今日の1枚(240)
今日の1枚、チョッと冒険を試みてみましょう。前日に続いてフンガロトンのホワイト・ラベルからお馴染みの名曲名盤が新着配信されていますが、敢えて私にはほとんど経験の無いレーベルとジャンルから1枚選んでみました。
サラバンド・レコーズ Sarabande Records というレーベルから出ている SARADD002 という品番で、モーガン・シマンスキ Morgan Szymanski というギタリストのソロ・アルバムです。ジャケットのデザインに惹かれた面が強いのですが、収められているのは7曲、全てギター・ソロ作品。
①アレック・ロス/庭先の一角獣
②マヌエル・ポンセ/組曲イ短調
③アグスティン・バリオス/神の愛に免じてどうかお恵みを
④シモーネ・イアンナネッリ/華麗なワルツ
⑤シモーネ・イアンナネッリ/ベアトリスのための歌
⑥アレック・ロス/猫の踊り
⑦ホルヘ・リッター/カポエイラ変奏曲
サラバンドはどうやら今日からNML配信に参加したレーベルの様で、本日新着の4枚(全てギターを中心にしたCD)が現時点で聴ける全てです。未だレーベルのロゴすら表示されておらず(朝9時の段階で)、ナクソスにのホームページにも何の紹介もありません。
そこで先ずレーベル自体を海外のネットで検索すると、そのホームページが出てきました。良く似たヴァレーズ/サラバンドというレーベルもありますが、それとは別。
このページを色々読んでみると大体のことが掴めますが、要するにここで演奏しているシマンスキが2009年に立ち上げたイギリスのレーベルで、若い演奏家を紹介するのが目的みたい。もちろん自身のギター演奏が出発点のようですが、新進のクァルテットのアルバムなどもリリースしていますね。いずれはそれも聴けるようになるでしょう。
張本人のシマンスキは、このホームページから自身のサイトにリンクできます。それがこれ↓
http://www.morganszymanski.co.uk/
1979年にメキシコ・シティーで産まれたギタリスト、というだけに止め、後は興味ある方がこのホームページを読んでください。
ということで早速7曲を聴いてみました。恐らく楽器の性格上かなり大きな音量で収録されているため、再生するときにはヴォリュームを思い切り絞る必要があります。録音自体は2004年1月だそうで、5年後に目出度くリリースの運びになったということでしょうか。
最新ディジタル録音ということで音質は素晴らしく、もちろん技術的にも音楽的にも第一級のギタリストと感心しました。私はギターには疎いので細部については不案内ですが、弾かれている作品も多彩かつ繊細で、例えばサロンの一角、喫茶店のコーナーなどでのリサイタルを間近で聴いているよう。ギター・ファンにはお薦めの1枚。
①は1948年生まれの英国の作曲家アレック・ロス Alec Roth の作品で、アルバムのタイトルにもなっている6分ほどのモダンな作品。後で出てくる⑥も彼の作品ですが、詳しいことはロスのホームページで検索することが出来ます。
その作品から当該曲を選べば、何と譜面も(一部ですが)見ることが出来、大いに鑑賞の手助けになりました。
②はロスが生まれた1948年に亡くなったギター作曲界の大家ポンセ Manuel Maria Ponce (1882-1948) の作品。ギター知らずの私でもポンセの名前だけは知っています。
演奏されている組曲はプレリュード、アルマンド、サラバンド、ガヴォット、ジーグの5つの舞曲から成るバロック風の組曲で、特にサラバンドは美しい佳品。
③もギター演奏家には欠かせないバリオス Agustin Barrios (1885-1944) の作品。
④と⑤を作曲したイアンナネッリ Simone Iannanerri は1970年生まれで、このアルバムに収められている作曲家では最も新しい世代の人。サラバンドのホームページからプロフィールを見ることも出来ますが、特に④はバリオスへのオマージュとして作曲された一品で、選曲にも繋がりを持たせています。
⑥は①と同じロスの楽しい作品で、演奏しているシマンスキのために作曲したもの。曲は(1)ジャワの猫 Javanese Cat (2)エジプトの猫 Egyptian Cat (3)ジェフリー Jeffrey (4)チェシャー州の猫 Cheshira Cat の短い4曲から成ります。
ロスのホームページによれば、(3)ジェフリーとはロスが学生時代の知人が飼っていた猫の名前で、ピアノの鍵盤で遊ぶのが好きだったのだとか。特に(1)は猫の歩き方や鳴き声を模していて、演奏する人もさぞ楽しいでしょう。(1)と(4)は楽譜も閲覧できますよ。
⑦のリッター Jorge Ritter の生年は1908年という資料と1914年という説があって定かではありませんが、1977年にアルゼンチンで亡くなったパラグァイ生まれの作曲家だそうです。
カポエイラ変奏曲 Variaciones Capoeira は主題と6つの変奏にフィナーレが付いたものですが、全体でも10分半ほどの短い作品。クラシックというよりはポピュラー系に近いノリの良い音楽で、一夜のコンサートとしては最後に相応しい曲でしょう。
ということで、今日はギター音楽の世界をいろいろ勉強させて貰いました。NMLが無ければ知らずに素通りしていたジャンルですが、ネットを駆使して未知の世界に触れ、ボケ防止には効果があると思いましたね。
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