アメリカ・デビュー勝ち
今週はヨーロッパ競馬が大変な騒ぎで中々アメリカにまで目が行きません。幸いなことに昨日のアメリカ競馬はG戦4鞍のみ、こちらとしては大いに助かりました。
そのG戦も全てが芝コースとあって、ヨーロッパからの繋がりも自然に感じられます。
先ずはベルモント・パーク競馬場の2鞍から。レース中も雨が降る一日でしたが、馬場状態は firm 。最初はノーブル・ダムゼル・ハンデキャップ Noble Damdel H (芝GⅢ、3歳上牝、8ハロン)。9頭が出走し、何故かトーキョー・タイム Tokyo Time が3対1の1番人気。
4番人気(6対1)のバイラーマ Byrama が逃げ、トーキョー・タイムは6番手追走。firm とは言いながら実際は軟化してきた馬場、最後方に付けていた3番人気(6対1)のアネクドート Annecdote が大外から一気に抜けると、バイラーマに2馬身4分の3馬身差を付ける圧勝。首差で8番人気(13対1)のジュリーズ・ラヴ Julie’s Love が3着に入り、トーキョー・タイムは5着。
クリストファー・クレメント厩舎、イラッド・オルティス騎乗のアネクドートは前走まで英国のジョナサン・ポートマン厩舎に所属していた馬で、今回がアメリカ・デビュー。イギリスでは去年オーク・トゥリー・ステークス(GⅢ)に勝っており、前走はロイヤル・アスコットのデューク・オブ・ケンブリッジ・ステークス(GⅢ)10着。アメリカでも芝なら、多少渋っていれば十二分に通用するということでもあります。2着バイラーマと英国産馬のワン・ツー・フィニッシュでした。
続いては3歳馬のサンズ・ポイント・ステークス Sands Point S (芝GⅡ、3歳牝、9ハロン)。去年は5月27日に施行されましたが、今年は秋に変わっての開催。当初からダート変更時のみの登録馬1頭が参加せず9頭立て。ベルモント・オークス2着、デル・マー・オークス4着のシー・クィーン Sea Queen が5対2の1番人気。
そのシー・クィーンが逃げ切りを図りましたが、前半後方2番手に待機していた4番人気(5対1)のボール・ダンシング Ball Dancing と、同じく後方3番手の2番人気(3対1)エクセランス Excellence が共に進出、先に仕掛けたボール・ダンシングをエクセランスが捉えて一旦は先頭に立った所、ボール・ダンシングが二の脚を使って差し返し、最後は半馬身差で優勝。1馬身4分の1差3着にシー・クイーンが逃げ粘っていました。
チャド・ブラウン厩舎、ジョー・ブラーヴォ騎乗のボール・ダンシングは、アネクドート同様にこれがアメリカ・デビュー。前走はピア・ブランド夫人の管理下で仏オークス5着だった馬で、2着のエクセランスも仏オークスはアヴニール・セルタン Avenir Certain の3着。改めてヨーロッパ勢の芝適性と、仏オークスのレヴェルの高さを証明した形です。2頭ともブラウン師の管理下にあり、師のワン・ツー・フィニッシュでした。
次にアーリントン・パーク競馬場のパッカー・アップ・ステークス Pucker Up S (芝GⅢ、3歳牝、9ハロン)。こちらは晴れていながら馬場は soft 。9頭が出走し、これが未だ3戦目ながらデビュー勝ち、前走サラトガの一般ステークスでも2着したファイナル・レデンプション Final Redemption が5対2の1番人気。
そのファイナル・レデンプションが逃げましたが、前半4番手から徐々に進出した15対2(アーリントンは最終人気が判りません)のシスタス・ストロール Sistas Stroll が外からこれを捉えると、後方から追い込む5対1のヴィー・ヴィー・グッドナイト V V Goodnight を1馬身半抑えて優勝。2馬身差で21対1のマリア・マリア Maria Maria が3着に入り、ファイナル・レデンプションは4着に沈んでいます。コーナーを回る際に、結果7着のステラリス Stellaris に騎乗したジェームス・グレアム騎手が、2着に入ったマイク・スミス騎手の進路妨害を訴えましたが、最終的には入線通りで確定しました。
トーマス・プロクター厩舎、これがG戦初勝利となるドライデン・ヴァン・ダイク騎乗のシスタス・ストロールも、これが未だ4戦目というキャリアの浅い馬。チャーチル・ダウンズの未勝利戦、デル・マーのアローワンス戦に続く3連勝でステークス初挑戦をモノにしています。プロクター師はヴィー・ヴィー・グッドナイトも管理しており、こちらも師のワン・ツー・フィニッシュ。
最後はケンタッキー・ダウンズ競馬場のケンタッキー・ターフ・カップ Kentucky Turf Cup (芝GⅢ、3歳上、12ハロン)。このコースはアメリカには珍しく平坦ではなく、多少ながらもアップダウンがあるのは如何にもヨーロッパ的です。firm の馬場に1頭取り消して10頭立て。ルイヴィル・ハンデ(GⅡ)勝馬のウォー・ダンサー War Dancer が6対5の1番人気。
レースは出入りの激しい展開で、最終的には3番人気(6対1)のサフロン・ホール Saffron Hall が逃げましたが、前半は最後方に待機していた5番人気(7対1)のサントレイサー Suntracer が大外から追い上げ、最後は内に切り込みながらも6番人気(8対1)パイライト・マウンテン Oyrite Mountain の追い込みをハナ差凌いでのG戦初勝利。2馬身4分の3差で人気のウォー・ダンサーは3着。本命騎乗のアラン・ガルシアが、勝馬の直線での斜行に異議を申し立てましたが、裁決は結果には影響しなかったと判断して却下しています。
クリス・ブロック厩舎、フロラン・ジェルー騎乗のサントレイサーは、2012年10月ホーソン競馬場の一般ステークス以来となる勝利で、14連敗に終止符を打ちました。前走アメリカン・セント・レジャーでも20馬身差の9着に敗れており、このコースが6歳馬のやる気を引き出したのでしょうか。
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