分の3差突き放す快勝でG戦2連勝を果たしました。4馬身差で2番人気(3対1)のタピチュア Tapiture が5番手から内ラチ沿いに追い込んで3着。
トッド・プレッチャー厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のレース・デイは、GⅢに続きこれがGⅡ戦初勝利。陣営は、次は6月6日のメトロポリタン・ハンデでGⅠを目指すと意気軒昂でした。

オークローン開催を締め括るのは、事実上ダービーへの最終ステップとなるGⅠ戦のアーカンソー・ダービー Arkansas Derby (GⅠ、3歳、9ハロン)。8頭が出走してきましたが、1対9のアメリカ競馬としては想像できる最低オッズで圧倒的1番人気に支持されたのは、2歳チャンピオンのアメリカン・フェイロー America Pharoah です。勝馬に加算される100ポイントより、ダービーに向けて順調なステップを歩むことが目的でしょう。
レースは最低人気(35対1)のブリジェッツ・ビッグ・ラヴィー Bridget’s Big Luvy が逃げ、これまで逃げるレースに徹してきたアメリカン・フェイローはダービーを意識して2番手待機。しかし圧倒的なスピードを誇る大本命、第3コーナーで早くも先頭に立つと、後は独走。カリフォルニアから駆け付けたヴィクター・エスピノザ騎手は持ったまま、全く追う所なく最後方から追い込む2番人気(7対1!)のファー・ライト Far Right に何と8馬身差を付ける圧巻の競馬で、実況アナも思わず“スペシャル・ホース!”と絶叫したほど。4分の3馬身差で4番人気(20対1)のミスター・ズィー Mr. Z が3着。
ボブ・バファート厩舎のアメリカン・フェイローについては既に何度も紹介してきました。ダービー・ポイントは160ポイントに上がり、最終的には第4位。1位はルイジアナ・ダービーを首差で制したインターナショナル・スター International Star 、2位がサンタ・アニタ・ダービー4馬身4分の1差勝ちのドルトムント Dortmund 、3位はブルー・グラス3馬身のカーペ・ディエム Carpe Diem と続きますが、トライアル8馬身のアメリカン・フェイローは何とも魅力でしょう。2着ファー・ライトは10位、3着ミスター・ズィーも18位ですから、ダービー出走資格は充分に得た結果となっています。アメリカン・フェイローは2歳時のGⅠ2勝、前走レベル・ステークス(GⅡ)に続くG戦4連勝で、ダービーが今期3戦目というのも理想的なステップと言えそうです。

さて土曜日最後はサンタ・アニタ競馬場から。先ず短距離のコナ・ゴールド・ステークス Kons Gold S (GⅡ、4歳上、6.5ハロン)は、去年までポトレロ・グランデ・ステークス Potrero Grande S と呼ばれていたもの。1頭が取り消して6頭が出走し、G戦デビューながら短距離のアローワンス戦を2連勝しているマソキスティック Masochistic が4対5の1番人気。
ダッシュ良く飛び出したマソキスティック、一旦は3番人気(7対2)のサン・オノフレ San Onofre にハナを譲ったものの、再び外からスパートすると、そのままサン・オノフレに4分の3馬身差を付けてそのスピードを証明しました。最後方に待機した2番人気(3対1)のサハラ・スカイ Sahara Sky が追い込んで首差の3着。
もちろんG戦初勝利となるマソキスティックは、前走2月サンタ・アニタのアローワンス戦(やはり6.5ハロン)まではアヴィラ厩舎に所属していたせん馬で、これがロナルド・エリス厩舎に転じての初戦。またレギュラー騎手ヴィクター・エスピノザがアーカンソー・ダービーで本命馬に騎乗するため、今回はタイラー・ベイズに乗り替わっていました。ベイズはエスピノザのアドヴァイス通りの好騎乗で、同馬に初のG戦をプレゼントしています。エリス師は、これまで短距離専門に使ってきたマソキスティックにBCマイルを使う可能性も示唆していました。

最後にラス・シーネガス・ステークス Las Cinegas S (芝GⅢ、4歳上牝、6.5ハロン)を取り上げましょう。8頭が出走し、目下3連勝中のゴー・ウエスト・マリー Go West Marie が3対2の1番人気。G戦は未勝利ですが、1月のサンシャイン・ミリオンズ・フィリー・アンド・メア・ターフ・スプリント、3月のアイリッシュ・オブライエンとステークスを2連勝してきました。
ダッシュ良く飛び出したのは、2番人気(3対1)のホーム・ジャーニー Home Journey 、そのまま下り坂の芝コースをスムースに克服しての逃げ切り勝ちです。本命ゴー・ウエスト・マリーも6番手から追い上げましたが1馬身届かず2着、更に4分の3馬身差で5番人気(7対1)のブリングイズマイシング Blingismything が3着でした。
マイク・パイプ厩舎、ラファエル・ベハラノ騎乗のホーム・ジャーニーは、前走サンシャイン・ミリオンズ・フィリー・アンド・メア・ターフ・スプリントではゴー・ウエスト・マリーの2着、今回は雪辱を果たすと共にG戦初勝利を飾りました。

 

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