今日の1枚(210)
NMLが配信しているHMVの「20世紀の偉大な指揮者たち」シリーズ、クライバーの次はエフゲニー・ムラヴィンスキーです。ムラヴィンスキー、私はチョッと苦手な指揮者で、手元に1枚のCDもありません。従って録音データも判らず、この点に付いてはコメントの仕様もありません、悪しからず。
苦手と言っても来日公演を一度聴いたことがあり、記録を見ると1973年に手兵レニングラード国立フィルハーモニー・アカデミー交響楽団(当時の表記)を指揮した5月26日の演奏会。ベートーヴェンの第4交響曲とショスタコーヴィチの第5交響曲と言う2本立てでした。その時の印象も、ムラヴィンスキーはニコリともせず、硬質な響きに終始していたような・・・。アンコールのリャードフが面白かったことだけが記憶の底に沈殿している状態です。
で、ムラヴィンスキーならロシア音楽という段取りでしょうが、1枚目はドイツ音楽2曲のみ。オーケストラは共にレニングラード・フィルハーモニー管弦楽団と表記され、ムラヴィンスキーの録音はほとんど全てがこの団体との共演だと思います。
①モーツァルト/歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
②ブルックナー/交響曲第7番(1885年ノヴァーク版)
①も②もライヴ録音で、最後に拍手も収録。モノラルですが音質は良く似ていて、もしかすると同じ演奏会の記録かも知れません。演奏の印象も昔抱いたものと同じで、ガッチリと揺るぎ無いもの。
①は所謂演奏会用のエンディングで、アンドレ版でしょうか、最後は簡潔に且つ強音で締め括られます。
②はノヴァーク版と表記されていますが、ハース版との相違はほとんど無いはず。音だけ聴いても判りません。手元にあるノヴァーク版は音友社のもので、スコアと違う所が2か所ありました。
一つは第1楽章提示部の終わり、第160小節の低弦ピチカートの4拍目が8分音符一つ分前倒しされています。もう一つが第2楽章の最後、スコアでは弦のピチカートが216小節から始まるように支持されていますが、1小節遅らせて217小節からに。この二つは他の指揮者も採用していますから、現場では常識的な変更なのでしょう。根拠については判りませんが、指摘している文献を見たことが無いのが不思議。
また終楽章の最後、第323小節から330小節までの特にフルートの音量が大きく聴こえ、恐らく倍管による演奏なのではと想像されます。来日公演での管楽器の扱い、残念ながら全く記憶にありません。
参照楽譜
①オイレンブルク No.918(歌劇全曲版)
②音楽の友社 OGT 207
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