フィネガンス・ウェイク、4連勝成らず

昨日は豪州から嬉しいニュースが飛び込んできましたし、来週末はドバイで楽しみなGⅠシリーズが行われます。何かレポートしたい気持ちにも駆られますが、当ブログはヨーロッパ3国とアメリカに限定。これ以上幅を広げる余裕も無いので、このスタイルを続けることにしています。
さてそのアメリカ、3月21日は3つの競馬場でG戦は5鞍、来週からはヨーロッパ競馬も本格的に始まることもあり、比較的余裕を以てレポートできるのは今週が最後かもしれません。

ということで、先ずガルフストリーム・パーク競馬場から2鞍。短距離のGⅡ戦、インサイド・インフォメーション・ステークス Inside Information S (GⅡ、4歳上牝、7ハロン)は fast の馬場に1頭が取り消して6頭立て。去年の12月からGⅢに連勝し、G戦3連勝を狙うメリー・メドウ Merry Meadow が1対2の断然1番人気。26戦して掲示板に載らなかったのは3回だけという堅実味も信頼に繋がっていました。
レースは4番人気(12対1)のベスト・ビヘイヴィアー Best Behavior が逃げ、メリー・メドウは先ず2番手。第3コーナーに向かう手前では早くも逃げ馬を交わして先頭に立ちましたが、今回は何故かそこまで。最初3番手に控えていた2番人気(3対1)のスイート・ウイスキー Sweet Whisky が先行2頭を纏めて交わし、先頭で直線。ここに前半終始4番手を進んだ3番人気(4対1)のクラシック・ポイント Classic Point が外から並び掛け、ゴールでは大きく置かれた最後方から大外を回って追い込む伏兵(19対1、ブービー人気)ユー・ボート・ハー You Bought Her を首差抑えて優勝。半馬身差でスイート・ウイスキーが3着に入り、メリー・メドウは最下位6着に大敗するという波乱でした。
ジェームス・ジャーキンス厩舎、パコ・ロペス騎乗のクラシック・ポイントは、去年11月にゴー・フォー・ワンド・ステークス(GⅢ)を制して以来の休養明けで、これが今期デビュー。去年から通算で3連勝となります。ジャーキンス師は去年の秋に父アレン・ジャーキンス師から厩舎を引き継ぎましたが、僅か3日前、3月18日に父を亡くしたばかり。この冬に体調を崩してレースから遠ざかっていたクラシック・ポイントでしたが、急速に回復、ジェームス師も不思議な因縁を感じざるを得なかったようです。

ガルフストリームのもう一鞍はロイヤル・デルタ・ステークス Royal Delta S (GⅡ、4歳上牝、8.5ハロン)。初めて聞くレース名ですが、実は去年GⅡに格上げされたセービン・ステークスからレース名が変わったもの。去年までは2月中旬に行われており、ロイヤル・デルタはこのレースの一昨年の勝馬でもあります。早々とレース名を変えるというのは日本ではあり得ないことですネ。7頭が出走し、前走同じガルフストリームのランパート・ステークス(GⅢ)に勝ってステークス3連勝を目指すハウス・ルールズ House Rules が4対5の1番人気。
レースは5番人気(11対1)のスウィンガーズ・パーティー Swinger’s Party が逃げましたが、向正面で早くもバテて後退、代わって前半3番手から2番手に上がっていた2番人気(3対1)のシーア・ドラマ Sheer Drama が第3コーナーの手前で早くも先頭。後は後続を引き離す独走で、4番手から前を追った本命ハウス・ルールズが直線で2番手に上がってきたものの、シーア・ドラマには6馬身半差が付けられていました。更に2馬身差で4番人気(6対1)のモーリー・モーガン Molly Morgan が3着。
デヴィッド・フォウクス厩舎、ジョー・ブラーヴォ騎乗のシーア・ドラマは、今回がフォウクス厩舎に転じての初戦。前走はランパート・ステークスで本命馬ハウス・ルールズの2着しており、ステークスは去年、ローレルの一般ステークス(サーティー・エイト・ゴー・ゴー・ステークス)に続き2勝目となる5歳馬です。

