感謝祭のG戦
今週のアメリカ競馬は、感謝祭の木曜日から始まって日曜日までの4日間、連日の様にG戦が行われます。11月の最終週は、事実上アメリカ競馬のシーズン終戦、このあとも断続的にG戦が続きますが、今週がシーズン最後の賑わいと言って良いでしょう。
この間のグレード・レースはGⅠが4鞍、かつてはGⅠだったレース、グレードは低くとも歴史の長い伝統戦など、古くからのアメリカ競馬ファンには懐かしい名前が並んでいるのも楽しい所ですね。
ということで11月27日は感謝祭、3つの競馬場で仲良く一鞍づつのG戦が行われました。先ずは雨に祟られたニューヨーク、アケダクト競馬場からは伝統のハンデ戦、フォール・ハイウエイト・ハンデキャップ Fall Highweight H (GⅢ、3歳上、6ハロン)。東海岸一帯は吹雪ということで、ニューヨークも雨。sloppy と水が浮く泥田と化したコースに有力馬を含む4頭が取り消して7頭立て。トップ・ハンデの133ポンドを背負いながらも押し出されるように2対1で1番人気に上がったのは、10月下旬にボールド・ルーラー・ハンデ(GⅢ)に勝ったサリュートス・アミーゴス Salutos Amigos でした。
5番人気(13対1)のウィークエンド・ハイドウェイ Weekend Hideaway と3番人気(5対2)のラ・ヴェルダッド La Verdad がハナを争い、結局前者が逃げる展開。前半は後方2番手に控えていたサリュートス・アミーゴス、直線では外から真っ黒になりながら豪快に伸び、5番手から進出したブービー人気(20対1)のミワンナローズ Mewannarose に1馬身4分の3差を付けて人気に応えました。3馬身4分の1差が開いて4番人気(9対2)のキャプテン・シリアス Captain Serious が3着。
デヴィッド・ジャコブソン厩舎、コーネリオ・ヴェラスケス騎乗のサリュートス・アミーゴスは、3歳時にはサラトガのアムステルダム・ステークス(GⅡ)で3着した馬。今期は5月にベルモントのアローワンス戦に勝ってスタートし、6月にはトゥルー・ノース・ステークス(GⅡ)3着、7月のベルモント・スプリント・チャンピオンシップ(GⅢ)も3着。8月のサラトガではアローワンス戦で2着し、9月にヴォスバー・ステークス(GⅠ)に挑戦するも4着、そして10月に上記ボールド・ルーラー・ハンデでG戦初勝利。その時の日記でも紹介したように、BCスプリントに挑むも14頭立ての7着、そしてこの日二つ目のG戦を獲得しました。
続いてチャーチル・ダウンズ競馬場からは、今年が99回目となる伝統のフォールズ・シティー・ハンデキャップ Falls City H (GⅡ、3歳上牝、9ハロン)。fast の馬場に2頭が取り消して8頭立て。去年の2着馬で、前走BCディスタッフでも2着したGⅠ馬のドント・テル・ソフィア Don’t Tell Sophia が4対5の断然1番人気。
レースは2番人気(5対1)のティーン・ポーリーン Teen Pauline が逃げ、ドント・テル・ソフィアは後方2番手に待機。第4コーナー手前で2番手を追走していた伏兵(19対1、ブービー人気)フリヴォラス Frivolous が良い手応えで先頭に立った所に外からドント・テル・ソフィアが被せるように襲い掛かりましたが、最後は半馬身届かずフリヴォラスの逃げ切り勝ち。3番手から内ラチ沿いを衝いた4番人気(6対1)のモーリー・モーガン Molly Morgan が首差3着に入りました。
番狂わせを演じたフリヴォラスは、ヴィクトリア・オリヴァー厩舎、5月の落馬事故から復帰したばかりのジョン・ケントン・コート騎乗。3歳時にアーリントン・オークス(GⅢ)で2着したことがあり、4歳の今期は同じアーリントンでメイトロン・ステークス(GⅢ)でも2着。しかしその後もステークスでは奮わず、キーンランドの一般ステークス(芝の12ハロン)が5着、チャーチル・ダウンズの一般ステークスでドント・テル・ソフィアの3着、エリス・パークのガーデニア・ステークス(GⅢ)も4着。今回は人気になる要素はほとんど見出せない中でのステークス初勝利となりました。
最後はカリフォルニア、デル・マー競馬場のハリウッド・ターフ・カップ Hollywood Turf Cup (芝GⅡ、3歳上、12ハロン)。去年で閉鎖されたハリウッド競馬場の名物だった一戦で、ハリウッドのG戦最終日に行われたレースでもありました。firm の芝コースに1頭が取り消して10頭立て。アメリカン・セントレジャーの勝馬で、前走カナダ国際(GⅠ)で4着したザ・ピッツァ・マン The Pizza Man が2対1の1番人気。
スタートで4番人気(8対1)のアイリッシュ・サーフ Irish Surf が出遅れ、5番人気(11対1)のアルゼンチン産馬ミステリー・トレイン Mystery Train が大逃げを打って最初のスタンド前。しかしミステリー・トレインは急速にバテると、替ってリトル・ジェリー Little Jerry がハナに立ち、直線。4番手を追走したザ・ピッツァ・マンが一旦は先頭に立ちましたが、前半7番手に控えていた3番人気(7対2)のフィネガンス・ウェイク Finnegans Wake が外から一気にこれを交わし、連れて追い込む8番人気(34対1)の伏兵ペイトリオティックアンドプラウド Patrioticandproud に首差を付けて優勝。1馬身差でザ・ピッツァ・マンは3着でした。
ピーター・ミラー厩舎、ヴィクター・エスピノザ騎乗のフィネガンス・ウェイクは、3走前まではデール・ロマンス厩舎に所属していた馬で、7月にはアーリントン・ハンデ(芝GⅢ)に勝っていました。ミラー厩舎に転じた初戦のジョン・ヘンリー・ターフ・チャンピオンシップ(芝GⅡ)は2着、そして前走BCターフでは58対1のオッズで10着に敗退。これが5歳にして4勝目、G戦も2勝としてこれまでで最高のタイトルを獲得しています。
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