レスター翁
今朝のスポーティング・ライフを見て吃驚しました。名騎手レスター・ピゴットが心臓病でスイスの病院に入院していて、家族は一時最悪の結果をも覚悟していたらしいのですね。
現在は回復し、大事には至らなかったようで、まずは安心です。
去年の12月に香港から帰って具合が悪くなり、クリスマス頃に入院、ローザンヌに転院していた由。
世界に名騎手と呼ばれる人は多いでしょうが、レスター・ピゴットほどのカリスマと華を感じさせる人はいません。今後も出ないでしょうね。彼がいなかったら、私も競馬にこれほど情熱を傾けなかったでしょう。
私はスポーツ全般にほとんど興味がありませんが、唯一、アイドルとして崇めていたのがレスターです。
1975年のエプサムとシャンティー、1976年のロンシャンなどで実際の騎乗に接しました。75年のダービーはブルニ Bruni に乗って惨敗でしたが、翌々日のオークスはジュリエッタ・マーニー Juliette Marny で見事に勝ちましたね。
レース直前まで騎乗馬を決めていなかったレスターは、当日になってジュリエッタ・マーニーを選択。
翌日のスポーティング・ライフは、“Lester finds the Lady”と報道していたことをよく覚えています。
私はこのオークスを直線正面から見える建物の屋上で見ていたのですが、レスターは最後の最後までジッと内側で待機し、最後の200メートルで一気に内枠をこじ開けるようにスパート、涼しい顔でゴールを駆け抜けたのです。鳥肌が立つような騎乗。いやぁ、見事でした。
ダービーは9回勝っていますが、この記録は破られないでしょうね。正に「エプサム・マエストロ」。私は9つのダービー、空でいえますよ。
1954 ネヴァーセイダイ Never Say Die
1957 クレペロ Crepello
1960 セントパディ St.Paddy
1968 サーアイヴァー Sir Ivor
1970 ニジンスキー Nijinsky
1972 ロベルト Roberto
1976 アンペリー Empery
1977 ザ・ミンストレル The Minstrel
1983 ティノーソ Teenoso
チャンピオン・ジョッキー11回、総計4493勝、1994年現役引退、今年71歳。数字だけならレスターを凌ぐ人はいます。しかしそのスター性では並ぶ人はいないでしょう。
先日のニューマーケットでは2000ギニーが行われました。レスターは2000ギニーと1000ギニー併せて7勝していまして、その最初は丁度50年前、1957年のクレペロだったのですね。
これを記念して、ニューマーケットではこの日を「レスター・ピゴット・デイ」とし、パーティーなども計画していたようです。
この企画は本人が入院中で実現しなかったようですが、早く回復して、往年の勇士をファンの前に見せてもらいたいものです。
競馬の世界で絵になる男。それはレスターしかいません。
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