続いてはケンタッキー州のターフウェイ・パーク競馬場から、この競馬場で行われる唯二つのG戦。タペタ・コースで行われるクラシック・トライアルで、芝とダートの中間的なコースです。共に夫々ケンタッキー・オークスとケンタッキー・ダービーへのポイント対象戦で、勝馬には50ポイントが加算されます。最初は牝馬のバーボネット・オークス Bourbonette Oaks (GⅢ、3歳牝、8ハロン)は2頭が取り消して12頭立て。3戦1勝ながら良血のスイート・サクセス Sweet Success が2対1の1番人気。
そのスイート・サクセスが逃げ切りを図りましたが、大外を回って中団から追い込んだ3番人気(5対1)のドント・リーヴ・ミー Don’t Leave Me が本命馬を4分の3馬身差し切っての快勝。1馬身半差で2番手を追走していた2番人気(7対2)のシャーラ・レー Sharla Rae が3着に入り馬券的には極めて順当な結果に収まりました。
マルカーム・ピアース厩舎、ホセ・レズカノ騎乗のドント・リーヴ・ミーは、去年の夏にカナダ(ウッドバイン競馬場)のタペタ・コースで初勝利、その後も芝コースでも勝って2勝目。カナダのGⅡ戦ナタルマ・ステークスは6着に終わり、これが今期デビュー戦でした。通算成績も4戦3勝となり、もちろんG戦は初勝利です。この時点でオークスに参戦するには追加登録料1500ドルが必要になりますが、ポイント数では参戦可能な1頭に挙がってきました。

一方、牡馬によるスパイラル・ステークス Spiral S (GⅢ、3歳、8ハロン)は1頭が取り消して11頭立て。ゴールデン・ゲート競馬場のタペタ・コースでエル・カミノ・レアル・ダービー(GⅢ)を制したメタボス Metaboss が9対5の1番人気。
伏兵(28対1、7番人気)ウォッチユアオウンボッバー Watchyourownbobber が逃げましたが、これを5番人気(9対1)のワイアレス・フューチャー Wireless Future が交わして先頭。更に4番手から徐々に進出した4番人気(7対1)のデュバイ・スカイ Dubai Sky が更に外から交わすという出入りの激しい展開となり、結局はデュバイ・スカイが3番人気(4対1)のコンケスト・タイフーン Conquest Typhoon に2馬身4分の1差を付けて優勝。首差で8番人気(37対1)の人気薄ファイアスパイク Firespike が3着に入り、メタボスは番手からの苦しい流れとなり、大外から追い込んだものの6着敗退に終わりました。
ウイリアム・モット厩舎、オークスに続いてG戦ダブルとなったホセ・レズカノ騎乗のドゥバイ・スカイは、2戦目で初勝利を挙げてから4連勝。前走ガルフストリームの芝コース一般ステークス(キッテンズ・ジョイ・ステークス)からステークスも2連勝となります。50ポイントを獲得した同馬、ダート・コースに挑戦するかがキーポイントとなりそう。最後の登録は月曜日(3月23日)ですから、それまでには結論を出さなければなりません。

最後はサンタ・アニタ競馬場伝統の芝戦、サン・ルイ・レイ・ステークス San Luis Rey S (芝GⅡ、4歳上、12ハロン)。日本では芝の長距離戦が最も注目されるレースですが、アメリカで一番人気が無く、ファンの関心も薄いのがこのジャンル。レヴェルも決して高くなく、仮に日本馬が遠征すれば勝つのは容易だろうと思慮します。一つ視点を変えてアメリカの芝チャンピオンを狙う、というのはどうでしょうか。今年のサン・ルイ・レイは firm の馬場に1頭が取り消して8頭立て。BCターフ10着のあとハリウッド・ターフ・カップ、サン・ガブリエル、サン・マルコスと何れも芝のGⅡに3連勝中のスペシャリスト、フィネガンス・ウェイク Finnegans Wake が3対5の圧倒的1番人気。ダートコースのサンタ・アニタ・ハンデでシェアード・ビリーフ Shared Belief に挑戦するというプランもありましたが、ここは確実に芝コースでの連勝を狙ってきました。
レースは5番人気(9対1)のジョーズ・ブレイジング・アーロン Joes Blazing Aaron が逃げ、ダイアモンド・バチェラー Diamond Bachelor が2番手。この2頭がやや後続を離し、3・4番手の2頭からも距離を置いて3番人気(5対1)のアシュレーラヴズシュガー Ashleyluvssugar が5番手に付け、フィネガンス・ウェイクはそのあと。3番手に付けていた2番人気(これも5対1)のパワー・フット Power Foot がスパートしてレースは一気に加速し、これを追ってフィネガンス・ウェイクとアシュレーラヴズシュガーの3頭の争い。一旦は本命馬が先頭に立ちましたが、最後は巻き返したアシュレーラヴズシュガーがフィネガンス・ウェイクに2馬身4分の1差を付けて優勝し、更に1馬身4分の1差でパワー・フットが3着。結果的には上位人気3頭で決着しましたが、他馬より5ポンド重い負担重量を背負った本命馬が敗れたのは波乱という印象でした。
ピーター・ユールトン厩舎、ゲーリー・スティーヴンス騎乗のアシュレーラヴズシュガーは、これで10戦5勝3着2回となる5歳せん馬。2歳時にデル・マーの6ハロン一般ステークス(アイム・スモーキン・ステークス)で3着したことはありましたが、ステークス自体もこれが初勝利。2歳のデビュー戦では1着で入線しながら進路妨害で降着となった経験もあります。

 

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