今日の1枚(215)

ベームの2枚目も1枚目と同様に2曲だけ、最初はスタジオでの正規録音、2枚目がライヴ録音という構成です。いずれも新しいステレオ録音。

①ハイドン/交響曲第91番
②シューベルト/交響曲第9番「ザ・グレート」

①はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮したDGの音源で、1973年9月22日にウィーンのムジークフェラインで録音されたもの。ベームのみならずハイドンの交響曲では珍しい部類に属すでしょう。ベームは晩年にハイドンの後期パリ・セット5曲と協奏交響曲を纏めてウィーン・フィルと録音しましたが、これはその1曲。
この曲にはトランペットやティンパニは使われず、ファゴットが活躍するのが特徴。比較的オーケストラに近い位置で聴くバランスに捉えられており、肝心のファゴットは中央やや右寄り、普通に演奏会でも聴かれる音場が広がります。
他にもコントラバスの弦を擦る音が生々しく捉えられていたり、時折ベームが強調するヴィオラの対旋律が右端から浮き上がったり、第2楽章ではプルトの数を減らして木管とのバランスに配慮する個所が聞き取れたりと、地味ながらも録音の良さが燻し銀の様に光る名盤と言えるでしょう。

演奏は如何にもカペルマイスターの仕事といった印象で、堅実と言えば堅実、面白くないと言えば面白くないかも知れませんね。トリオでは、繰り返しの際には若干音を弱めたり、楽章の最後に軽くリタルダンドを掛けるという当時のビッグ・バンド・ハイドンの常套手段も。
繰り返しも一般的で、第1楽章と第4楽章は共に前半だけを実施し、第2楽章と第3楽章は全て実行しています。

②はシュターツカペレ・ドレスデンのライヴ録音。1979年1月12日、当時の東ドイツ、ドレスデンのクルトゥーア・パレスと表記され、最後には拍手も入ります。
①と違ってライヴだけにベームも燃え、時折気合の様な息遣いも聴かれました。繰り返しはほとんどが省略され、実行しているのは第3楽章のスケルツォとトリオの何れも前半のみ。第4楽章では745小節から750小節にティンパニの加筆があります。

ベームが未だ来日する前、N響が初めて世界演奏旅行に出た際、その団員たちが何処かの演奏会でベームを初体験したそうです。その時聴いたメンバーが、“ベームなんてへっぴり腰でダメだ”と評したということがレコード芸術誌に載っていたのを読んだことがあります。
それが確かシューベルトのザ・グレートだったはず。そんなことだからN響はダメだ、と思ったのは私だけではないでしょう。ベームがN響に客演する機会はあったでしょうに、惜しいことをしました。

参照楽譜
①オイレンブルク No.582
②オイレンブルク No.410

 

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