5歳牝馬の活躍
ブリーダーズ・カップから1週間、今週のアメリカ競馬は東西と中部とも一鞍づつのG戦が行われます。11月9日はニューヨークとケンタッキーからのレポート。
先ずアケダクト競馬場からは牝馬による芝の長距離戦、ロング・アイランド・ハンデキャップ Long Island H (芝GⅢ、3歳上牝、12ハロン)。稍重 good のコースに、人気になるはずの1頭が取り消して7頭立て。去年のこのレース3着馬のエーグ・マリーン Aigue Marine が8対5の1番人気に支持されていました。
長距離とあってペースはスロー、芦毛の最低人気(28対1)イニミタブル・ロマネー Inimitable Romanee が先頭でゆったりと流れます。しかしこの逃げを甘く見たのか、後方に付けた有力馬は差を詰めることすら出来ず、あれよあれよの逃げ切り勝ち、大穴となってしまいました。1馬身差で内ラチ沿いに追い上げたタブリード Tabreed が2着、更に半馬身差でレフト・ア・メッセージ Left a Message が3着。エーグ・マリーンは6着凡走です。
グレアム・モーション厩舎、クリストファー・デカルロ騎乗のイニミタブル・ロマネーは、去年7月にベルモントの芝アローワンス戦に勝って以来の勝ち星。この間11連敗でしたが、2着4回、3着5回と堅実に掲示板には載ってきた5歳馬です。前走ベルモントの一般ステークス(タイコンディロガ・ステークス)7着は、僅か2回しかなかった大敗の一つ。それもスタートでゲートにぶつける不利があってのことでした。もちろんステークスは初勝利。
続いてチャーチル・ダウンズ競馬場から、やはり牝馬の芝戦、カーディナル・ハンデキャップ Cardinal H (芝GⅢ、3歳上牝、9ハロン)。ケンタッキー州の「州鳥」であるカーディナル(紅冠鳥)の名を冠したレース、こちらも good のコースに10頭立て。アメリカ・デビューのマッチメーカー・ステークス(芝GⅢ)に勝ち、前走ロデオ・ドライヴ・ステークス(芝GⅠ)でも4着したアイルランド産馬スターストラック Starstruck が2対1の1番人気。
レースはソフト・ホイスパー Soft Whisper が後続を7馬身も離しての大逃げ。次第にリードがなくなり、ミズ・アイダ Miz Ida と本命スターストラックが抜け出しに掛かりましたが、スタートのごちゃ付きで後方に下げた2番人気(5対2)のアバコ Abaco が外から一気に捉え、ミズ・アイダに1馬身差を付けて優勝。頭差で3番人気(9対2)のソリッド・アピール Solid Appeal が3着に入り、スターストラックは1馬身及ばず4着。
アバコを管理するクロード・マゴーヒー師にとって、ここケンタッキーは今年オーブ Orb でダービーを制した縁起の良い競馬場。カーディナル・ハンデも1983年(この年はダート・コース)のチャージ・マイ・アカウント Charge My Account 、2007年のクリミノロジスト Criminologist に次いで3勝目となります。騎乗したロージー・ナプラヴニクは、体調を崩して3日間休んでの復帰戦、今年25歳の女性騎手ながら、現在全米リーディング第8位に付けている女丈夫ですね。アバコは前走アセーニア・ステークス(芝GⅢ)でも2着しており、これがG戦初勝利となる5歳馬。ニューヨークと共に5歳牝馬の活躍が目立った土曜競馬でした。
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