ヴォカリーズ

このところ、ラフマニノフ「ヴォカリーズ」の楽譜を探しているけれども見つからない。
アカデミアにもヤマハにもある。確かにあるけれども、探しているのはワイルド版というものである。

自分で弾くわけでも見るわけでもないけれど、知人の知人が探していて手に入らない、というので気になっている。

出版は Michael Rolland Davis というところなのだけれども、直ぐに手に入る状態ではないらしい。

原作は歌曲集作品34。1912年に作曲された14曲からなる曲集で、ヴォカリーズは最後の第14曲。これをピアノ・ソロにアレンジしたものである。
いろいろな版があって、ノーマン・リチャードソンが編曲したものがブージーから出ていて、これは何時でも何処でも手に入る。1700円程度。

もう一つはエディシオ・ムジカ・ブダペストから出ているもので、こちらはゾルタン・コチシュの編曲したもの。これは現に山野楽器に在庫がある。1200円。

肝心のアール・ワイルド編曲のものは、アカデミアの取り扱いリストに掲示されているけれど、在庫はない。海外発注して3800円。チト高い。

ということで、今直ぐ手に入るシロモノではないらしい。

編曲したアール・ワイルドは、1915年ピッツバーグの生まれで、エゴン・ペトリにピアノを師事した。
1942年にはトスカニーニと協奏曲を共演し、世界的に知られるようになる。主にリスト弾きとして高名だったけれど、作曲の素養もあったらしく、バレー曲やオラトリオの作品があるということだ。ヴォカリーズのアレンジも単なる余技ではないのだろう。

ヴォカリーズの楽譜を調べていてビックリしたのは、様々なアレンジがあること。
ありとあらゆる楽器のための編曲が存在し、楽譜も出ている。

ピアノ・ソロについては上記の通り何種類かあるし、声のものはもちろん、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット、トロンボーン、チューバ、アルト・サックス、テナー・サックス、オルガン、コンサートバンド用などというのもある。

オーケストラ版にしても、ソプラノかテノール・ソロとオーケストラのためのものはラフマニノフ自身が編曲している。
これとは別にニューウェグ版というものがあって、これは旋律線を16人から20人のヴァイオリンが一糸乱れず弾く。豪華な版である。

ダニエル・ブレイデンという人のアレンジはソプラノ・ソロと弦楽合奏のもので、カーマス版がヤマハに置いてある。

一口にヴォカリーズといっても、楽譜を選ぶとなると大騒ぎだ。

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