今年最後のGⅠ戦
クリスマスが終わると、カリフォルニアのサンタ・アニタ競馬場で冬/春開催がスタートします。1年の最後の週に当たりますが、シーズンの締め括りというよりは新たなシーズンの開幕と見るのが相応しいでしょう。
12月26日はそのオープニング、3鞍のG戦の内2鞍がGⅠ戦で、事実上今年最後のグレード・ワンとなります。全てが3歳馬限定戦ですが、この時期になってもクラシック世代限定戦が行われるのは如何にもアメリカ競馬と言ったところでしょうか。
そのサンタ・アニタ競馬場、最初は今年で第42回目を迎えたラ・ブレア・ステークス La Brea S (GⅠ、3歳牝、7ハロン)。GⅠに格上げされたのは1997年からでしたね。1頭が取り消して9頭立て。前走レイヴン・ラン・ステークス(GⅡ)を含めて2連勝中のタリス Taris が3対5の1番人気。
そのタリスが1枠を利して先頭、一時は4馬身のリードを付けて直線に向かいましたが、道中リラックスできずに一杯。前半6番手の位置から徐々に押し上げた4番人気(12対1)のサムズ・シスター Sam’s Sister が外から差を詰めると、最後はバテた本命馬を半馬身差捉えての逆転劇。更に1馬身4分の3差で3番人気(5対1)のサンキュー・メイルー Tank You Maylou が3着に入りました。
勝馬を管理するジェリー・ホーレンドルファー、騎乗したエルヴィス・トルヒーヨ共にラ・ブレアは初制覇。今年の夏にデル・マーでデビューし3連勝、前走デル・マーの秋開催では初の芝コースで8着に敗れていたサムズ・シスターは、これがステークス初挑戦でいきなりのGⅠ勝ち。通算成績は5戦4勝となり、来年は短距離路線での更なる活躍が期待できそうです。
続いてはマチス・ブラザース・マイル Mathis Brothers Mile (芝GⅡ、3歳、8ハロン)。去年までサー・ボーフォート・ステークス Sir Beaufort S として施行した一戦です。フル・ゲート12頭にダート変更時の出走馬を含めて14頭が登録していましたが、最終的には4頭が取り消しての10頭立て。馬場は firm 。前走コモンウェルス・ターフ・ステークス(芝GⅢ)を含めてステークス3連勝中のハート・トゥー・ハート Heart to Heart が2対1の1番人気。
5番人気(9対1)のレッド・アウトロー Red Outlaw が逃げ、ハート・トゥー・ハートは2番手に待機。直線、一旦はハート・トゥー・ハートが先頭に立ちましたが、前半4番手を進んだ同じ9対1のアラート・ベイ Alert Bay が抜け出し、外から追い込む3番人気(9対2)のホーム・ラン・キッテン Home Run Kitten を首差抑えて優勝。1馬身差で8番人気(17対1)のオーサム・リターン Awesome Return が3着に入り、ハート・トゥー・ハートは半馬身及ばず4着でした。
ブレイン・ライト厩舎、タイラー・ベイズ騎乗のアラート・ベイは、カナダのブリティッシュ・コロンビア・ダービー(GⅢ)などカナダのGⅢに2勝していたせん馬。ステークスも通算で5勝目となりますが、アメリカのG戦は初勝利でした。
開幕初日の最後はマリブー・ステークス Malibu S (GⅠ、3歳、7ハロン)。牝馬のためのラ・ブレアと対になるレースですが、今年が63回目、GⅠに昇格したのも1995年と先輩格に当たります。1頭が取り消して9頭立て。前走BCクラシックこそゴチャついたレースで4着に敗退したものの、それ以外は負けを知らないシェアド・ビリーフ Shared Belief が1対2の圧倒的1番人気。
2番人気(2対1)のシートゥー Chitu が逃げ、シェアド・ビリーフは3番手グループの筆頭。直線も3番手で入った本命馬、並んで追い込む7番人気(70対1)のコンケスト・トゥー・ステップ Conquest Two Step に最後まで頭差を付けたまま先頭でゴール、見事人気に応えました。半馬身差でシートゥーが3着に逃げ粘っています。着差は頭差ではあるものの、勝馬は他馬より5ポンド重い中での勝利、実力的には2馬身半差で勝ったという計算になるでしょう。
ジェリー・ホーレンドルファー師はラ・ブレアに続いてGⅠダブル達成。こちらはマイク・スミスが騎乗していました。去年キャッシュコール・フューチュリティー(GⅠ)を制して2歳チャンピオンに輝いたシェアド・ビリーフ、クラシックこそ戦線離脱していましたが、復帰してからは今期だけで3つ目のGⅠ制覇となりました。これでカリフォルニア・クロームとの3歳チャンピオン争いが増々難しくなってきたようです。
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