今日の1枚(239)

今日も当日配信されたばかりの新着アルバムから聴きましょう。昨日紹介した Meister Music からもエルデーディQのイタリア弦楽四重奏曲集、藤村俊介と安田謙一郎のチェロ二重奏アルバムなどがそそりますが、同じレーベルを続けるのも気が引けるので、今日はハンガリーの老舗であるフンガロトン Hungaroton を1枚聴いてみました。
CD番号は HRC 085 で、タートライ四重奏団に第2ヴィオラとしてアンナ・マウトナー Anna Mauthner が加わったモーツァルトの弦楽五重奏曲が2曲収められています。

①モーツァルト/弦楽五重奏曲第3番ハ長調K515
②モーツァルト/弦楽五重奏曲第1番変ロ長調K174

最新録音ではなく、フンガロトンのホワイト・ラベルと称する復活盤の廉価(?)シリーズで、モーツァルトの弦楽五重奏全集を形成する一点。他の4曲も既に配信されていて、今日の配信で全集が完結しました。
タートライ・クァルテットは1946年結成で、第1ヴァイオリンがヴィルモシュ・タートライ Vilmos Tatrai 、第2ヴァイオリンはイストファン・ヴァルコニー Istvan Varkonyi 、ヴィオラをジェルジ・コンラード Gyorgy Konrad 、チェロがエデ・バンダ Ede Banda というメンバー。
尤も、1968年に創設時のメンバーからは第2とヴィオラが替っていますから、このメンバーによる録音は1968年以降ということになるでしょう。配信にはデータが一切附せられていませんし、CDのブックレット等も読むことが出来ません。

一応ステレオ録音で、第1番の第4楽章コーダでは五つの声部が下から順にフーガ風に加わる個所があり、ここを聴くとチェロを中心に左がヴァイオリン、右にヴィオラと順列的に配置されていることが判ります。
フンガロトン録音は高音に若干癖があるのが特徴で、現在の耳にはやや硬く金属的に聴こえるのが難点でしょうか。このセットは確か日本でもLPで出ていたと記憶していますが、LPではその辺りが多少柔らかく聴こえるのかも知れません。
①と②は明らかに別セッションと思われ、②の方が若干マイクに近い設定で、年代的にも後の様に聴こえました。

彼等の演奏も一言で言えば手堅いもの。特に①の第3楽章アンダンテ、②の第2楽章アダージョでの温かく気持ちの籠った演奏が一番の聴き所でしょう。繰り返しに拘る団体では無かったようで、リピートの実行について原則は設けていないようです。する、しないは曲によって区々。
②は1773年にザルツブルグで作曲されたモーツァルト初の弦楽五重奏で、ミヒャエル・ハイドンやボッケリーニ(100曲以上の弦楽五重奏を作曲した!)が手本になっている由。メヌエットのトリオ部には別稿も残されていますが、タートライは普通に旧モーツァルト全集版で演奏していました。

ところでフンガロトンのNML配信歴はかなり長いようで、今日現在で1700点弱の音源を楽しむことが出来ます。何と言ってもハンガリーの作曲家のカタログが充実していて、有名なバルトーク大全集も全て聴くことが出来るのが嬉しい。
もちろんタートライQのバルトーク弦楽四重奏曲全集もありますが、タカーチQ、ミクロコスモスQによる全集も揃っていて充実。
タートライでは他にハイドンの弦楽四重奏全集という大セットもあって、とてもLPは高価で手が出なかった思い出がある小生には夢のような時代が来たと、感慨一入ですね。

 

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