3歳馬独占のクラーク・ハンデ
11月28日も感謝祭と同じくニューヨーク、ケンタッキー、カリフォルニアでG戦。特にケンタッキーでは今週のGⅠシリーズ第一弾が行われました。
最初はアケダクト競馬場のゴー・フォー・ワンド・ハンデキャップ Go for Wand H (GⅢ、3歳上牝、8ハロン)。去年までGⅡでしたが、今年からGⅢに降格されてしまいました。2009年まではGⅠだったレースで、急速にレヴェルを落としてきた一戦。good の馬場に1頭が取り消して11頭立て。今年のマザー・グース・ステークス(GⅠ)2着馬で、前走ベルモントの一般ステークス(エンパイア・ディスタッフ・ハンデ)に勝ったプリンセス・ヴァイオレット Princess Violet が2対1の1番人気に支持されていました。
レースは2番人気(5対2)のスイート・ウイスキー Sweet Whisky が逃げ、プリンセス・ヴァイオレットは後方3番手からの追い込み策。2番手に付けていた4番人気(8対1)のクラシック・ポイント Classic Point が直線で逃げ馬を捉えて先頭に立った所に、外からプリンセス・ヴァイオレットが襲い掛かり、2頭が首の上下でゴール。ゴールを過ぎた時点では明らかに本命馬が出ていましたが、写真判定の結果はハナ差でクラシック・ポイントが勝っていました。2馬身4分の1差の3着には9番人気(23対1)のモメント・イン・ディクシー Moment in Dixie が入っています。
ジェームス・ジャーケンス厩舎、エンジェル・アロヨ騎乗のクラシック・ポイントは、これがG戦初勝利となる5歳馬。4歳時にサラトガのオノラブル・ミス・ハンデ(GⅡ)で2着したこともあり、前走ベルモントの一般ステークス(パンキン・パイ・ステークス、7ハロン)に勝ってのステークス2連勝。前走から装着しているブリンカーが功を奏しているようです。
続いてチャーチル・ダウンズ競馬場から、伝統のGⅠ戦クラーク・ハンデキャップ Clark H (GⅠ、3歳上、9ハロン)。チャーチル・ダウンズは春はケンタッキー・ダービー、秋はクラーク・ハンデというのが2大名物ですね。fast の馬場に9頭が出走し、故障による休養明けとなる前走のアローワンス戦で2着して復帰を印象付けたホッパーチュニティー Hoppertunity が2対1の1番人気。
レースは本命馬と同じ3歳馬で2番人気(5対2)、フロリダ・ダービー(GⅠ)馬のコンスティテューション Constitution が逃げ、ホッパーチュニティーは2番手追走。直線、渋太く粘るコンスティテューションとの叩き合いを制した本命馬、前半5番手を進み、外から追い込む4番人気(7対1)のプロトニコ Protonico を半馬身制して見事期待に応えました。粘ったコンスティテューションが1馬身4分の1差で3着。2着のプロトニコも最近ディスカヴァリー・ハンデ(GⅢ)に勝った3歳馬で、3歳が1着から3着を独占。4着以下の古馬勢は6馬身離され、今年のクラシック・ジェネレーションのレヴェルの高さを証明したクラークでした。
ボブ・バファート厩舎、マーチン・ガルシア騎乗のホッパーチュニティーは、厩舎がクラシックに期待を寄せていた馬。3月にレベル・ステークス(GⅡ)に勝ってクラシック路線に乗り、サンタ・アニタ・ダービー2着(勝馬はダービー馬カリフォルニア・クローム California Chrome)から本番に向かいましたが、レース前日に足首を故障、無念のリタイアとなりました。その休養から復帰したのが10月29日のアローワンス戦。2着したことで目処が立ち、本領発揮のGⅠ制覇に繋げています。半兄もGⅠ2勝のエクゼキュティヴプリヴィリッジ Executiveprivilege という良血。
最後はデル・マー競馬場のシービスケット・ハンデキャップ Seabiscuit H (芝GⅡ、3歳上、8.5ハロン)。レース名のシービスケットは映画にもなって有名ですが、この名を冠したG戦はこれまでありませんでした。実はハリウッド時代のサイテイション・ハンデ Citation H が改名されたもので、今後はこのレース名で続くのでしょうか。firm の馬場に2頭が取り消して8頭立て。デル・マーではエディー・リード・ステークス(芝GⅠ)とデル・マー・ハンデ(芝GⅡ)に勝って相性の良いトムズ・トリビュート Tom’s Trubute が3対2の1番人気。前走BCマイル(芝GⅠ)7着からの巻き返しを図ります。
最低人気(44対1)のスカイリング Skyring が逃げ、トムズ・トリビュートは終始3番手追走。しかし前半は後方2番手を進み、勝負所では最後方に下がった2番人気(7対2)のカイグン Kaigun が第4コーナーでは大外に回すと、先頭に踊り出したトムズ・トリビュートを外から捉え、内ラチ沿いに伸びた3番人気(5対1)ザー・アプルーヴァル Za Approval に4分の3馬身差を付ける快勝。半馬身差でトムズ・トリビュートは3着でした。着順こそ違え、人気上位3頭が1着から3着までに入る順当な結果です。
マーク・カッセ厩舎、コーリー・ナカタニ騎乗のカイグンは、実況アナによって発音が異なるという読み難い馬名のせん馬。これまでニューヨーク地区では「ケイガン」とアナウンスされていたのでそちらを採ってきましたが、この日のアナウンサーは「カイグン」と実況していましたので、今回はこちらにしました。やっぱり「海軍」の方が親しめるかも。8月にウッドバインでプレイ・ザ・キング・ステークスに勝っていましたが、これはカナダの芝GⅡ戦。アメリカ本土では4歳にしてG戦初勝利となります。前走BCマイルこそ10着でしたが、4月にはメイカーズ46マイル(芝GⅠ)で年度代表馬ワイズ・ダン Wise Dan の、6月にはベルモントでマンハッタン・ステークス(芝GⅠ)でリアル・ソリュージョン Real Solusion の2着しており、2番人気も当然の実績の持ち主でした。
最近のコメント