今日の1枚(207)
前回に引き続きボールトの2枚目です。その前に、やっとナマで聴けたエルガーの交響曲第3番、もしボールトが生きていたらどう評価するのでしょうか。仮に指揮したとすればあのスコアからどのような響きを引き出すのかと思うと考え込んでしまいました。
EMI録音がNMLで聴けるようになり、いずれはボールトのエルガー作品も残された録音全てが聴けるようになるでしょう。ということで2枚目のラインナップは以下のもの。
①ベートーヴェン/序曲「コリオラン」
②シューマン/交響曲第4番
③ヴォルフ/イタリア風セレナード
④シューベルト/交響曲第4番
⑤シベリウス/「テンペスト」組曲第1番~第2曲「前奏曲」
②④⑤は手兵ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、①はニュー・フィルハーモニア管弦楽団、③はフィルハーモニア管弦楽団との演奏です。「ニュー」が付いている分、①が最も新しい録音と思われます。
その①は真に立派なベートーヴェンで、ここでもヴァイオリンは対抗配置に置かれています。
②は前回も紹介したニクサ=ウェストミンスターの1956年ステレオ録音集第2集に含まれている音源と同じもので、1956年8月21日から24日までの収録。ベルリオーズとは違って第2ヴァイオリンがファーストの隣に座るアメリカ式の配置になっているように聴こえます。FHRの配信ではシューマン交響曲全集が聴けるので、更に深入りしたい人はそちらもどうぞ。
第4交響曲のリピートは、第4楽章のみ省略、他は全て実行しています。
③④⑤は全てモノラル録音。録音データなどは不明ですが、聴いた感じではSP盤からの復刻ではなさそう。何れもモノラル時代の後期かと思われます。WERMに掲載されている録音は無く、ボールトとしては珍品の部類か。
④のリピートは第3楽章のみ。⑤は最初から最後まで嵐の描写一色、リピートが4か所ありますが、ボールトは全て実行しています。特に弦楽器は8分の12拍子を8分音符全て3連音符で弾かなければならず、演奏も大変でしょう。
ところでEMIの表記は「The Tempst Suite No.1, op.109, No.2:Prelude」となっていますが、これは明らかに間違い。テンペスト作品109は1から3までに分割され、109-1は前奏曲 Prelude のみ。109-2が第1組曲で9曲、109-3が第2組曲で8曲から成るというのが正しい表記。ここに収録されているのは、作品109-1「テンペスト」前奏曲のみです。
参照楽譜
①オイレンブルク No.626
②オイレンブルク No.413
③オイレンブルク No.1322
④オイレンブルク No.507
⑤ウィルヘルム・ハンセン Nr.3208 b
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